第29話 2節 オリンポス惑星の住人(10)

みんなの目の前に、オリンポス惑星の陸地が近づいてきた。

大都市の緑地の中にある代表者公邸の真上から、四匹の竜たちが顔を出した。


*** この大きな建物がデウスの家だよ・・・

タリュウとジリュウは、デウスの家の中にケン、マリ、サーヤ、ミウ、カゲマルを送り出した。


*** デウスの家の玄関はキレイだよ・・・

サブリュウとシリュウは、ヒロ、サスケ、ハンゾウ、ロン、コタロウ、ヒショウをデウスの家の前に送り出した。


「あれ、ここで君たちは何をしている?」

警官たちが近づいて来る。


デウス公邸を警護している警官たちは、突然目の前に現れた少年と動物たちに驚いたのだ。


「しまった、デウス以外のオリンポス人に見つかってはいけないんだ」

ヒロがとまどっていると、ロンがとっさに説明を始めようとする。

「僕たちは・・・」


しかし、警官の腕が四本あることに驚いたコタロウが、声をあげて逃げ出した。

「おーい、コタロウ、逃げちゃだめだよー」

ヒロとサスケがコタロウを追いかける。

取り残されたロン、ハンゾウ、ヒショウも、後を追った。


「こら、待ちなさい。待てえー」

警官たちが追いかけたが、コタロウ、ヒロ、サスケに続いてロン、ハンゾウ、ヒショウも公邸の門の外に出てしまった。


「もう、警官たちは追っかけて来ないから大丈夫」

ヒロは、後から門の外に出てきたロンとハイタッチした。


「デウスの家のキレイな玄関を見たから、警官たちに見つかってしまったな」

ロンはコタロウ、サスケ、ハンゾウ、ヒショウに話しかけた。


「見ろよ、ロン、一人乗りのカプセル型の自動車がいっぱい走っているぞ」

目の前の広い道路を見て、ヒロが声をあげると、ロンは自動車の中を凝視ぎょうしして言った。

「どの自動車にもハンドルがない。みんな自動運転で走っているんだ」


一方、直接デウスの家の中に現れたケン、マリ、サーヤ、ミウ、カゲマルは、無事にデウスに会うことができた。


「オリンポス国へようこそ。君たちが現れるのを待っていたよ。しかし、聞いていた人数より少ないようだが、どうしたのかな?」


デウスが首をかしげると、マリが明るく答えた。

「この家の玄関がキレイだから、うっとり見ているんでしょう」

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