第2話 桜という義妹

「勉強しないとな.....」


夜、俺の部屋にて。

机に乗せているライトに照らされながら、高校の教科書を見つめる。

俺自身、成績は悪いと分かっている。

だが、俺には将来、公務員になる事を夢見ているのだ。

何故なら、給料が高い、社会保障があるなどの点だ。

両親を支えたいという気持ちがあり、その為、猛勉強をしているのだ。

頭をふやかしたい為に。


カリカリカリ.....。


「.....」


数学、現文、英語。

俺はスマホのタイマーで勉強時間を測る。

勉強時間を測って、それぞれ勉強をしっかりする為だ。

俺はスマホを頻繁に観ながら。

勉強をする。


ピコン


「.....?」


すると、唐突にスマホにラ●ンが来た。

内容は桜からである。

今度は何やねん。


「.....?」


俺はため息を吐きながら。

シャーペンをノートの上に置いて。

ラ●ンを開くとそこには。


(何してるの?)


コイツという奴は

ついさっきまで怒っていた癖に。

俺はまた、ため息を吐いてやれやれと言いながらメッセージを送った。


(.....勉強だ。将来、公務員になる為の)


これに対して、直ぐにまたメッセージが呆れる程に早く来た。

俺はため息を吐く。


(.....ふーん。まぁ、私には彼氏が居るからどうなろうが知ったこっちゃ無いけどね!)


意味不明過ぎて草。

ならメッセージを寄越すなよ。

俺はその様に思いながら、コトンとスマホを机に置く。

すると。


ピコン


何だよ勉強に集中出来んだろ。

俺がよ。

天才のお前とは違うんだぞ俺は。


(ちょっと!何?私と話したく無いの!?)


(何だよ。面倒臭い)


(あ!面倒臭いとか言った!私と話すのが嫌なんだ!ふーん!)


駄目だこりゃ。

滅茶苦茶に面倒臭い。

俺は複雑な顔付きをしながら目の前の窓から外を見て。

そしてメッセージを打った。


(構ってちゃんですか。お前さんは)


(はぁ!?ち.....違うわよ!!!!!私はさっきの事で兄貴の事を傷付けてないか心配で!)


(はいはい)


ご心配どうも。

俺はスマホを見ながら。

ギャーギャー騒ぐ桜に対して、落ち着けとメッセージを送る。

すると、また返事が来た。


(絶対に違うから!構ってちゃんじゃないから!)


(分かったつーの。取り敢えず、俺は頭が悪いからさ、勉強させてくれ)


(.....ぶー.....分かった。暫くメッセージを送らない.....)


暫くってどういう事よ。

後でまたメッセージ来るのかよと俺はツッコミを入れながら。

盛大にため息を吐いた。

こんな日常が続いているからなぁ本当に。



俺の義妹、遠山桜。

今の名前は名字が変わって飯島桜と言うが。

高校一年生の成績優秀の才色兼備の少女。

何時も何時も彼氏が居ると言い放ち。

そのくせ、俺にやたらに絡んでくる義妹だ。

あまりにも面倒臭い。


「.....おっと。もうこんな時間か.....」


メッセージが止み勉強。

そして気が付くと。

既に夜中の1時を回っていた。

大変だこのままでは明日の学校の勉強に影響が出ちまう。

それは避けねばならない。

寝よう。


「とっとと寝るか.....」


ピコン


「.....何やねん。こんな時刻に」


また桜か、と画面を見る。

桜からだった。

何だよ一体。

ってか、何で起きてんだよ午前1時だぞオイ。

メッセージを開くと。


(兄貴、寝る?)


何だこのメッセージ?

見てから、俺はやれやれ言いつつ。

メッセージに返事をした。


(そうだな。寝るよ。つーか、お前は何をしていたんだ?こんなクソ遅い時刻まで)


(.....私も勉強してたの!)


ああ、そうですか。

天才も勉強なさるんですね。

苦笑いを浮かべながらメッセージに返事をする。

一応、義妹だしな。


(早く寝ろよ。明日も学校なんだからな)


(分かってる!)


(.....そうですか)


俺はスマホの画面を見ながらため息を吐く。

何度目の溜息なのやら。

しっかしまぁ。

よく考えてみて、桜はいつの間にこんな隠し.....いや、隠せてない様なブラコンになったのやら。

全く記憶が無いのだが。

本格的に女子ってのはよく分からんな。

俺はボッチの野郎だし。


(私、彼氏に●インして寝るから!じゃあね!)


(そうですか。じゃあ.....)


(バイバイ!!!!!あ、ラインは消さないでね!)


しねぇけど、消したくはなったな。

面倒くせぇなと俺はその様に思いながら。

勉強机のライトを消した。

ってか、やべっ。

凄い眠たいな。

ライト消したらこのざ.....ま.....。

く.....。



「ちょっと.....起きて.....アンタ。朝なんだけど.....」


なんだか天使の声がする。

ヤバい、ちょっと頑張りすぎたか。

起きれないな。


「.....起き.....ないと.....き.....き.....」


いやいや。

動けよ、俺の体。

思いつつ、俺は起き上がろうとした。

すると、何か息がかかる感じがして、直ぐに目を開く。


「.....?」


「.....うわ!?おはよう!兄貴!朝だよ!!!!!」


目の前に大慌てのツインテール姿に。

熊さんの模様があしらわれたエプロンという感じの桜が目の前に居た。

俺は眠気まなこを擦りながらその姿をボーッと見る。

ああ、成る程、コイツだったのか。

また起こしに来たんだな。


「.....おはよう。桜」


「.....う.....うん。お早う.....」


髪の毛に触れながら。

顔を紅潮させて、髪をイジイジする、桜。

何だコイツ。

何故、赤面してんだ?

意味が分からん。


「.....あー.....お前、俺の顔に落書きとかしてないだろうな?」


何かのアニメにあったな。

そういうの。

俺は、頬とかデコや顔を触る。

すると桜は眉根を寄せて怒った様に話した。


「はぁ!?そんな子供みたいな事をすると思う!?この私が!!!!!」


プンスカ腕を組んで怒る桜に。

何だかちょっとイジメたくなった。

俺は口角を上げて、そっぽを見てから話す。

ニヤニヤしながら、だ。


「だって、お前は俺の事が嫌いなんだよなぁ?だったらもしかしたらイタズラでもしているかも知れないじゃねーか」


「は.....はぁ!?」


「俺は義妹にも嫌われて.....女嫌いになりそうだから彼女作ろうかなぁ。マジで」


桜は俺の言葉にどんどん涙目になっていく。

それからプルプル震えている。

あ、ヤベ。

結構、調子に乗りすぎたか。

俺は少しばかり複雑な顔付きをする。


「.....彼女.....作れば良いじゃない.....」


「.....え?」


「私には彼氏が居るから!!!!!知った事じゃないもん!兄貴の馬鹿っ!」


桜はその様に叫び。

俺を殴って。

そして駆け出して部屋から飛び出して行った。


「何するんだ!」


「知るか馬鹿っ!!!!!」


イッテェなクソ。

にしてもちょっとからかい過ぎたか。

俺は頭を掻きながら。

ため息を吐いて、そして立ち上がる。



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