SFナイン・ストーリーズ
ミラ
アポロ爺さんホラ吹き夜話
わしは子供の頃、友達のおらん孤独な少年じゃった。いつも近所の家のブロック塀相手に、一人でキャッチボールをしておった。
ある日のことじゃ。ちょっと強めにボールを投げたら、ブロック塀に大きな穴が空いてしもうたのじゃ。そらもう、びっくりじゃよ。
怖くなって慌ててその場を逃げ出したのじゃが、住宅街でバズーカ砲をぶっ放したやつがいるちゅうて大騒ぎになった。
もちろんその後、ブロック塀に向かってボールを投げるわけにはいかんようになった。どこか他に力いっぱいボールをぶつけてキャッチボールしてもいいような場所を見つけようと、一日中あちこち探し回ったのじゃが、結局見つからずに夕方になってしもうた。
わしは途方にくれて空を見上げた。鏡のようにツルツルとしたきれいな月が夕空にかかっておった。それを見て、わしは思わず「あれだ!」と叫んだのじゃ。
もちろん今では後悔しとるよ。わしがキャッチボールの的にしたせいで、お月さんがあんな醜いあばた面になってしもうたのじゃからな。
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