第14話

暫く会話した後。

俺達はファミレスを後にした。

客が多くなってきて、何だか何時迄も居る事が悪いかと思ったからである。

だが、時刻はまだ2時に近い。

これからどうするか、だ。

俺は欠伸をして、山崎と栞に向く。


「.....どうする?これから」


「うーん」


「.....そうですね.....」


顎に手を添えて、悩む、栞と桜。

何だかこうして居ると俺の周りって女ばっかりだな。

俺はその様に思って。

少しだけ顔に手を添えて頬を赤く染める。

すると、山崎がとんでもない事を言い出した。


「じゃあ、飯島の家に行こう!近いんでしょ?」


「あんだって!?」


「え!」


俺は舌を噛んでしまった。

まさかの想定してない展開に。

俺は見開いて驚愕した。

特に桜が口を大きく開いて驚愕している。

そんなに驚愕するか。

と言うぐらいに。


「.....良いですね。じゃあ、行きましょう」


「え、ちょっと栞さん!?」


栞は相変わらずと言えるのか。

顔の表情はあまり変えないが、少しだけ嬉しそうに話す。

唖然としたまま、桜は立ち尽くす。

俺は山崎を見た。

山崎はニコッと笑みを浮かべて、嬉しそうにしている。

うん、いやまぁ、来るのは.....でも。

うーむ、と俺は。

固まった桜を見る。

でも、マズイかも知れないな。

俺はその為、山崎に話そうとした。

のだが。


「.....じゃあ、行きましょうか」


「うん。じゃあ、行こう!」


「ちょ!え、え!?」


全員、動き出す。

止めようが無い程に嬉しそうで。

ため息を吐くしか無かった。



「これが飯島の家なんだね」


「.....菓子屋だからな」


「ふむ.....」


桜は。

完全に嫉妬していた。

ムーッと頬を膨らませて。

背後に腕を組んで立っている。

面倒くせぇな。

俺はその様に思いながら。

頭を掻いた。


「ほら!さっさと入るよ!」


「.....何でお前が仕切ってんだよ」


頭に手を添えて、俺は首を振る。

それから、山崎と栞は。

俺の家に入って行く。

それを追う様に、俺達も入って行った。



「落ち着く感じのリビングだね。飯島」


「.....そうか?でも結局は俺ん家だからよく分からんな.....」


俺は欠伸を嚙み殺しながら。

腰に手を当てて、家の中を見渡している山崎と栞。

俺はその様子を見てから。

手を上げた。


「.....ちょっと親父と由紀子さんに話してくるわ。山崎と栞の事」


「.....あ、じゃあ、私達も行くよ」


山崎がその様に話してくる。

俺はそんな山崎に断った。


「.....いや、良いよ。大丈夫」


桜と山崎、栞で仲良くしていてくれ。

その様に呟いて。

俺は階段を降りて行く。

そして仕事をしている、親父と由紀子さんの元へ向かった。



「お茶。由紀子さんが出して良いよって.....楽しそうだな。お前ら」


「お!飯島。楽しいよ」


山崎が手を上げて、その様に話す。

桜も、落ち着いた様子で、楽しんでいた。

栞は真顔だが、楽しそうである。


「.....そいつは結構だ。何を話していた?」


「「.....ひーみーつ!」」


「秘密です」


何だよ気になるな。

俺はその様に思いつつ。

お茶とお茶菓子を置いた。

そしてソファに座る。


「.....で、どうすんの?」


「.....え、あ、どうしよっか?」


山崎さん?

何も考えて無かったのかよ!

俺は見開く。

すると、山崎が提案してきた。


「.....トランプする?」


「.....いや、ここは勉強だろ」


「ウノがしたいです」


「私はお喋りかなぁ.....」


うーん?

全員意見がバラバラじゃねーか。

俺はその様に思いながら。

頭に手を添える。

すると、山崎が文句を言いだした。


「.....勉強って飯島.....せっかく.....その.....あんたの家に遊びに来たのにそれは無いでしょ!」


「.....いやいや、それよかウノもトランプもお喋りもマイナーだろうよ」


「マイナーって事は無いと思います」


俺はため息を、栞は頬を膨らませ、山崎はいーや!と言う。

駄目だこれ。

纏まりが全く無い。

どうするか。

その様に、顎に手を添えて考えていると。

桜が何かを思い付いた様に、あ、と言った。


「.....じゃあ、人数多いし、王様ゲームでもしましょう!」


「.....王様ゲーム.....」


まさかだろ。

俺は眉根を寄せて、桜を見る。

桜は、嫌なの?と眉根を寄せた。

いや、嫌では無いんだけど。


「.....王様ゲーム.....って」


「あ、それって告白するやつですか?」


赤面する、山崎を他所に。

栞は眼鏡を上げて真顔で言う。

いや、栞よ。

直球すぎるぞ。

そんな重たいもんじゃ無い。


「.....まぁ、やってみるか。その後に勉強でも」


「「嫌」」


「.....お前ら.....」


俺はハァ、とため息を吐いた。

勉強させろよ、俺に。

天才は良いけど俺は天才じゃねーんだよ!!!!!

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