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2018年3月27日 20:40
オムファロス仮説から導き出された推理-----アダムのへそのようにかつて生きていた人間のような死体を密室内に創造した------という発想がすごいなと思いました。ミオと阿良木健太郎とのやり取りも読みごたえがありました。阿良木はでもそれほどまでにミオの姉にまた会いたかったのだということを感じました。ミオのキャラクターが聖孝同様にとても魅力的です。安心して謎解きを任せておけるような。どんな風に推理、考察、解明していくのかわくわくするような感じです。色数山荘の図面もよくできていたと思います。『辺見の自殺の真相』『解釈分岐と奇書的構造のヒント』については解答が欲しいところです。(笑)(余談ですがStephen J.GouldのAdam's Navelの最初の方だけですが読んだ事があります。)
作者からの返信
まさか続けて読んでいただけるとは!読了ありがとうございますm(_ _)m変なものを読ませてしまい申し訳ない気持ちがないでもないですが・・・・・・序章の部分は実はほとんど2012年に「小説家になろう」で書いたもので、解答は当時掲載しませんでしたが、終章の内容を想定していました。ただ答に辿り着いた方が一人もいなかったのでいつか解説編を物語にしようとは企んでいました。しかし元ネタにしている奇書もそうですが、いささか謎めいた部分を残しすぎているので自分でもよくわからなくなってきています(笑)(以下、解答ではないですが自分の整理のためにも少し説明したいと思います)このミステリは奇書をオマージュしたものでもあります。私は三大奇書 (四大奇書)の愛読者でして、作中には随所に『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』『匣の中の失楽』を想起させる部分があります。衒学趣味や、ミステリのタブー (犯人不在)を書いているところなどは影響を受けています。そしてこのミステリの構造は深読みすればするほど奇書の構造に近似していきます。たとえば阿良木の書いた小説を一章のバスの中でミオが読んでいます。タイトルは『黒猫は悪魔の夢を見る』ですが彼はさらに外側にいる作者である私と同じ名前「ラキムボン」という黒猫を飼っています。第一の解釈としてこの作品或いは作中作が「黒猫=ラキムボン=作者の見る悪魔的な夢」ともとれます。また一章の途中で肇は原稿用紙で十五枚ほど作中作を書いていますが、一章が始まってからその描写までの長さは原稿用紙換算で丁度十五枚ほどになるように書いています。これは第二の解釈として、一章そのものが肇の創作作品である可能性を示唆します。第二の解釈であった場合更に分岐の可能性があります。一章が「実際の事件を書いた実録小説」か「フィクション」か判別できないのです。これはミオの導いた一見するとあり得ないと思われる真相が、事実なのか虚構なのかという根幹部分を揺さぶります。本当に犯人は不在なのでしょうか・・・・・・。たとえば色数山荘の図面には意味ありげなデッドスペースがあったり・・・・・・。辺見の自殺の真相は二章に関わります。阿良木は絶望したからだと説明していますが、実はこれは想像に過ぎません。辺見剛士は「へんみごうし」と読みますが、これは実はオムファロス仮説の提唱者ヘンリーゴスからとった名前です。嘔吐するほどに衝撃を受けていた彼はあるいは阿良木の思い至った世界の仕組みよりもずっと先の何かに気づいたのかもしれません。ちなみに拙作を最初に読んだ私の親友は「こっち側に来たかったんじゃないか」と推理していました。つまり創造主側に、この場合は我々の住む世界に、ですね。・・・・・・と、もっと色々やろうと思えば解釈は分岐したりします。ここまで考える読者さんがいるとはまず想定していないのですが無駄に色々仕込んでしまいまして・・・・・・(笑)なんにせよ、『フロイトの密室』よりはるかに奇怪なこちらまで読んでいただいてありがとうございました!(スティーブンジェイグールド・・・・・・リチャードドーキンスの論敵ですねー、そんな著作があったとは知りませんでした)
オムファロス仮説から導き出された推理-----アダムのへそのようにかつて生きていた人間のような死体を密室内に創造した------という発想がすごいなと思いました。
ミオと阿良木健太郎とのやり取りも読みごたえがありました。
阿良木はでもそれほどまでにミオの姉にまた会いたかったのだということを感じました。
ミオのキャラクターが聖孝同様にとても魅力的です。
安心して謎解きを任せておけるような。
どんな風に推理、考察、解明していくのかわくわくするような感じです。
色数山荘の図面もよくできていたと思います。
『辺見の自殺の真相』『解釈分岐と奇書的構造のヒント』については
解答が欲しいところです。(笑)
(余談ですがStephen J.GouldのAdam's Navelの最初の方だけですが読んだ事があります。)
作者からの返信
まさか続けて読んでいただけるとは!
読了ありがとうございますm(_ _)m
変なものを読ませてしまい申し訳ない気持ちがないでもないですが・・・・・・
序章の部分は実はほとんど2012年に「小説家になろう」で書いたもので、解答は当時掲載しませんでしたが、終章の内容を想定していました。ただ答に辿り着いた方が一人もいなかったのでいつか解説編を物語にしようとは企んでいました。
しかし元ネタにしている奇書もそうですが、いささか謎めいた部分を残しすぎているので自分でもよくわからなくなってきています(笑)
(以下、解答ではないですが自分の整理のためにも少し説明したいと思います)
このミステリは奇書をオマージュしたものでもあります。私は三大奇書 (四大奇書)の愛読者でして、作中には随所に『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』『匣の中の失楽』を想起させる部分があります。
衒学趣味や、ミステリのタブー (犯人不在)を書いているところなどは影響を受けています。
そしてこのミステリの構造は深読みすればするほど奇書の構造に近似していきます。
たとえば阿良木の書いた小説を一章のバスの中でミオが読んでいます。タイトルは『黒猫は悪魔の夢を見る』ですが彼はさらに外側にいる作者である私と同じ名前「ラキムボン」という黒猫を飼っています。第一の解釈としてこの作品或いは作中作が「黒猫=ラキムボン=作者の見る悪魔的な夢」ともとれます。
また一章の途中で肇は原稿用紙で十五枚ほど作中作を書いていますが、一章が始まってからその描写までの長さは原稿用紙換算で丁度十五枚ほどになるように書いています。これは第二の解釈として、一章そのものが肇の創作作品である可能性を示唆します。
第二の解釈であった場合更に分岐の可能性があります。一章が「実際の事件を書いた実録小説」か「フィクション」か判別できないのです。これはミオの導いた一見するとあり得ないと思われる真相が、事実なのか虚構なのかという根幹部分を揺さぶります。本当に犯人は不在なのでしょうか・・・・・・。たとえば色数山荘の図面には意味ありげなデッドスペースがあったり・・・・・・。
辺見の自殺の真相は二章に関わります。阿良木は絶望したからだと説明していますが、実はこれは想像に過ぎません。辺見剛士は「へんみごうし」と読みますが、これは実はオムファロス仮説の提唱者ヘンリーゴスからとった名前です。
嘔吐するほどに衝撃を受けていた彼はあるいは阿良木の思い至った世界の仕組みよりもずっと先の何かに気づいたのかもしれません。
ちなみに拙作を最初に読んだ私の親友は「こっち側に来たかったんじゃないか」と推理していました。つまり創造主側に、この場合は我々の住む世界に、ですね。
・・・・・・と、もっと色々やろうと思えば解釈は分岐したりします。ここまで考える読者さんがいるとはまず想定していないのですが無駄に色々仕込んでしまいまして・・・・・・(笑)
なんにせよ、『フロイトの密室』よりはるかに奇怪なこちらまで読んでいただいてありがとうございました!
(スティーブンジェイグールド・・・・・・リチャードドーキンスの論敵ですねー、そんな著作があったとは知りませんでした)