第7話

ちょうど水曜日だったのだが、時間が経って。

水泳大会の土曜日になった。

俺は桜を誘う。

すると、桜は眉根を寄せていたが、ツンデレの様な返事で。


『し.....仕方が無いね!兄貴がチヤホヤされたら大変だから付いて行く!』


その様に返事した。

相変わらず素直じゃ無いな。

俺はその様に思い、苦笑しながら。

Tシャツ、ジーパン、上着という質素な感じで。

桜が着替えるのを待っていた。

俺達は普段、着替える場所が無いので、自室で着替える事にしている。

ただ、親父と由紀子さんは。

ちょっと違う。

親父と由紀子さんの場合は、着替える場所は寝室。

部屋を持ってないからだ。

あまりお金が無いから。

俺が助けないと。

柱である、俺が、だ。


「.....お.....お待たせ」


「.....おう。さく.....」


俺は。

部屋に入って来た桜に。

思いっきり見惚れた。

腰巻き風青色のスカート、白いワンピース。

レイヤードスタイルだっけ?

そんな感じだ。

俺は赤面しながら。

目を逸らした。

何だコイツ。

可愛いやんけ。


「.....どうか.....な?」


「.....スッゲェ.....可愛い.....」


「えへへ.....そうかな.....」


ボッと赤面して。

モジモジ恥じらいながら、こっちをチラチラ見てくる。

この場合のツインテールも完璧すぎる。

いかん。

相手は義妹だ。

あくまで妹、妹、妹.....。

その様に、思っていると。

俺の腕に桜が腕を絡めてきた。

そして、はにかむ。


「じゃあ、行こう。兄貴」


「.....おう」


ドキッとしてしまった。

本当に可愛くて。



「水泳大会って私達の高校で有るんだよね?」


「.....そうだな。俺達の高校で大会だ」


なんか選抜の大会とは聞いたが。

激戦になるだろうな多分。

大会ってそんなもんじゃね?

俺はその様に顎に手を添えて思いながら。

何時もの通学路。

道を歩く。

すると、何時もの俺達の高校に行き着いた。


「プールに行くか」


「うん。兄貴」


そして、俺達は。

大人や子供が居る中を掻き分けて。

歩いてプールまで行く。

メッセージの道順に沿って。


「.....人がいっぱいだね」


驚愕しながら、歩くと。

側の子供連れの大人の子供が。

俺達を指差した。

そしてニコニコ笑顔で言う。


「わー。カップル!」


「なっ」


カップル。

すると、その言葉に。

桜が真っ赤になり。

瞬きを繰り返して、その子供に言った。


「.....ち.....違うよ!?私には彼氏が居るから!」


その様に否定した。

いやいや。

子供にそんな説明が効くかアホンダラ。

俺はその様に苦笑して思いながら居ると。

桜はごくごく小さく呟いた。


「.....でも.....そう.....見えるんだ.....なんか.....嬉しいな.....」


聞こえない様にしている様だが、聞こえた。

俺は頬をポリポリ掻く。

すると、俺の顔をジッと桜が見てきていた。

俺は言葉を発する。


「.....その.....何だ、兄妹じゃなくてまさかのカップルか。そう見えるんだな。俺達.....」


「うん。そうだね。カイ」


なっ!?

俺は驚愕して、桜を見開いて見た。

その桜はニヒヒ。

と言いつつ、俺の腕に自分の腕を絡ませてきた。

そして幸せそうな笑みを浮かべる。


「.....その.....丁度良いかな。きょ.....今日は兄貴じゃ無くて、カイって呼ぶから。.....か.....彼氏の呼び方.....練習に付き合ってよね!」


まさかの展開に。

俺はリコピン多いトマトの様に。

真っ赤になり。

そして桜を見る。

そんな桜は本当に嬉しそうに。

俺を見ていた。



「なんか飲み物を買って行くか」


「そうだね。カイ」


いやいや。

なんか相当むず痒いんですけど。

俺の事をカイって。

すげぇ恥ずい。


「.....何が良い?奢るぞ」


「.....んー。じゃあ、これ」


指差したモノ。

それは俺が大好きな飲み物、桃のネ●ターだった。

コイツ。

態と選んでやがるな?


「.....じゃあ、2本買うか.....」


「.....い.....一本で良い。か.....彼氏と飲み合いっこ.....するのに.....れ.....練習が必要だから.....」


うぇ!!!!?

俺は直ぐに横を見る。

目をぐるぐるして赤面で。

桜が立って居た。


「.....お前、大丈夫なんか?」


「か.....彼氏との.....飲み合いっこ.....しているから!.....兄貴となんて変じゃ無いし!!!!!全然.....平気.....!!!!!」


あからさまに。

平気では無いと言っている。

これで彼氏なんぞ笑える。

しかし、今回は。

何故か俺も恥ずかしいんですけどね。

俺は盛大に息を吸ったり吐いたりして。

そしてネク●ーを一本だけ買った。


「.....本当に良いんだな?」


「.....もち、よ.....!」


小っ恥ずかしさから。

蒸気が上がっている様に見える。

普段そんな言葉使わねぇだろお前さんよ。

その様な言葉を吐くし。

大丈夫か?

コイツ。


「じゃあ、行こうか」


「.....う.....うん」


しかしまぁ。

水泳大会がこんなに重いもんだとは。

俺は知らんかったぜ。

ため息を吐いて。

バクバクする心臓を。

抑えた。

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