第3話 甦るキンパラ伝説2 ~旧知との遭遇~

○カジノ

ナナ「カジノじゃー」

フィメナ「走らないでください」

ハル「ここがカジノ?」

ユウ「その割には……」

ショーコ「全然人がいないわね」

店内は客もまばらで活気がない。

トーゴ「なぁ、兄ちゃんどうなってるんだ?」

店員「今はあちらのコーナーが流行りです、こっちはさっぱりでさ」

トーゴ「みんなあっちに行ってるのか?」

店員「はい、古代遺跡から発掘されたという古代のゲームだそうで」

ハル「古代のゲーム?」

トーゴ「まさか、そういう売り文句なんだろう」

店員「まぁ、本当かどうかわかりませんが今の技術では作れないマシンだそうです、古代人かドワーフが作ったとかなんとか」

ショーコ「ホントかしら?」

ユウ「行けばわかるでしょ」

トーゴ「よし行くか」


ジャラララ、ピーン、ピロピロピロピロ


トーゴ「はー」

ハル「っー、ナニコレ凄いうるさい」

ハルは耳を抑えて顔をしかめている。

ショーコ「これがスロット?、ピンボールとスロットが合体してるじゃない!?、なんて斬新な」

ナナ「これが古代のゲームなんじゃな」

トーゴ「ナナもきたのか」

ナナ「人がおらんとツマランのじゃ」

トーゴ「だよな」

フィメナ「しかしこれがカジノか?」

ピロピロピロピロ、ジャジャーン、オオアタリ―、ヤッタネ

「よっしゃあああ」、「43番台のお客様スタートです」、「あーちくしょう」

ずらりと並んだ古代マシンと人の列の中は大音量の機械音と歓声や罵倒を絶えず流し続けている。

ユウ「こんな所いられないわ、出ましょうよ」

ユウはハルの耳を抑えながら言う。

???「おやおや、慣れれば大丈夫ですし面白いのは補償しますよ」

フィメナ「あなたは?」

支配人「わたしはこの古代スロットの支配人です」



支配人「この古代スロットはパチンコスロットというマシンでして私が遺跡から掘り出しました。、言葉どおりの掘り出し物でしたよ、ほっほっほ」

フィメナ「掘り出した?、貴方が?」

支配人「ええ、私は以前学者でしてね、これを見つけたときにこの仕事に転職しました」

フィメナ「では行方不明の発掘員というのは貴方では?」

支配人「おや?、そんなことになってますか?、後で連絡をしないといけませんかね」

トーゴ「なぜ急にカジノの仕事を?」

支配人「そりゃあこのマシンを有効利用するためですよ」

トーゴ「このゲームはどうやって遊ぶんだ?」

支配人「お教えしますよ、こちらにゴールドを入れると玉を借りられますのでこれを弾いて真ん中のゲートに入れて下さい」

ナナ「こうじゃな」ピロリ―ン

フィメナ「ちょっとナナーシャ様」

ナナ「少しくらいいいじゃろ?、のうトーゴ」

トーゴ「仕方ないな、大目にみてやれよ」

フィメナ「少しだけですよ」

ナナはパチスロをプレイしはじめた。

ピーン、ジャラララ、ポポーン

ナナ「おお、スロットがまわったのじゃ」

支配人「はい、真ん中のゲートに玉が入るとスロットの抽選が始まりますあとは普通のスロットと大体同じですが奇数になると確変といって連続で当たりがでますよ」

ショーコ「そんなんじゃPB率高くならないの?」

支配人「それはどうでしょうね、台によって確立は違いますし釘……、この盤面の突起ですがこれの角度もそれぞれ違いますので」

ユウ「ふーん、でもこれって楽しいの?」

支配人「そりゃあ当たった時の爽快感が魅力ですよ、ぜひ体験してみてください」

ナナ「よーし、あててやるのじゃ……、ありゃ玉が無くなったのじゃ」

フィメナ「はい、おしまいですよ」

ナナ「フィメナ―、当てるまでじゃー」

フィメナ「そんないつまでかかるかわかりません、ダメです」

ナナ「トーゴー」

トーゴ「んー、じゃあこれを使い切ったら終わりにするんだぞ」

トーゴはナナにいくらか渡した。

フィメナ「こら、貴様がそうやってナナーシャ様を甘やかすからわがままになったんじゃないか?」

トーゴ「だからといって何もかもダメにしていいってもんなじゃないだろう、加減ってものが……」

「アーダコーダ」

ショーコ「あらーなんだが夫婦ケンカみたいねぇ」

フィメナ「ふ!?、ふぅうふ!!」カアアア

トーゴ「おいおい、勘弁してくれどうしてこんな前世がゴリラみたいなや」

フィメナ「貴様ぁ!!」

ドゴォン

トーゴ「ウボァッ!」

フィメナの右ストレートがトーゴの顔面をとらえた。

フィメナ「不愉快だ!、しばらくナナーシャ様を任せたぞ」スタスタスタ

フィメナは歩いていってしまった。

ショーコ「あちゃー、トーゴさん大丈夫?」

トーゴ「あたた、効いたなぁ、ハル回復魔法をって、ハルはどこいった?」

ショーコ「ユウとどっかいったわ」

トーゴ「そうか、仕方ない耐えるか」

「アッタリ―、ヤッタァ」

ナナ「おおおおおおおおお、やったのじゃ、大当りじゃ!」

ジャラジャラ

ショーコ「当たったの?、スゴイじゃない!」


○別の列、ユウとハル

ユウ「ハル大丈夫?」

ハル「うん、だいぶ慣れてきたよ」

ユウ「この辺りは空いてるわね」

ユウとハルは空いている席に座る。

ハル「ふーんこれが古代スロットかぁ」

ハルはパチスロをしげしげと眺める。

ユウ「これが発掘品なら、今回はただの観光になりそうね」

ハル「うーん、でもこれ機械と魔力の半々で動いてるね、こんな複雑な構成初めてみるよ」

ユウ「そうなんだ、ヘンな感じはしないの?」、

ハル「……あるようなないような、ヘンな音はしてるけど」

ユウ「音?、イヤな感じはしない?」

ハル「……ないと思う」

ユウ「じゃあ本当にただのゲームなのかしら」

ハル「そういえば拾った玉ってここの玉だよねぇ」

ハルは拾った銀玉を取り出した。

ユウ「やってみる?、ここに入れるみたいよ」

ハル「こうかな、えい」ピーン

ピロン、ピロピロピロ

ハル「あ、はいった」

ユウ「そうね」

ピコーン、ジャジャジャジャーン

「オオアタリー、ヤッタネ」

ハル「え?」

ユウ「あら当たったみたいね」

ジャラジャラジャラ

ハル「うわわわ」

店員「おめでとうございます、95番台のお客様スタートです」

ハル「え?え?」

オッサン「すげーな、ボーズ」

オバチャン「やるじゃない」

ガヤガヤガヤ

周りに人垣ができる。

ユウ「ちょっと、何よ?」

ハル「え?え?、あの……どうぞ」

ハルは逃げ出した。

オッサン「いいのか!?、おおおお」

オバチャン「ちょっとアタシにかわったのよおおお」

ドヤドヤ

当たり台の取り合いがはじまった。

ハル「うわー悪い事したかな?」

ユウ「いいんじゃない、そろそろナナたちの所へ戻りましょ」

ハル「そうだね」


○ナナたちが遊んでいる列

ナナ「なんで出ないのじゃー」ドンドン

「台をたたかないでください」

トーゴ「ほら、機械にも怒られてるぞやめるぞナナ」

ピロピロピロ……ピロン

ショーコ「ああ~~外れた~、くっそー」

ユウ「ショーコまでやってるの?」

ユウとハルが戻ってきた。

ショーコ「ユウ、いいところにちょっと貸」ユウ「ダメ」

ショーコ「ここまでやって負けらんないのよ~」

ハル「もう二人とも止めておいたら?」

トーゴ「あれ、フィメナは一緒じゃないのか?」

ユウ「あら、居ないの?」

トーゴ「そうだが……、ハル少しいいか?」

ハル「いいよ、ちゃんと謝っておいで」

トーゴ「うーむ、できたらな」


○数分前、別の列

フィメナ「まったく……トーゴはいつもいつも」ブツブツ

フィメナはナナーシャ様たちとは別の台の通路を歩いている。

フィメナ「ナナーシャ様もツーリス様やサニー様と居た時は素直だったのにアイツのせいで……」ブツブツ

ピーンピロピロピロン

サン「……あぁ、またダメか」

フィメナ「せめて旅に出たサニー様が戻って下されば……って、サニー様!?!?」

サン「……あれフィメナかい?、どうしたのこんな所で」

フィメナ「どうしたもなにも、サニー様こそ何してるんですかこんな所で!?」

フィメナは放浪の第三王子サンビームを見つけた。

サン「うーんなんていうか、なんだろうねぇ」

フィメナ「でも見つかってよかった王国に帰りましょう、ナナーシャ様と一緒に」

サン「ナナちゃんも来てるのかい?、そうかー、困ったなぁ」

トーゴ「どうした知り合いか?」

トーゴがやってきた。

トーゴ「サン!?」

サン「トーゴもきてたんだ」

トーゴ「久しぶりじゃないか、王国には戻らないのか?」

サン「うーん、そろそろ顔をだしたいとは思うんだけどねぇ」

トーゴ「どうした?、何か問題か?」

サン「そうだね~、お金貸してくれない?」


フィメナ「借金!?」

トーゴ「500万!?」

サン「うーんそういうことになってるみたい」

フィメナ「そんな金額いったいどうやって?」

トーゴ「酒を飲みながらカジノで遊んだんじゃないか?」

サン「なんで分かったの?、トーゴはすごいね」

トーゴ「マジか……、困ったな」

サン「でしょう」

フィメナ「それなら王国に連絡して……」

トーゴ「やめろ、ワンス王が本気でサンと縁をきっちまうぞ」

フィメナ「う……」

サン「だよねぇ……、それでここで働いてるんだけど金額が金額だからね」

トーゴ「それでスロットで当てて返そうってか」

サン「そう! だけどなかなか上手くいかないんだよねコレが」

トーゴ「だろうな……しかしそんな大金本当にどうしたら」

フィメナ「……わかりました、私にお任せください」

サン「ホント?、助けてくれるの」

トーゴ「おい、どうするつもりだ?」

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