第2話 ハルの『P』についての冒険1

○王都の宿屋・ショーコの部屋

ショーコ「だったらパンツね」

ハル「パンツ!?」

ショーコ「うわっと、そんなに意外?」

ハーフエルフの少年ハルは娘の友人のショーコに相談をしていた。。


ハル「だって誕生日プレゼントだよ?、それにパンツなんて」

ショーコ「ハルさんは今時の流行りをわかってないのね~」フフフ

ハル「流行りって……ウソでしょ?」

ショーコ「ホントよ、ユウを驚かせたいんでしょ?、普通のプレゼントじゃダメじゃない」

ハル「そうだけど……」


ショーコ「じゃあ無難にアクセサリー?」

ハル「それは去年あげた」

ショーコ「バッグは?」

ハル「一昨年あげた」

ショーコ「じゃあ時計は?」

ハル「入学祝いにあげたよ」

ショーコ「花束は?」

ハル「そんなの毎年一緒に贈ってるよ」

ショーコ「ほら~、だったらもうパンツしかないでしょ、あげたこと無いのは」

ハル「そうだけど、そんな……パンツってプレゼントするものなの?」

ショーコ「もちろん!、意外と贈られると嬉しいのよ、それに家族じゃないとプレゼント出来ないものなんだから」ニヤニヤ

ハル「そう言われたらそうなんだろうけど……」


ショーコ「じゃ決まりね、ユウのプレゼントはパンツに決定ということで」ニヤニヤ

ハル「でもそんなのどうやって買えば……ねぇ、ショーコちゃん一緒に……」

ショーコ「あっらー、いけないこんな時間」ガタン

ハル「え?」

ショーコ「ごめんだけど、新春祭の準備と打ち合わせと搬入と仕入れやら色々立て込んでるから、行かなきゃ」

ドタバタバタ、バタン

ハル「え」

ガチャ

ショーコ「そうそう、いい年なんだからオトナっぽいの選ばないとダメよ、子供じゃないだから」

ハル「ええ!?」

ショーコ「じゃ、あとはガンバってね」

バタン

ハル「ええ~~」


○廊下

ショーコ「というわけでアタシは行くけど、ハルさんの活動を後で報告してね、バレずに」ボソボソ

召使「かしこまりました、……見ているだけでよいのですか?」

ショーコ「そーねー、ギリギリまでフォローしないでね」フヒヒヒ

召使「心得ました、ではいってらっしゃいませお嬢様」

ショーコ「ふふふ(ハルさんピュアだわ~あんなに信じちゃって、報告が楽しみ)って時間ヤバッ」

バタバタバタ


○数時間後、王都大通り

ハルが一人で歩いている。

ハル「……(ユウは朝からお城に行ってるから、今日買うしかないけど)」

テクテク

ハル「……(でもパンツを買うなんて……あのお店だよね)」

テクテク


○ランジェリーショップ前

ハル「……」ドキドキ

スタスタ

ハルは店前を通り過ぎてしまった。


ハル「しまった、つい……(今度こそ)」

スタスタスタタタ

ハルは店前を足早に通り過ぎてしまった。


ハル「あぅ、もう!(何をしているんだ僕は、ユウのプレゼントを買いにきたの!、僕は!、よし勢いで行こう勢いで)」ドキドキドキ

タタタタタタタタタ

ハルは店前を駆け抜けた。


ハル「あぁダメだぁ……っ!(やっぱり無理ぃ、あんなトコロ一人じゃ無理だよ)」ぜーはーぜーはー

ハル「うう、ちょっと頭を冷やそう」


○近くのカフェテラス

ハルは注文を終えて席で思案に暮れる。


ハル「うーん(よーしまずイメージトレーニングだ、イメージ大事)」


――ハルのイメージ

店員「いらっしゃいませ」

紳士「やぁ、すまない娘の誕生日祝いにひとつ贈りたいのだがいくつか見繕ってくれないかね?、なにぶんこういう店は初めてなので」

店員「それでしたらこちらはいかがでしょう、きっと喜ばれますよ」

紳士「よし、それを包んでくれたまえ」

店員「ありがとうございます」

――ハルのイメージ終了


ハル「よしっ……(大丈夫、ユウのプレゼントを買うだけ、ヘンじゃないヘンじゃない)」

店員「ミックスジュースのお客さま~」

ハル「あ、僕です」


店員「はい、ボク気をつけて飲んでね」

ハル「あ、はい……(ボク……)」

店員はジュースをハルの前に置いていく。


――ハルのイメージ

ハル「あの、娘にプレゼントしたいのですが」

店員「え?、娘?」

ハル「いえっそのっ、姉です、お姉さんにです」

店員「あらー、お姉さんにプレゼントするのボク?、オマセさんね~」

ハル「あの、それでおススメがあったら」カアア

店員「おススメ?、お姉さんはどんなのが好きなの?」

ハル「わ、わかりません」カアア

店員「じゃあ、キミはどんなのが好きなのかな~、こんなの?、それともコレ?」フフフ

ハル「あのっあのっ」

――ハルのイメージ終了


ハル「……もっと身長があったらいいのに、それと髭。 どうしようプレゼント」


○王城、酒倉

その頃ハルの娘、ユウは酒倉の扉を開けた。

ギィイ

ユウ「ホワイティはいるわよー」

ドタドタドタドタ

「オタスケー」

王城の兵士が中から飛び出してきた。


酒倉の中央にホワイトドラゴンが鎮座している。

ホワイティ「あーあ、逃げられちゃったわ」

ユウ「ちょっと貴方、何やってるのよ」

ホワイティ「何ってお酒をとりにきた兵士の中に中々のイケメンがいたからつい……パクッて」

ユウ「貴方ねぇ……シャレにならないわよ」

ホワイティ「やーね、甘噛みよ甘噛み、たまにはイケメン成分を補給しないと死んじゃうのよ」

ユウ「よく言うわ、それにパパから貴方は雄って聞いてるけど」

ホワイティ「あらやだバレてた? でもドラゴンの性別なんて飾りみたいなものよ」

ユウ「本当かしら?」

ホワイティ「まぁまぁ、それで今日は何の用?、ただ雑談に来てくれただけでも嬉しいけど、女子トークする?、ぶっちゃけちゃう?」

ユウ「じゃあぶっちゃけてもらおうかしら、コレについてね」パアア

ユウが集中すると手が光に包まれる。


ホワイティ「あら……キレイねー、何?、新しい魔法?」

ユウ「……白々しいわね、コレは魔法じゃないの」

ホワイティ「……へぇ、そうなの、初めて見たわ」

ユウ「”雷撃”」

バリバリバリ


ホワイティ「いったぁ、ちょっとぉ、シミになったらどうするのよ!」

ユウ「嘘をつくからよ、私には『わかる』の。……それも知ってたんじゃない?」

ホワイティ「……さあ」

ユウ「ホワイティ、貴方この力について何か知ってるでしょ?」

ホワイティ「んー知ってるような知らないような」

ユウ「”重雷……”」

ホワイティ「タンマタンマ!、本当に言えないんだって」

ユウ「言えない……、知ってるけど言えなってことね」

ホワイティ「だって、その……色々とお約束があるのよドラゴンにも」

ユウ「300年も寝てたくせに約束とか関係あるの?」

ホワイティ「あら、人間は一晩寝たら昨日の約束は忘れていいの?」

ユウ「……そう、スケールが違うわけね」


ホワイティ「……ユウはその力いつから使えるの?」

ユウ「……(質問はするのね)……初めて使ったのは半年ほど前でこないだの戦いでも使えたわ」

ホワイティ「自分の意思で出来るの?」

ユウ「自分で出来るようになったのは最近よ、それにこれが限界」

ユウが光に包まれた拳を振ると光の飛沫が酒樽の汚れを落とした。

ユウ「これじゃ掃除くらいにしか使えないわ……」

ホワイティ「どうやって発動させてるの?」

ユウ「それは……パパの事を考えると出来るのよ」

ホワイティ「あぁ、それで」

ユウ「でも半年前もこの前ももっとパワーがあったわ」

ホワイティ「ふぅむ」

ユウ「これをコントロールできないと倒せない魔族がいる……、そうでしょ?」


ホワイティ「……そうね」

ユウ「だったらこれのコントロール方法を」

ホワイティ「ダメよ!、まだダメ」


ユウ「……『まだ』ね、いつになったらいいの?、グズグズ出来ないと思うけど」

ホワイティ「そうだけど……」

「ユウー」

タタタタタ、ドン

ユウ「うわっと、ナナ!?」

第七王女ナナがユウに抱き付いてきた。

ナナ「ユウ~、ホワイティに会いに来たならわらわにも顔を出してくれてもよかろう?、なかなか来ないからわらわから出向いたのじゃ」

ユウ「ごめんなさいね、ちょっと話し込んでたから」

ナナ「何を話しておったのじゃ?」

ユウ「えっとね」

ホワイティ「美白の秘訣についてよ」

ナナ「そうか確かにホワイティは白いからのう、参考になるじゃろうの」

ユウ「まぁ、確かに白いけど……」

ホワイティ「ついでだからコレ背中に塗ってくれない?」

ホワイティは手近にあった美容クリームの樽を開けた。

ナナ「うむ、まかせるのじゃ」

ナナはクリームをすくってホワイティの背に登る。

ユウ「ちょっとホワイティ、ナナにそんなことさせてるの!?」

ホワイティ「だって、他の人は怖がってしてくれないもの」

ナナ「一応、ホワイティはわらわの管轄じゃからのこれも勤めじゃて」ヌリヌリ

ユウ「……仕方ないわね、私も手伝うわ」

ユウも袖をまくって美容クリームをすくった。

ユウ「あ……(コレ、ショーコの店の商品だ)」


○大通り、カフェテリア

ハル「うーん(本当にパンツとか贈るのが最近の流行りなのかな?、誰かほかにこんなこと相談できるのは……)」

ハルの脳裏に三十路の妹弟子の事がよぎる。

ハル「……(クスシおきてるかな?)」

ハルは公衆電話を探し始めた。


○南の町、クスシの店

ジリリリリリリン

クスシ「はいはい、何よ二日酔いなのに」

ガチャ

クスシ「本日は臨時休……てハル?、どしたの?」

ハル「ちょっと相談したいんだけど」

ハルは事情を説明した。


クスシ「パンツプレゼント!?」

ハル「やっぱりヘンだよねぇ、パンツを贈るなんて」

クスシ「あーでも最近の若いコの流行りかー、どうだろ」

ハル「あぁ、薬師は33だったよね、わからないか」

クスシ「えぇえぇ、どーせ三十路ですよ」

ハル「やっぱりショーコちゃんにからかわれたのかなー?」

クスシ「あ、でもわたしはショーツとかは贈られるのはアリかな、いくらあっても困らないし」

ハル「そうなんだ、でもどんなのがいいのか分からないよ」

クスシ「Tよ」

ハル「てぃ?」

クスシ「だからTバックよ、オンナ勝負下着はTバックに決まってるでしょ、セクシーだしドレスにパンティライン出さないためにも必須よ(※クスシの個人的な見解です)」

ハル「そうなの本当に?、じゃあ色は?、やっぱり白やピンクがいいかな?」


クスシ「はー分かってないわね、白なんて汚れやすいしピンクなんて子供っぽいじゃない」

ハル「そうなの?、じゃあ何色だったら」

クスシ「赤ね」

ハル「あ、赤」カアア

クスシ「黒もいいよね」

ハル「黒ってそんな、ユウはまだ16だよ」カアア

クスシ「17になるんでしょ……その年頃なら下着だってもう大人よ、ハルはユウのショーツとか見ないの?」

ハル「み、見てないよ」カアア

クスシ「そんなこといって~、こっそり見たりしてないの?、こっそり」ニシシ

ハル「見ない!、僕はパパだよ!、もーっ、からかわないで!」

ガチャン、ツーツー


クスシ「ふふ、ハルもお年頃になったのねぇ……昔はわたしのパンツも平然と洗ってたのに」

クスシ「それは女として……まぁいいや、深く考えないでおこ」

クスシは二度寝しにベットに戻った。


○王都、大通り・公衆電話

ハル「もう、クスシは~」カアア

ハル「うーん(他にこういうことに詳しそうなのは……)」

ハルの脳裏にナイスミドルの幼馴染が浮かぶ。

ハル「トーゴ……まぁ経験は豊富だよねぇ」

ジーコジーコ



ハル「え?、王都こっちに来てるの?」

兵士A「分隊長は朝から城に用事があるって……ルソルも一緒だし今頃その辺にいるんじゃない?、バッタリ会うかも」はっはっはっ

ハル「はあ……わかりました失礼します」

ガチャン

ハル「こっちに来てるっていってもバッタリ会えるわけ……」

トーゴ「お?、ハルか?、どうしたこんな所で」

ルソル「ホントだハルさん久しぶり~」

ハル「バッタリー!?」

ハルは幼馴染のトーゴとその部下ルソルとバッタリ会った。


○再びカフェテラス

トーゴ「パンツ!?、誕生日にか?」

ハル「やっぱりそんなの贈らないよね」

「スペシャルロイヤルパフェです」「うわースゴーイ」

トーゴ「いやー、無くは無いかな」

ハル「え!?、あるの?」

「スプリングベリーソースのパンケーキ5段です」「わーい美味しそー」

トーゴ「まぁ嫁とか……そういやフィメナにもやった事あるぞネタで」


ハル「それフィメナさん怒ったでしょ」

トーゴ「確かに殴られた、でも真っ赤になったアイツ面白かったぞ、メッチャ動揺してた」クックックッ

ハル「もうフィメナさん真面目なんだからからかっちゃダメだよ」


トーゴ「でも一応受け取ってたから満更でもないんじゃないか?」

ハル「知らないよそんなの」

ルソル「モグモグ、あたし貰ってないですよ、たいちょー、パクパク」

トーゴ「ちょっ、食うか喋るかどっちかにしろ、ってお前どんだけ食ってるんだ!?」

店員「トリプルフルーツサンデーです」ゴトッ

ハル「まだ食べれるの」

ルソル「少したべます?、たいちょーのおごりですし」

トーゴ「分かってるなら、少しは遠慮しろよ」

ルソル「ハルさんもどうです?、美味しいですよ」

ハル「いえ、見てるだけでお腹いっぱい」

ルソル「それよりたいちょーあたしは貰ってませんよ~パンツ~」

トーゴ「えぇ!?、お前も欲しいのか?」

ハル「あの……そんなに贈られたいものなの?」

ルソル「そうですよ~、かわいいのって結構高いですし~動いてると直ぐいたんじゃうし~普段頑張ってるあたしにも下さいよ~、たいちょ~」

ハル「そうなんだ(若いコには普通なのかな?)」

「たいちょ~、たいちょ~」

トーゴ「は~仕方ないな、行くかハル」

ハル「行くって?」


○ランジェリーショップ

「いらっしゃいませー」

トーゴ「ここだ」

ハル「だよね、一緒だと助かるよ」カアア

ルソル「わーカワイイのがいっぱい~いくつまでいいですか?、たいちょー」ルンルン

トーゴ「一着だけだ!」


ルソル「え~?、しょうがないな~たいちょーは~」

トーゴ「はぁ……どっちがしょうがないんだよマッタク」

ハル「ねぇ、トーゴってルソルさんと付き合ってるの?」ボソ

トーゴ「はぁ?、それは無い」

ハル「でもルソルさんてトーゴにスゴイ甘えてるよね」

トーゴ「たかられてるだけだ……、まぁ親父がわりなんだろうな」

ハル「オヤジガワリ?」

トーゴ「あいつは親父がいなかったらしいからな、それでだろう」

ハル「そういうものなの?」

トーゴ「あとは俺が入隊させたからその責任かな」

ハル「そうなんだ」

トーゴ「周りはオンナだからって反対したんだがアイツは力もあるし筋もいいんだ……性格がアレだがな」

ハル「そこまでいう程?、元気でいい子じゃない」

ダダダダ

ルソル「たいちょー、どうですか?、セクシーでしょー」

下着姿のルソルが現れた。

ハル「ちょっと!?」カアアア

トーゴ「そうだないいんじゃないか、馬子にも衣装だな(棒)」

ルソル「わーい、マゴニモイショーだって褒められたー」ニコニコ

店員「お客様!、試着したまま動き回らないでください」

ルソル「はーい、ごめんなさい」

トコトコ

ハル「……確かになんていうか天然だね」

トーゴ「だろう」しみじみ


ハル「えっと(僕もユウのを買わないと)あ、あの!」

店員「はい」

ハル「あのユウの……その姉に、パン……ッを買っていきたいのですが……その」カアア

店員「あら(おつかいかしら?)……はいどのような物をお探しですか?」

ハル「えと……普通に可愛いくて喜びそうなのでいいです」カアアア

店員「はい、サイズはご存知ですか?」

ハル「え?、サイズ」

店員「はいヒップサイズです」

ハル「えっとえっと(どうしよう……知らない)」


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