第12話 素晴らしい街
ざわざわと辺りが騒がしくなり目が覚めた。
気がつくと朝になっていた。
周りには小さな人だかりができている。
どうやらおれたちは昨日の悪魔の一件の後、疲れて寝てしまったらしい。
アリアとデネブを起こす。
アリアはすぐ起きたがデネブはまだ寝ぼけている。
人だかりの声が耳に入ってくる。
「神父様が倒れているぞ!」
「お、おれは昨日次元の裂け目から悪魔が出たのを見たぞ。」
「おれもだ!」
「あいつが呼んだんだ!あいつがこの街に来たから次元の裂け目が現れたんだ!」
「きっと神父様は戦ってくれたんだ!」
「よくも神父様を…。」
街の奴らは昨日次元の裂け目が現れた時、一目散に逃げ、家の戸を閉めた。
だからこんな適当なことを言っているのだろう。
呆れてそれを正すものも言えん。
「悪魔に憑かれた少年…。やっぱりあの噂は本当だったんだ。」
それをを
「カイト…。」
不安そうなアリアに声を掛けられる。
「こ、この街は、はえーとこ出てったほうが良さそうだ。」
デネブもさすがに空気を察する。
やれやれ。
「アリア。デネブ。堂々といろ。俺たちにはその資格がある。」
2人を諭し一歩前に出る。
「お前らそこの神父に感謝するんだな!そいつがいなければこの街は、いや世界は滅んでいただろう。」
「神父様に向かってそいつ呼ばわりだと?」
「やはり神父様をやったのはあいつなんだ!」
「あいつらを捕らえろ!生きて逃がすな!」
力に自信のありそうな男どもが襲いかかってきたが、みなデネブに突き飛ばされた。
恐れをなした人々は遠くから石やら何やら投げるだけで近づいては来なかった。
ふん。後味の悪い街だ。
素晴らしい街のまま終われないのか。
この街は
逸話や伝説は都合のいいところだけ語り継がれるから腹立たしい。
こうしてその街を後にした。
「神父様!やっとお目覚めになられましたか!」
「…。ここは。」
「ここは病院です。神父様は
「…!?カイト!カイトはどこだ!?」
「カイト?誰ですか?それ。」
「勇者だよ!勇者カイト!この街を救ったのは彼だよ!私も彼に救われた。だからこの命を捧げ最大の祝福を与えたんだ。なのに彼はそれを受け取らなかった。また私に返したんだ!ちくしょう!この大きすぎる借りをどうしたらいい?とにかく勇者カイトに会わせてくれ!」
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