第3話 甦るキンパラ伝説3 ~金よさらば~

○翌日・ユウ達のテント

フィメナ「済まない……、支度金を使いこんでしまった」

フィメナが真っ青になって報告をした。

ショーコ「ええ!、フィメナさんも!?」

トーゴ「『も』ってお前達まさか……」

ナナ「わらわもじゃ」

トーゴ「オイオイオイ、じゃあ今いくらあるんだ」

ショーコ「ハーイ、アタシもスッカンピンですー」

ユウ「明るくいわないでよ、私とパパは使ってないわ」

トーゴ「俺もいくらかあるが……、フィメナの支度金が大半だったよな、厳しいよな」

フィメナ「うぅ、すまない……」

ハル「終わったことだし仕方ないよ、それよりフィメナさん鎧はどうしたの?」

フィメナ「はう」

ナナ「そういえば剣もないのう、どうしたのじゃ?」

フィメナ「ぎゃふ」

トーゴ「……質に入れたんだ、表ざたになるとマズイから他に言うなよ」

ユウ「現役の近衛兵がカジノで使い込みの上に装備を担保にしていたなんて……」

ショーコ「バレたら大問題ね」

フィメナ「」ぱくぱく

トーゴ「おいおいそんなにいじめるな、無駄に真面目だからな、大丈夫かフィメナ?」

フィメナ「ぉ……ぉぅ」

ユウ「で、どうしてフィメナさんがそこまで負けこんだの?、訳があるでしょ」

トーゴ「……言わないでおこうとも思ったが仕方ない、おーいサン」

サン「やっぱ言わなきゃだめか~」


第三王子サンビームがあらわれた。


ナナ「サン兄ぃ!、サン兄ぃなのじゃ!」

ダダダ ガシッ!

ナナはサンに飛びつく。

サン「あっはっは、ナナちゃん久しぶり~大きくなったねぇ」

ハル「ナナのお兄さんなの?」

ショーコ「サンって、あのサンビーム様!?」

トーゴ「そうだな、各国を遊学中ということになってる第三王子サンビーム様だ」

サン「はっはっは、遊学だなんて、兄貴とケンカしてそのまま出てきただけだよ」

ハル「そうなの?」

トーゴ「とにかく王家で一番フリーダムな方だ」

サン「そんなに褒めないでよ、照れる」

フィメナ「褒めてません」



トーゴとサンはいきさつを説明した。

トーゴ「というわけでサニー様には借金がある」

サン「それを返し終わらないと市場から離れられないんだよね~」

ナナ「よーし、みんなサン兄ぃを救い出すのじゃ」

ユウ「とはいっても」

ショーコ「お金絡みだし、いつものように魔法でドーンとはいかないわよねぇ」

トーゴ「だよなぁ」

ハル「具体的にどうするの?、お城にバレずに500万なんて大金どうやって」


「「「うーん」」」


ショーコ「お困りのようね皆さん」

ユウ「ショーコ?」

トーゴ「何か方法があるのか?」

ショーコ「こういう格言を知ってる『目には目を歯には歯を』」

ハル「えっと?」

ショーコ「やられたら同じモノでやりかえすってことよ」ボソ

ハル「そうなんだ」

フィメナ「しかし今回の事ではそれは……」

ショーコ「そうよギャンブルにはギャンブルで……あのパチスロを完全攻略してやろうじゃない!」

ナナ「おお!、そうじゃ攻略してやるのじゃ、負けっぱなしでは気がスマンのじゃ!」

フィメナ「そうか!、よーしやるぞ!!、剣を取り返すぞ!」


「「おおー」」


サン「うわー、頼もしなぁ」

ハル「……これでいいの?」

ユウ「攻略って簡単にいうけど、そんなの出来るものなの?」

トーゴ「……ワカラン」


○三日後

ショーコ「今日は5万勝ったわよー」

ナナ「やったのじゃー」

トーゴ「少し勝率があがったな」

フィメナ「ショーコ君が常連から打ち方を教わったらしい」

ハル「へー、やり方があるんだ」

――貯金15万G


○一週間後

トーゴ「9万近く負けたぁ!?」

フィメナ「うう、面目ない……」

ハル「えー、攻略法を見つけたんじゃなかったの?」

ショーコ「……ただ効率よく打つだけじゃダメね、台の見極めが出来ないと」

ナナ「まだまだ修練が必要ということじゃな」

トーゴ「しかしこの分だと稼がないとやっていけないぞ」

ハル「うーん、明日からどこかのお店で働こうか?」

サン「だったらウチの店なら紹介できるよ、僕も働いてるし」

ユウ「仕方ないわね、私とパパで働くわ」

トーゴ「俺も何か出来る仕事を探すわ」

ナナ「ぬう、スマンのう……必ずや攻略法を見つけるからの」

――貯金2万G


○10日後

フィメナ「やったー大勝利よー」

ナナ「安売りしてるから買い物にいこうぞ」

サン「行こう行こう!」

トーゴ「コラコラコラ、勝ってるからって無駄使いするんじゃない」

フィメナ「いいじゃないかたまには息抜きも必要だ」

トーゴ「どうしたフィメナまで!?、最近おかしくないか?」

フィメナ「フフフ、そうか?、まぁ私も新境地に達したということだ」

トーゴ「どんな境地だよ、まったくまだまだ400万近く必要なんだぞ」

サン「いいじゃん、明日また勝てばいいんだから、順調順調」

ショーコ「そうよ、だから今日は買い物よー」

ナナ「おおー」

フィメナたちは買い物へ出かけていった。

ハル「あーあ、いいの?」

トーゴ「一体どうしたんだアイツら」

ユウ「ナナやショーコはとにかく、フィメナさんは異常ね……、やっぱり何かあるわね」

ハル「そうだとしたらどうするの?」

トーゴ「しかしなぁ、貯蓄は順調だし……、まだ様子をみるか」

ユウ「トーゴがそういうなら」

――貯金89万G


○2週間後

フィメナ「うああーよこせー!、今日こそ勝つんだー!」

トーゴ「バカ野郎、これは晩飯代だろうが」

フィメナがトーゴにすがりついている。

ショーコ「うわーヒドイことになったわね」

ナナ「負けこんだからのう」

サン「いやー、困ったねぇ」

ユウ「アナタ達ねぇ……、まったく」

ハル「それにしてもフィメナさんがやっぱりヘンだよね」

ショーコ「依存?、マジメな人ほどなるんだっけ?」

トーゴ「とにかく落ち着け!、ユウなんとかしてくれー」

ユウ「仕方ない……、”睡眠”」

ポワン

フィメナ「次は勝て……りゅ……」スピースピー

フィメナは眠ってしまった。

トーゴ「まったく」



トーゴ「すまん助かった」

フィメナを寝床に寝かしつけたトーゴが戻ってきた。

ハル「あの真面目なフィメナさんが……ギャンブルってコワイね」

ユウ「それでどうするの?、このまま続けるの?」

トーゴ「うーむ、考え直した方がいいな」

ナナ「考え直すとしてもどうやってじゃ?、兄上に頼るのか?」

サン「え~」

ショーコ「それにもうすぐ市場の移動が始まるわよ、カジノもそれに合わせて最後のイベントやるらしいし」

ハル「イベントって?」

ショーコ「パチスロ王決定戦よ」

ハル「パチスロ王?」

サン「制限時間内で出玉勝負をするんだよ」

ナナ「優勝賞金として100万Gあるのじゃ」

トーゴ「それでも500万には足らないぞ」

ナナ「だったら400万分打ち勝てばいいんじゃ」

トーゴ「そんな都合よく勝てる見込みがないのは十分わかってるだろ」

ナナ「むうう」

トーゴ「第一に参加するにも元手がないじゃないかどうするんだ」

ショーコ「じゃあさ、この無駄に買ったアイテムの数々を売っぱらいましょ」

ユウ「やっと片付ける気になったのねソレ」

ショーコ「よく考えたらいらないし、てへぺろ」

トーゴ「元手はそれでいいとして……、バックアップが必要だな」

ハル「負けたらサンさんも連れてかれちゃうしね」



ユウ「ねぇパパ、私たちも今から行ってみない?」

ハル「僕が?」

トーゴ「ユウも挑戦するのか?」

ユウ「いえ……、それより確認したいことがあるの、パパとね」

トーゴ「そうかお前達なら大丈夫だろうし……、ハルも何か異変に気付くかも知れないな、頼んだ」

ショーコ「じゃあアタシは売ってくるついでに何か情報ないか調べるわ」

トーゴ「おう」

サン「僕らはどうしよっか」

ナナ「サン兄ぃわらわ達も調べに行かぬか、わらわなりの方法で」

サン「そうだねぇ、怪しいかなーと思ってたところもあるし、行ってみようか」

トーゴ「サン何するつもりだ?、無茶はしないよな」

サン「しないよ~、ナナちゃんとちょ~っと見て回ってくるだけだよ」

トーゴ「……わかった、じゃあ俺は」

ハル「フィメナさんを見ててね」

トーゴ「……そうかそうなるか」

ユウ「そうよ、じゃ準備が出来たら行きましょ」



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