水の都 ソネルオ
はじけるように光る水面、まるで大河のように荘厳に街全体へ流れていく川。ここはアリオネーテ共和国ではなくアリオネーテ王国の首都であった都市、ソネルオ。今でも王族が住んでいて、アリオネーテの中でも特に固定観念が強い都市。
はたして私は、この都市の固定観念をとり払えるのだろうか?
そう不安に思う気持ちもあるし、心の大半を占める。
だけど、私がやらなきゃ誰がやる?
____こんな挑戦、私以外にやる人は居ないだろう!
今にも街の中心部から、「政府反対」という強い声が聞こえてくる。
かつての首都は、時が流れここまで変わってしまった。
昔のソネルオは、キラキラとした水と幸せそうに芸術を追い求める人でいっぱいだったのに。
それが今、「政府反対、政権を国王に戻せ!」という声が、100年来の強い怨念かと思うくらいに伝わってくる。
水面は輝くが、人は輝かない。芸術を追い求める者など皆別の街移ったようだ。
清く澄んでいた水の都の人間は、皆何処かでくすんでしまったようだ。
今にでも反乱が起こりそうなこの都市の過去の栄光は素晴らしいものだった。どこの国へ知られても全く恥ずかしくないと思うくらい、素晴らしくて誇らしい。しかし今のソネルオを見て、そんな都市だと思う人は居ないだろう。
国王が、芸術は絵画だけ、といつの日かスピーチで声を上げていた。
あの幼かった夏の日。私は別にどうも思わなかったのだ。逆に、あたりまえだろうと思っていた。
それはとても怖いことで、恐ろしいこと。
あたりまえなことなんて、ひとつも無いのに。
あたりまえと思ってしまったら、成長なんてできないのに。
私は挑戦者だ。
私はこれから過去のアリオネーテに、あの夏の日の国王に、戦いを挑む。
sfidante 水篠 皐月 @SatsukiMizusino
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