第7話 1節 アトランティスの最期(6)

夕日が西の山にかくれようとする頃、ヒロたちは志能備(しのび)神社のほらの中に入った。


「三年前は、ヒロだけ先に行っちゃったから、俺たちは大変な苦労をして追いかけたんだよな」

ケンが口をとがらせると、ミウが笑ってヒロの顔を見る。

「うん、ヒロはサーヤをさがそうと必死だったからね・・・」


「あの時は、ごめんね。今度はみんな一緒に行こう」

ヒロが合図をすると、サスケが洞の奥の壁に向かって駆け出した。


「みんな、サスケに続いて走れ!」

ヒロ、サーヤ、ミウ、ケン、マリ、ロン、カゲマル、コタロウ、ヒショウが、同時に駆け出した。


ケンが後ろを振り返ると、壁が閉じている。

「あっという間に、影宇宙の入り口が消えてしまった・・・」


みんなの前には、空が広がっていて、見上げると四匹の竜がいた。


「おー、タリュウ、ジリュウ、サブリュウ、シリュウ、久しぶりだなあ」

ヒロが四匹の竜に笑顔を向けると、タリュウの言葉がみんなの心に直接伝わった。


*** あー、ヒロ、元気だったか?みんな四つに分かれて、おいら達の口の中に入って・・・


ヒロ、サーヤ、サスケがタリュウに入ると、ミウとマリがカゲマルとヒショウを連れてジリュウに入った。

「じゃあ、俺とコタロウがサブリュウに入るよ」


ケンがそう言うと、ジリュウの中からミウがケンに声をかける。

「そんなことをしたら、未経験のロンが一人になっちゃうじゃないの」


「ありがとう、ミウ。じゃあ、ケン、一緒に入るよ」

ホッとした表情のロンが、ケンとコタロウに続いてサブリュウに入った。


*** あれあれ、おいらの所には誰も来ないのか・・・

シリュウがさびしそうにつぶやくと、サーヤがヒロにささやいた。

「母さんの所に行く途中で、インドのばあちゃんとハンゾウに会って・・・」


「そうだ!ハンゾウをシリュウに運んでもらおう」

ヒロは、サーヤの気持ちがよくわかる。


「シリュウ、五百年前のインドの山奥に行こう。そこでハンゾウを乗せてやってくれ」


ヒロの声がみんなに聞こえると、ケンが笑い声で言った。

「ハンゾウかあ、大きくなっているから、シリュウに入るかなあ・・・」


*** えーっ、そのハンゾウって、どれだけ大きいの?・・・

シリュウが不安げな声を出した。

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