第4話 ラ○ン交換

そんな2人っきりの屋上での飯食いが終わってから桜と別れて、そして俺は教室に戻って席に座る。

そんな教室では相変わらず、ボッチの俺に対する視線は冷たかった、と言うか、あからさまに邪魔い的な感じであった。

この状態は気に食わないなと、思っている中で。

山崎が手を上げて、俺に声を掛けてきた。


「おっす。ね?妹ちゃんとの食事、どうだった?」


「そりゃ大切な妹だからな。楽しかったに決まっているじゃないか」


「うんうん。それは良かった」


何ですか?コイツは俺の保護者か何か?

俺はその様に思い苦笑しながら、日焼けした顔から溢れ出る太陽の様な元気を有り難く受け取る。

すると、山崎は何かモジモジし始め、髪をイジイジし始めた。

何だ?


「.....えっと.....さ.....さっきの事だけどさ.....その.....ごめんね。背中を思いっきりに叩いたりして.....」


「ああ、その事か。気にすんな」


その様に話すと。

山崎は赤面しながら何か決心した様に、俺に言い掛けた。


「.....その.....」


キーンコーンカーンコーン


のだが、丁度、チャイムが鳴った。

更に、現文の先生が入って来て。

山崎は驚いて声を上げた。


「.....あっと、.....その、また後でね!飯島!」


「.....お.....おう」


山崎は照れ照れしながら、去って行く。

かなり気になる感じで途切れてしまった。

俺はその後、悶々とした時間を過ごす羽目になってしまい、ため息を吐きつつ。

教科書とノートを交互に見ながら考えた。


『.....その.....』


の、意味の答えを、だ。

ノートには板書を書き写すだけの作業。

全くと集中出来ず。

それに、教科書は絵を見るだけの作業になった。

やれやれ。



キーンコーンカーンコーン


「.....ふああ.....」


眠てえなあ。

俺はその様に思いながら目の前を見る。

黒板の上の時計は開始まで後6分と俺の目に知らせていた。

そうなのか、と俺は納得しながら。

目線を移す。


「お疲れ様」


山崎が居た。

俺は口角を上げて、おいーす、と言う。

その山崎は、目の前の椅子に今時の男子高校生が腰掛ける様に腰掛けた。

日焼けの太ももが目に付いて、俺は目を慌てて逸らす。

だが、山崎には見られたみたいで。

山崎はニマーと俺を見つめて反応した。


「.....あー。もしかして、私の太もも見た?飯島のエッチー」


「.....いやいや、そんな座り方するお前の方が悪いだろ。お前は仮にも可愛い女の子なんだから.....」


俺は顔を横に向けて、その様に話す。

この言葉に山崎は目をパチクリして、反応した。

そして男座りから座り直す。


「.....そ.....そうなんだ.....」


「.....あ?」


「.....何でも無い.....」


何でコイツは突然に赤面してんだ?

恥ずかしくなったか、と俺はその様に思いながら。

思い出したので、山崎に話した。


「.....なぁ。山崎。お前さ、さっき言いかけた事は何だったんだ?」


「ん?あ.....その.....」


俺はどの様な答えが返ってくるのか、思い覚悟していると。

スマホをブレザーのポケットから取り出した、山崎。

俺は目をパチクリした。

可愛らしいキャラモノアクセサリーの付いたスマホだ。

確か、ぐ●たま、だったか?

実に女の子らしい、ってか、携帯?

思っていると、山崎は俺を見て、はにかんだ。


「.....●イン、交換しない?」


その様に、山崎は言った。

まさかの言葉に俺は目をパチクリして反応する。

そして、言葉を発する。


「.....そういや、お前とラ●ン、交換して無かったっけか?」


「うん。交換してない。ってか、断られた。以前、交換しようとしたら.....ね?」


山崎は半ば、お怒り気味で話す。

青ざめる俺は考える。

そしてハッと気が付いて、尚更、青ざめる。

すると、山崎は呪文の様に俺が昔、●インの交換を断った事を話し出した。


『ねぇ!飯島君!●イン交.....』


『断る!!!!!』


入学当時、教室仲間でサークルを作りましょう。

という事で、俺をラ●ンに誘ってくれた山崎。

しかし、そのサークルと、半ばしつこい様な山崎が嫌で俺は断った。

今、思い出して苦笑いを浮かべる。


「.....あれは酷いと思う。言っている途中で断るなんて.....」


「.....すまん.....ってか、どうせ今回も教室サークルに関する事なんだろ?俺は孤独が好きだから勘弁してくれ」


「.....違うよ」


俺の言葉に、山崎はポツリと呟いた。

携帯を両手で握りしめて、そして俺の目を真っ直ぐに見て、柔和な表情を浮かべる。

その表情に若干見惚れ、顔を若干に赤くした俺は目を逸らした。


「.....私と飯島だけのグループライ●だよ。だから、サークルは関係ないよ」


俺の言葉に、何故か頬を紅潮させてその様に話す、山崎。

何だって?

俺は心臓をバックンバックン鳴らしながら山崎の目を静かに見つめる。

すると、山崎は笑顔で。


「.....飯島。私は貴方に友達が出来てほしい。そう願っているの。だから、私と飯島だけのグループ。先ずは私とお話しよ?」


と、その様に話した。

俺はそういう事かー!ガクッと肩を落とした。

だが、この山崎とのラ●ンでのやりとり、それは嫌いじゃない。

俺はスマホを取り出す、そしてフルフルで交換した。


「.....えへへ。有難う」


山崎はようやっと俺の情報を入手出来た事にか。

嬉しそうに反応する。

その様子を俺はため息を吐いて見てから言った。


「こっちこそ。有難うな」


義妹と、家族。

それ以外の初めてのラ●ンだった。

俺は確認して。

そして、ゆう、と書かれたプロフを見てから笑んだ。

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