焔の都 ルーネチア
キラキラと光る太陽に、白いキャンバスに思いっきり絵の具を落としたような青空。
ここは焔の都、ルーネチア。
アリオネーテ共和国の首都で、私の出身地。
焔の都、なんて呼ばれるこの土地には不思議な歴史がある。
「大昔、川が氾濫し壊滅的状態になったこの土地に流星が降った。その流星はまるで炎のように赤く、あたたかい。その流星を売ることによって、ルーネチアは活気を取り戻した」
しかもこの土地ではよく宝石が取れる。真っ赤で、石の中にゆらゆら揺れる炎が見える、不思議な宝石。
「あら、リザちゃん!お久しぶりね〜最近お仕事どう?」
陽気に声をかけてくれたのは昔からある八百屋のおばさん。
「こんにちは、お久しぶりです!やっぱりこの街は落ち着きますね。最近はちょっと、気になることがあって……」
「あら〜そうなの!?なんでもおばさんに話してみて!おばさんリザちゃんのことなんかよーく知ってるんだから!もちろん、リザちゃんがエリザベータってお名前になる前から、ね!」
「じゃあ、聞いてください。おばさんは芸術って、絵画だけだと思いますか?」
「えー、そう聞かれると悩むわねぇ……私は絵画だけではないと思う。絵画だけでも飽きちゃうじゃない?ずっと同じものを食べ続けると飽きちゃうように。いろいろ楽しみたいわ!」
「そう、ですか、ありがとうございます!」
「でもね、エリザベータ。忘れちゃいけないわ。この意見は、アリオネーテ全体では少数派だってことを。」
「やっぱり、少数派ですよね。」
「何か変えたいのでしょう?諦めちゃあいけない。アリオネーテ全体では少数派だけど、新し物好きのルーネチアなら、少数派では無いはずよ!もうそろそろ店に戻らなきゃ、ごめんねリザちゃん、私戻るね!」
「ありがとう、おばさん!私は、今のまま頑張ってみます!」
そう。私には、ルーネチアの人のようにほかの芸術を受け入れてくれる人がいる。私は間違ってなんかない!
焔の都のお守りである、焔の流星のストラップを買って、少し意見を聞いて帰ろう。きっと、何かに気づくはず。
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