sfidante
水篠 皐月
アリオネーテ共和国
「音楽?なんだ、そんなもの、芸術なんかじゃないだろう!」
きょうも、またきょうも言われてしまった。
ここはアリオネーテ共和国、通称芸術の国。
絵画が、とても盛んな国である。
特産品は絵筆に絵の具、絵を描くことは息をするようなくらい当たり前なこの国は、多くの画家を世界へ送り出している。
そんな国で生まれ育ち働く私は、絵画以外にも素晴らしい芸術があると知った。
それは、音楽。
音楽は絵画とは違う、鑑賞者に制作過程を見せながら作っていく芸術。
絵画では伝えられないことを、音楽でなら伝えられるのだ。
絵画が有名な我が国が芸術の国と呼ばれるのはこの世界全体で、芸術は絵画だけと思われているから。
書だって、文だって、音だって、工夫をすれば芸術になると私は思う。そして、そんな素晴らしいことを芸術の国であるアリオネーテがやれば、世界全体が鮮やかになるだろう!私はそう思うのだ!
だがしかし、それは幻想にしか過ぎない。この国には、芸術は絵画だけであるという固定観念が染み付いている。
私たちが、カラスと言われると、黒色で「カーカー」と鳴くと容易にイメージできるように、ここの国民の脳内では芸術=絵画となっている。
私はどうにか、この国を鮮やかにしたい、けど、どうしたらいい!?
国内は2つの勢力に別れ、南北で離れてしまいそうなこの国を、音楽でならきっと繋ぎ止められる、直感がした。
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