人格保管計画

 故人の著作や日記などを入力して仮想人格を作るプログラムが開発された。当然データが多いほうが、より本人の性格に近いものが出来上がるので、作品数の多い有名な作家ほど復活させやすいのである。

 まず太宰治が甦った。未発表の書き損じの原稿なども含め、全作品を入力された仮想人格プログラムが起動し、ディスプレイにCG合成された太宰の顔が浮かんだ。人々は固唾を呑んで、この大作家が初めに何を言うのか見守った。

 太宰は言った。「生まれて、すみません」

 全員ずっこけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る