第1話 ようこそ魔王温泉へ4 ~ハルとナナの肉のろう人形~
○丸秘宝館・待合室
ギィイ
ナナ「よし、入るのじゃ」
ハル「うん」
ナナ「ここは待合室のようじゃな」
ハル「そうだね。あ、コレってワカーナさんのものじゃない?」
ハルは床からねじり鉢巻きを拾いあげる。
ナナ「む、まさしく。ではこの先にワカーナが……」
ハル「そうみたい、だって声がするよあっちから……」
バッ
ナナは慌ててハルの耳を塞いだ。
ハル「ナナ?」
ナナ「まだ聞こえるか?」
ハル「ううん、こうされたら近くしか聞こえないよ」
ナナ「そうかよかった……、とにかくわらわが先に確認するから、ハルは耳をふさいで待っておるのじゃ」
ハル「でも」
ナナ「すばしっこさではわらわの方が上じゃろ」
ハル「そりゃそうだけど」
ナナ「おとなしく、このまま待っておるのじゃ、よいな」
バタン
ナナは展示室へ入っていった
ハル「なんなのさ、もう」
○観光通り
ダン「ナナー、ハルさーん」
ツーリス「あら、ダンくん」
ショーコ「どしたの?」
ダン「う……ツーリスさんとショーコ、実は……その」
ダンは事情を説明した。
ツーリス「あらあら、ナナちゃんは奔放なところがありますからね、仕方ないわ」
ショーコ「大丈夫よ、ハルさんが一緒でしょ」
ダン「そうだとしてもユウにバレたら」ダラダラ
ショーコ「しょーがないなぁ、あたしも手伝うからツーリスさんと駅前をもう一度さがして」
ツーリス「そうね、戻ってるかもしれないしね」
ダン「あぁ、すまない」
○丸秘宝館・特別展示室
ナナは音もなく部屋に忍び込んだ。
ボォン、ボォン
部屋は大きなガラスで仕切られた浴槽があり、その中で小さな爆発が繰り返し起こっている。
ナナ「……(これはまた……風呂場を改装してあるのか?)」
???「……爆発シロッ!、爆発シロッ!」ブツブツ
ボゥン、ボゥン
ガラスの手前に台がありその前に誰かがスイッチを操作しているようだ。
ナナ「……(何をしておる)」
???「リア充……爆発シロッ!!」
ボゥン
ボタンを押すたびにガラスの向こうで爆発が起こり、その人物の顔が照らされる。
ナナは回り込みその人物の顔を確認する。
ナナ「む、なんじゃワカーナではないか!?、どうしてここに居るんじゃ」
ワカーナ?「……」ピタ
ワカーナらしき人物は動きを止めた。
バタン
ハル「え?、ワカーナさん居た?、よかったーツーリスさんが心配してるよ~」
待合室からハルが出てきた。
ワカーナ「……ダレだ」
ナナ「なんじゃ忘れたのか?、わらわはツーリス姉ぇの妹で……」
ハル「まってナナ!、なんだかヘンだよ、モンスターみたいな気配がするよ」
ナナ「なに!?」
ワカーナ「オンナノコ……とオトコノコ……」ボゥ
ハル「……今、口から火がでたような」ボソボソ
ナナ「……わらわもそう見えた」ボソ
ワカーナ「オノレ……リア充……リア充……爆発するべし……」ボゥボボゥ
ワカーナの口が動くたびに炎が吐き出される。
ハル「こ、これ」
ナナ「まさか……お主」
ワカーナ「リア充!、爆発シロッ!!」
ボボォン
ワカーナは炎が噴きあげてハル達に襲いかかる!
ハル「うわぁ!」
ナナ「逃げるんじゃ!!」
ナナはハルを引っ張って逃げ出した!
○ワカーナの回想、昨晩の丸秘宝館
ワカーナは丸秘宝館の展示を全身ヨロイ男に案内されている。
ワカーナ「……(なんだ昔のままではないか)」
ヨロイ男「ささ、ここから新展示ですよ」
看板『老王と3姉妹』
ワカーナ「……大丈夫か、隣国からの客もいるんだぞ」
ヨロイ男「大丈夫ですよ、ぎりぎり似せてませんから」
ワカーナ「……」
看板『老主人と乙女の混浴』
ワカーナ「……おい」ギリッ
ヨロイ男「あ~、流石にちょっと狙いすぎデスカネー、そのうち手直ししますよ」
ワカーナ「そうしてくれ」イライラ
ヨロイ男「ここで特別展示ですよ、ささっ、どうぞ」
ガチャ
○特別展示室
ワカーナ「ここは?」
ヨロイ男「ちょっと今までと違いますよ、お客さんならぴったりよ」
部屋にはガラス張りの浴槽があり中は暗くてよく見えない
ワカーナ「……(何かあるようだが)」
ヨロイ男「始まりますよ」
ピカッ
ガラスの向こうでライトが点き展示が浮かび上がり、仲睦まじい2体のろう人形が照らされた。
ワカーナ「これが特別か?」
ヨロイ男「ここからですよ、手元のボタンを押してください」
ワカーナ「これか」カチッ
ドォン
ろう人形が吹き飛んだ!
ワカーナ「うおっ!」
ヨロイ男「次ですよ」
ピカッ
別のろう人形が浮かび上がる。
ヨロイ男「どうです『リア充爆破ゲーム』、けっこう好評なんです」
カチ
ドォン
再びろう人形が粉微塵に吹き飛ぶ。
ワカーナ「よく出来たカラクリだな……なかなか爽快だ」
ヨロイ男「えぇ、これはおひとり様向けですから、よかったらどんどんどうぞ」
ワカーナ「皮肉か?、……まったく悪趣味だな」ハハ
次々と浮かび上がるろう人形をワカーナは爆破していく。
ドォン、ドォン、ドォン
ヨロイ男「それ、爆発シロッ!、爆発シロッ!」
ワカーナ「……」カチッカチッカチッ!
ヨロイ男「リア充爆発シロッ!」
先ほどの展示の老主人と乙女のろう人形が出てきた。
ワカーナ「……爆発しろッ!」カチ
ドドォン
ろう人形は炎を上げて吹き飛んだ。
なんと、ワカーナの口から炎が噴き出した。
ヨロイ男「爆発シロ!、爆発シロ!」
ワカーナ「ボボァ!?、ボボボファァアアアア!!」
ヨロイ男のかけ声とともに噴き出す炎が勢いを増す。
ヨロイ男「リア充!」
ワカーナ「ボボファア!?」
大炎人「爆発シロッ!!」
ワカーナの吐き出す炎が人型になり、炎人が生み出された。
ヨロイ男「ボファファファファ、素晴らしい!、これほど大きな炎人ならすぐにでも計画が実行に移せる」
ワカーナ「な……なにボファア!?」
ワカーナから吹き上がる炎が再び勢いをます。
ヨロイ男「もっとだ、もっと嫉妬の炎を上げるがよい!」
ワカーナ「やめ……ぐ……ボボボボファアアアアアアアアアアアア!?」
ワカーナは嫉妬の炎にのまれてしまった。
○現在、丸秘宝館・大部屋の展示室
バタン、バタン
ドタドタドタドタ
ナナとハルは大部屋の展示の入り口までもどり様子を伺った。
ハル「はぁはぁ……あれ山の魔物と同じ魔力だよ」
ナナ「いったいワカーナはどうしたのいうのじゃ、乗っ取られておるのか?」
ハル「わからない……あ、来た」
特別展示室の扉が開き炎が辺りを包む。
ワカーナ(炎)「……ココニモ、リア充爆発シロ!!」
ボボォン
大部屋の展示に向けてワカーナは炎を放つ。
ワカーナ(炎)「爆発シロッ、爆発シロッ!!」
ボボォンボボォン
燃やされたろう人形が溶け落ち焦げていく
ハル「あれ何してるの?」
ナナ「正気ではないの、人形と人の区別が出来ておらんのじゃ、しばらく時間は稼げるの」
ハル「どうしよう、ワカーナさん元に戻せないのかな?」
ナナ「ふむ……ワカーナには悪いがちょっと寝てもらうことにするかの」
ハル「どうやって?、僕、睡眠魔法は出来ないよ」
ナナ「案ずるな、この靴下を脱ぐじゃろ」ヌギヌギ
ハル「うん?」
ナナ「これを重ねて強度を確保して中にコインを詰める」ジャラジャラ
ハル「いっぱい入れるね」
ナナ「これを縛ったら即席の殴打武器『ブラックジャック』の完成じゃ、これで後頭部を殴打すれば気絶させれるじゃろう」ブルンブルン
ハル「……そんなのどこで覚えたの?」
ナナ「……王族の嗜みじゃ」
ハル「そうなの?、でも本当に使えるのそれ?」
ナナ「もちろんじゃ……これで城の兵士を気絶させてよく脱走したものじゃ」
ハル「……(兵士も大変だなぁ)」
○丸秘宝館・『四十八手』の展示室
ナナ「よしここに隠れるから囮はそこの人形がよいの」
ハル「これ?、……えっと”二の口”」シュイン
ハルは倒れている人形に発音魔法をかける。
ナナ「よし、配置につくのじゃ」
タタタ
ハルは離れた場所に身を隠した。
ハル「”ナナ、聞こえる?”」
人形の影からナナが合図を送る、聞こえているようだ。
ハル「……(うまくいくといいけど)」
○
ドォオン、ボォオン
ワカーナ(炎)「……」ヒュボボボボ
大部屋の展示を燃やし尽くしたワカーナが部屋に入ってきた。
ワカーナ(炎)「ココニモ……爆発シロッ!!」
ボボォン
ワカーナは目についた展示を次々と燃やしていく。
ハル「……(うわぁ早くなんとかしないと、ホントの火事になっちゃうよ)」
ボボォン
ナナ「……(もう少し……、熱いのう)」
ボボォン
人形(ハル)「ワカーナさーん!!」
ワカーナ(炎)「むぅ!?、誰だ」
ワカーナは倒れた人形を覗き込む。
ナナ「今じゃ!」ダッ
ナナが飛び上がりワカーナの後頭部を殴りつける!
バシン!!
ワカーナ(炎)「グッ!?」ドシン
ワカーナは倒れた。
ナナ「うむ、決まったのじゃ、我ながら会心の振りじゃ」
人形(ハル)「ダメ!、ナナ危ない!」
ナナ「な!?」
ワカーナ(炎)「オノレ……」ぐぐぐ
ワカーナは再び炎をまとって起き上りはじめてた。
ナナ「むんッ!」
ナナは腰を捻り振り向きざまにワカーナの側頭部を狙って殴りつける。
ジュッ……チャリンチャリン
熱で劣化した靴下が焼け落ちてコインがこぼれ落ちた。
ワカーナ(炎)「……オンナ」
ナナ「……マズイのう」
○
タタタ
ハルとナナは逃げ出した。
ナナ「仕方ない一旦逃げて皆を呼んでくるのじゃ」
ハル「そうだね、外に出ようよ」
ナナ「よし裏口へ……」
グラグラグラ
地震だ!
ハル「うわぁ!」
ガラガラガラ
廊下に積まれていた荷物が崩れ通路が塞がってしまった
ナナ「しまった」
ハル「ナナ後ろ、来てる来てる」
ワカーナ(炎)「リア充……」メラメラメラ
ハル「うわわ、ワカーナさんゴメン、”風弾”」ゴオッ
魔法の突風がワカーナを吹き飛ばす
ドォン、ガラガラ
ワカーナは吹き飛ばされその上に荷物が崩れ落ちる。
ナナ「やったのか?」
ワカーナ(炎)「ぐ……」ボボボ
ワカーナは崩れ落ちた荷物に埋もれて動けない。
ハル「今のうちに表から」
ナナ「そうじゃな」
ハルとナナは倒れたワカーナの横を通り抜けて再び室内へ戻った。
○駅前
ショーコ「で聞いてまわったけどあっちには来てなかった」
ダン「そんな馬鹿な」
ショーコ「よく考えてよナナとハルさんが一緒に歩いてたら絶対目につくわよ、なのに目撃者が居ないのはこっちに来てないからよ」
ダン「だとしたらいったいどこに?」
ツーリス「そこのお店の人にきいたらさっき子供たちがあの辺にいたって」
ダン「あの辺って」
ツーリスは丸秘宝館を指さす。
○丸秘宝館・エントランス
ナナが玄関口の扉を開錠している。
カチャカチャガチャン
ナナ「よし、開いた」
ガッ
ハル「どうしたの?」
ナナ「開かぬ……さっきの地震のせいか」グイグイ
扉は地震でゆがんでいて開かない。
ハル「そんな」
ワカーナ(炎)「……イタナ」ボボボ
ハル「うわーーー、きたーー」
ナナ「うぬ!、開け開けというのに!!」
ドンドンドン
二人で扉を押すもビクともしない。
○外・丸秘宝館玄関口
ダン「閉まってるな」
ショーコ「あ、残念だった?」
ダン「そそ、そんなことないぞ」
ショーコ「冗談冗談、本気にしないでよ~」
ツーリス「なんだか、焦げ臭くなぁい?」
ダン「え?」
ショーコ「そういえば」
「うわーきたー」「うぬ、開け開けというのに」
ショーコ「ナナ!」
ダン「ハルさん!?、ナナ!!」
「ショーコちゃん、ダンくん!?」「おお、そこにおるのかダン」
ダン「よかった、無事ですか」
「それがワカーナを見つけたのじゃが困ったことになっておって」
「ナナ危ない」
「爆発シロッ」
ドォン、ボボォン
ダン「ナナ?、ナナ!!」
「あついー」「逃げるのじゃー」
タタタタ
扉の向こうで二人が走り去り静かになった。
ショーコ「中で何が」
ツーリス「今のワカちゃんの声よね」
ダン「……入りますよ」
○魔王山・登山道入口
ユウ達は炎人たちを倒した後、ケガ人の救護に当たっている。
ユウ「さっきの地震……パパ大丈夫かな」
フィメナ「おおお落ち着け、大した事はない」
レイス「そうですか」フフフ
山男A「最近おおいな」
山男B「んだな」
ユウ「地震増えてるの?」
山男A「そだな、最近は特に増えてる」
「うわーまた来るぞー」
炎人達が山から下りてくるのが見えた
山男B「今までここまで来ることなかったのに」
ユウ「そうなの、……ふぅん」
フィメナ「またか!、応戦するぞ」
ユウ「違うわね、突破よ」
フィメナ「え?」
ユウ「山からイヤな感じがするわ、山頂に大元がいるのよ、きっと」
レイス「あの、ちょっと」
ユウは山道を駆け上がり、炎人達の前に立ちふさがった。
「フォオオオオ」、「ヒャッハーー」
ユウ「”電撃”」バリバリバリ
「ブホオオオオオオァワアアアア」
炎人たちを一掃した。
ユウ「やっぱり魔法が使えると楽ね」
ユウは炎人を魔法で蹴散らしながら登っていく
フィメナ「わかった、私も行こう」
レイス「じゃあ、ワタシはここで戻……」
山男A「オナゴだけに戦わしてばかりじゃいけねぇ!、だよな皆の衆」
「オオ―」
ドヤドヤドヤ
レイス「あ、ちょっと、下ります、通してください……」
ユウ達と山男達は魔王山へ登っていった。
「下してー」
○丸秘宝館エントランス
ドカァン
ダンは扉を体当たりで壊して丸秘宝館に入った
ボォオオ
ダン「うわっ、あっつ」
ツーリス「あらあら、ずいぶん燃えてるわね」
ショーコ「ナナ―、どこー?」
「うわー!」、「爆発シロ!」
奥から声が聞こえる。
ダン「ハルさん!」、ツーリス「若ちゃん!」
ダンとツーリスは燃え盛る館内へ入っていった
ショーコ「ちょっとウソ……もうオンナは度胸よ!、おりゃー」
ショーコも後を追った。
○丸秘宝館・大部屋の展示室
メラメラメラメラ
室内ではろう人形が燃えながら溶けており凄惨な光景になっている。
ハル「ゲホゲホ……こっちに来ちゃったけどどうしよう」
ナナ「ハルは他になにか魔法が出来ぬのか?」
ハル「水の魔法ができるけど……」
ナナ「まことか!、よしそれでワカーナの頭を冷やすのじゃ」
ハル「でも……」
ワカーナが部屋に入ってきてハル達を探し始める
ハル「えい”水流”」
しかし何も起こらなかった。
ハル「わぁ、やっぱり」
ワカーナ(炎)「ソコカ」
ボオオオオ
ハル「ひぃ」
ナナ「逃げるのじゃ」
ダダダ
ナナ「どうしたのじゃ、魔力が尽きたのかえ?」
ハル「あれは水を操る魔法なんだ、だから水源がないと……」
ナナ「そうか……よし、心当たりがある」
○丸秘宝館・特別展示室
ハル「助かった、ここはそんなに燃えてないや」
ナナ「よしハルはここで待つのじゃ」
ナナはさらに奥へ何かを探しに行く。
ハル「え?、ナナ」
ナナ「水を探すからそれまで隠れるているのじゃ」ガサゴソ
ハル「隠れるっていったって……」
○
バァン
炎を共にドアが吹き飛び燃え盛るワカーナが入ってきた。
ハル「きた……」ドキドキ
ハルは浴槽に身を潜めている
ワカーナ(炎)「……」ボボボボ
ハル「……」ドキドキドキ
ドンガラガッシャン
ワカーナ(炎)「!」
奥から物音がしてワカーナが音の方へ向かう
ハル「……(あっちはナナが居る方だ)」
ハル「……」
ハル「うぅ……(コワイ……けど)」
バッ
ハル「こっちだよ!」
ハルは姿を現した。
ワカーナ(炎)「ソッチカ……」
ワカーナはハルに火球を投げつける
ハル「うわぁあ!?」
バァアン、パリンパリン
ガラスが砕けちった。
ワカーナ(炎)「爆発シロッ!」
ハル「ふ”風防波”」ビュルルル
ブワァン、ボォン
風の障壁が火炎を防ぐ
ワカーナ(炎)「爆発シロッ!爆発シロッ!爆発シロッ!爆発シロッ!」
ワカーナは障壁に向かってなんども火炎を吹き付ける
ブワァブワァン、ボボボォン
ハル「ぐうぅ……(熱い……意識が……)」フラフラ
ドタドタドタ
ツーリス「若ちゃん!!」
ダン「ツーリスさん危ない」
入口からダンたちがあらわれた。
ワカーナ(炎)「ぐ……グワアアアアアアアア」ボボボオオオオオオオ
ワカーナはわけもわからずツーリスに火炎を吹き付けた
ダンはツーリスさんをかばった
ダン「あちゃちゃちゃ!」
ツーリス「キャア」
ショーコ「ダン君」
ワカーナ(炎)「オノレ、貴様ぁ!、姉さンにィ」
ハル「ダン君にげて!」
ガラガラガッシャーン、ザアアアアアアアア
「ハル!、水じゃ」
奥から水が流れてきた。
ハル「あ……ッ!、”水流”」ギュルル
バシャアアアアンン
ハルは水流をワカーナに頭から浴びせかけた
ワカーナ「ぐわあああああああああああああ」
ワカーナは炎が消えて身悶えている。
ツーリス「若ちゃん」ダっ
ひしっ
ワカーナ「あ……お……」フラフラ
ツーリス「大丈夫……大丈夫よ……若ちゃんは大丈夫よ」ポンポン
ツーリスはワカーナを優しく抱きしめる。
ワカーナ「俺は……姉さんを……女将を……うぅ」
ツーリス「もう大丈夫だから、でしょ?」ニッコリ
ワカーナ「ぐ……うぅぅぅぅ」ボロボロ
ワカーナは正気を取り戻した。
○
ナナ「うまくいったようじゃな」
奥からナナが戻ってきた。
ダン「ナナ!」
ハル「さっきの水はどこから?、火事も消さなきゃ」
ナナ「あれはボイラーの残り湯じゃったから、あれで全部じゃ」
ハル「そんな……」
ショーコ「だったら早くここから出ないと入口が……」
ガラガラガラ
入口が焼け落ちてしまった。
ダン「なくなったな……」
ハル「どうしよう……」
ワカーナ「地下だ……地下道がある」フラフラ
ハル「ワカーナさん……回復を”治癒”」パアア
ショーコ「それより地下道って」
ワカーナ「あの化物たちが入っていった、そこの隠し戸のむこうだ」
ナナ「ここか」
ガパッ
秘密の地下道を見つけた。
ショーコ「やった助かった」
ナナ「急ぐのじゃ」
ダダダダ
全員地下道へなだれ込んだ
○地下道
地下道には線路が敷かれており、トロッコが2台用意されていた。
ダン「これどこに通じているんだ」
ワカーナ「わからん……奴らが向かった先だしな」
ツーリス「あらまぁ、じゃあ敵さんの本拠地なの」
ショーコ「えぇ~そんなぁ」
ナナ「ふむ、ここにおっても仕方ない、乗り込むのじゃ!」
ハルたちはトロッコに乗り込み走りだした。
○
ガーーーーッ!
1台目にはナナ、ハル、ダンが乗った。
ナナ「わっはっは!、これは良いの」
ハル「うわわ、すごいスピード」
ダン「どうやって動いてるんだ?これ」
2台目にはワカーナ、ツーリス、ショーコが乗った。
ガーーーーッ!!
ワカーナ「レールから魔力が供給されてる、観光列車と同じだ」
ツーリス「意外と面白いわね、新しいアトラクションにどうかしら」キャッキャッ
ワカーナ「女将……(呑気な……だが可愛い)」
ショーコ「さーて、次から魔王温泉編も終盤よ、じゃそういうことで」
ガーーッ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます