第12話

表側の店とは違う出口。

玄関から俺達は出た。

俺の服装はあまりにシンプルのTシャツ、ジーパン、上着。

しかし、桜はこだわっている。

プルオーバーにクルーネックTシャツ。

テーパードジーンズ、革靴。

ニット帽。

という感じの涼しげな感じ。

でも、今日は暖かいからその服装は正解かもな。

因みに服の名前を何で知っているのか。

それは以前、桜が話していたからだ。

この服装を見るのは2回目。

なので知っている。

でもまぁ、持ち合わせているカバンの名前は分からんが。

新しい鞄の様だから。

かなりモフモフしているな。


「しっかし、サイゼか。.....俺にとってはマジで久しぶりだな」


「.....兄貴はそうだけど.....」


多分、1年ぶりぐらいだと思う。

俺自身がボッチな為、行く意味を感じなかった。

また、サイゼ以外の。

別の所に行ったのが原因。

両親があの性格故に。

ファミレスを好まないせいだ。

だけど、桜はよくサイゼを利用しているみたいだが。

サイゼ慣れ、だ。

ボッチは辛いね、マジで。

うん、マジで。


「.....まぁいいや。とっとと向かうぞ。桜」


「うん。.....あ!私、彼氏居るから!!!!!デートとか思わないでね!!!!?」


「初めから思って無いぞ」


その言葉を発した瞬間。

ポニテを揺らしながら。

俯いて、悲しそうにシュンとする、桜。

俺は苦笑しながら、桜の頭をポンポンした。

すると、桜は顔を上げる。


「.....冗談さ。俺は何だか.....デート気分だ」


「.....ふえ.....えっと、そ.....そんな事を言っても、わ.....私には彼氏が居るからね!!!!!」


「はいはい」


とにかく、早く行こう。

俺は本来、ボッチ身。

外に出るのもあまりの苦痛なので。

俺は桜の手を引き。

見開いた桜に笑んで。

そして歩き出した。



「いやー。サイゼ.....変わったな。随分」


「.....そうだね。綺麗になったよ」


以前はマジで汚かったのに。

随分と化粧した様に綺麗になってまぁ。

外壁とか窓枠とか窓とか入り口とか。

とにかく全部。

その様に思いながら俺は呆然として。

突っ立て居ると。

桜が俺の手を引っ張った。


「.....入ろ?兄貴」


「.....お.....おう」


俺の手を引きながら、ニコッと笑む桜。

顔がとにかく可愛いから、心臓が高鳴る。

何だかマジで恋人同士みたいだ。

俺は義妹の事なんか、義妹としか思ってないのに。

いかんぞ、カイ。

おちけつだ、カイ。



「栞先輩!」


「.....あ」


メイド服を改造しまくった様な服装の女性店員に案内されると。

奥の方で、コーヒーを飲んで黄昏ている栞を見つけた。

スカジャンにスカートに黒タイツの栞。

俺はそんな栞に、よっ、と声を掛ける。

桜は笑顔で手を振る。

栞は俺達の様子に。

少しだけ顔を崩したが、直ぐに険しい表情に戻った。


「.....来てくれて有難う。飯島くん。桜さん」


「問題無し」


「うん。大丈夫です」


俺達は栞の対面に腰掛ける。

そして、桜は早速と。

メニューを見る。

俺はそれを見ながら、栞に向く。


「で、何を話したい?」


「.....私の事とかあまり話して無かったですよね。それで」


「成る程な」


ピンポーンと呼び出し鈴を押す、桜。

いや、俺も考えさせろよ。

その様に思いながらも、桜の目は輝いていた。

いちごパフェに。

コイツ、いちご大好きだもんな。

俺は苦笑する。


「.....俺は高校2年生で大会のあった学校に通っているがお前は?」


「.....私は南ヶ丘高校です」


「あ、そうなのか。合同でやったあの高校か.....」


そこで、話が途切れた。

続かねぇなオイ。

何でコイツ、俺に対して少しだけ赤くなってんの。

俺もそうだけどよ。

女子と話すと絶対にこうなるし。


「.....うーん。兄貴?私の事は女の子として見てないって事?」


「うお!?察しがいいな!お前!」


ゴゴゴと音を立てて。

赤いオーラを出す、桜。

何この子!怖い!

その様に青ざめて思う、俺。

すると。


「.....ぷっ。あはは.....」


「!」


今までずっと険しかった顔の栞が。

糸が切れた様に、笑った。

俺達は顔を見合わせて。

そしてクエスチョンマークを浮かべた。


「.....どうした?」


「だって.....おかしい。あはは.....仲が良いんだね.....」


何だか恥ずかしいな。

俺達はその様に思いながら。

顔を見合わせて。

笑んだ。

すると、店員がやって来た。


「ご注文は」


髪を固めている、男の店員は俺達にその様に話す。

すると、目を輝かせて桜は。

何処ぞのクソガキの様に手を上げて叫んだ。


「いちごパフェ!」


いやーもう。

やれやれ。

俺は首を振ってため息を吐きながら。

手を上げて控えめに注文する。


「じゃあ俺はドリンクバー」


栞は桜の様子にか。

笑いを抑えつつ。

店員に言葉を発した。


「私は良いです」


その様な感じを受け付けて。

男性店員は和かに頭を下げて去って行った。

すると、俺のスマホがピコンと鳴った。

因みに俺自身のスマホは。

桜の様に着信音を改造してない。

その為、ラ●ンとかの着信は初期設定のままである。

まぁ、そんなもんじゃね?

ボッチって。


「.....ラ●ンか」


一発で分かった俺は。その様に思いつつ。

スマホの画面のロックを暗証番号を入れて解除して。

そのまま、メッセージに沿って開いた。

そこには。


(1人で買い物中!飯島は何してんの?)

(写真)


「.....いや、これだけ?」


パーカートレーナー風ファッション姿で。

リボンを頭に付けた、ウインク山崎1人撮り。

俺は苦笑いを浮かべながら。

スマホ画面を見る。

桜も覗き込んできた。


「.....すごーい。可愛いね。山崎先輩.....」


「可愛いのは良いが、何でこれだけ.....」


ボッチには理解が出来ない。

俺は取り敢えず、メッセージに返信した。


(.....俺は現在、桜、栞、俺で近くのサイゼに集まってる)


それを送った途端。

メッセージが途切れた。

打っても返事が無い。

既読にもならない。


「?」


ドドド.....。


ガラァン!!!!!


何だ今の音は。

俺達は背後を見る。

そこに、滅茶苦茶、汗だくの。

荷物を持った山崎が。

俺達は軽く悲鳴を上げた。


「いやー!!!!!私もサイゼに行きたかったから!!!!!奇遇だね!!!!!」


「.....いや、嘘吐くなよ.....今、買い物中だったんだろ」


「.....や.....山崎さん.....」


栞まで唖然としているじゃねーか。

何なんだコイツは。

マジでビビった。

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