第13話 1節 アトランティスの最期(12)

「そうなんですか。でも、王国が繁栄しているから、あの立派な神殿を建設できたんじゃないですか?」

不思議に思ったケンが問いかけると、中年の男は無念の表情を浮かべて答えた。


「私の名前はディプレ、この国の王だが、恐らく最後の王になるだろう。あの神殿の中に、この国の歴史が描かれているから、皆に見せてあげよう」


皆が丘の頂上に登ると、目の前に堅固けんごな石造りの神殿が現れた。

近づくと、数百年、いや数千年前に建設されたように見える。


「言い伝えによれば、この神殿は五千年以上前のアンペル王の時代に、初代の王であるアトラス神に感謝して建設されたものだ」


ディプレ王が説明すると、すぐにサーヤが質問する。

「そのアンペル王の時代に、どうしてこんな立派な神殿を建設できたんですか?」


「言い伝えだけでは詳しいことはわからないが、神殿の中に入れば貴重な物を見ることができる」


そう言って、ディプレ王が神殿の中に入って行った。

「おーっ、立派な建物や街のイメージと建設方法のような絵が描かれている」


ロンが驚いていると、マリも声をはずませる。

「こっちには飛行機、あっ、そっちには自動車みたいな絵があるよ」


「ヒコウキ、ジドウシャ、と言ったのか?君達は、ここに描かれているものが何なのかわかるのか?」

ディプレ王が驚いて、皆をじっと見つめている。


「はい、飛行機や自動車はわかります。信じてもらえないかもしれないけど、ぼくたちの国には飛行機や自動車があります」


ディプレ王の様子を見ながら、ヒロがゆっくりと話すと、お供の八人の男たちがざわついた。


「そうか。では、これが何かわかるか?」

ディプレ王が指し示した壁面に、家系図のような絵と解説文と思われる古代文字が描かれていた。


「うーん、あの文字はスフィンクスの中の古代エジプト文字に似ているね」

ヒロが小声でささやくと、ケンが大きくうなづいた。


「それはよくわからないので、説明して頂けませんか?」

ミウが機転をきかせて、ディプレ王たちに笑顔を向けた。

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