第11話 1節 アトランティスの最期(10)

「うーん、最近、父さんとは話をしていないなあ。ヤミの魂(たましい)と戦う準備をしているんじゃないかな」

シリュウの中にいるサーヤが、ハンゾウの背中をさすりながらこたえた。


「どうやってヤミのたましいと戦うんだろう・・・映画に出てくるような宇宙船や武器を作っているのかな?」


武術の好きなケンが話に割り込んでくると、ロンが反論する。

「映画でやってるような宇宙戦争は起こせないよ。地球以外の高度な文明を持った惑星は遠すぎて、お互いに生きたまま遭遇そうぐうすることはできないんだ」


それに対してケンが言う。

「そんなことわからないよ。ロンの知らない方法でものすごく速く移動する宇宙人がいるかもしれない」


「あー、大変だ・・・二千年どころか一万年くらい前の時代に来てしまった」

ロンの話を聞いているうちにうとうとしてしまったタリュウが声をあげた。


「あっ、ホントだ、ロンの話が難しすぎて、ぼんやりしてしまった。二千年前の時点にもどろう」


そう言って、ジリュウが後ろを振り返ると、サブリュウとシリュウが応える。

「そうだ、ジリュウの言うとおりだ。もどった方がいいよ、タリュウ」


影宇宙からこの宇宙を見ると、天空から地上を見ているようだ。


「あれっ、地球の海面が低くなって、島が現れたぞ。タリュウ、あの島は何だろう?」

ヒロは、時間をさかのぼって行くうちに、海面が変化していることに気づいた。


「ひょっとしたら、アトランティスかもしれないね」

タリュウが答える前に、ミウが言った。

エジプトのスフィンクスを調べた時に、スガワラ先生が言っていたことを思い出したのだ。


「アトランティスなら、母さんに会いに行く前に、ちょっとだけ行ってみたいな。サーヤ、いいだろう?」

好奇心をおさえきれないヒロが、サーヤに同意を求めた。


「アトランティスって、古代ギリシアのプラトンが書いた本の中に出てくる、海に沈んだ大陸のこと?」

サーヤは気が進まないようだが、ケンがサーヤの気持ちを変えようとする。


「アトランティスは、大陸みたいに大きな島で、すごく繁栄した王国だったらしいよ。一緒に行ってみようよ」

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