第30話 2節 オリンポス惑星の住人(11)

「それは大変だ。君たちの仲間は、公邸警護こうていけいごの警官に逮捕たいほされるかもしれない」


デウスの言葉にミウが反応する。

「えっ、すぐに助けに行かなくちゃ」


「待ちなさい、モニターで外の様子を見てみよう」

デウスの声に反応して、部屋の壁に公邸の外の様子が映し出された、


「警官たちが門の方から公邸の玄関に戻って来ている。ということは、君たちの仲間は門の外に出てしまったようだな。オリンポスの国民から見れば、君たちは得体えたいの知れない宇宙人だ。大騒ぎにならないうちに、ここに連れ戻そう」


そう言って、デウスが合図をすると、美しい少女が部屋に入ってきた。

「アルテミス、このお客さんたちの仲間を急いでここに連れて来ておくれ」


「はい、お父様。あ、皆さん、ようこそオリンポス国へ。じゃあ、ちょっと行ってきます」


ケンが、アルテミスの後姿をうっとり見つめていると、ミウがケンの背中を軽くたたいた。

「ケン、そんなことしてると、サーヤに嫌われるよ」


「えっ、何言ってるんだよ、モニターを見てるだけなのに」

ケンがドギマギしてモニターを指差すと、公邸の門の外を歩いているヒロたちが映っている。


「あ、もうアルテミスがヒロたちに近づいている。あれ、何なの、ロンがうれしそうな顔してる」

マリが口をとがらせて、ちょっと怒った。


「あなたたち、一般の人たちに見つかると大騒ぎになるから、私と一緒に公邸の中に入りましょう」


アルテミスが近づきながらヒロに声をかけると、ヒロより先にロンが答える。

「そうだね、でも、どうして君は僕たちのことを知っているの?」


「私は、デウスの娘のアルテミスです。皆さん、ようこそオリンポス国へ」

アルテミスが軽くロンをハグした後、ヒロをしっかりハグした。


その様子を見て、サスケが二人の間に割り込んだが、手遅れだった。


「初めまして、アルテミス。僕はヒロ、これは愛犬のサスケです。彼は仲間のロン、そして、ペットのコタロウ、ハンゾウ、ヒショウです」


ヒロはアルテミスを見つめたまま、夢見心地でみんなを紹介した。

サスケが心配してヒロの足を踏んでみたが、ヒロはアルテミスのとりこになってしまったようだ。


「あなたがヒロなのね。昨日、父からみなさんのことを聞いたのよ。早く公邸の中に入って、お話しを聞かせてね」


そう言いながら、アルテミスが公邸の玄関に向かうと、ヒロたちは一列になって後に続いた。

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