第1話 ようこそ魔王温泉へ1 ドキッ!リア充爆発危機一髪編


○王都新聞より抜粋

そして探求の旅がはじまった

300年前の魔王復活か!? 近年増加してきた動物の凶暴化 怪事件 そして魔物の出現を異常気象で片付ける事が難しくなったワンス王は先日の学校ゾンビ襲撃事件を機に末妹の第七王女ナナスタシア様が提案していた魔王調査隊をついに正式に承認

行動派で知られる王女は自ら調査隊を率いて魔王ゆかりの地へ馬車を走らせた


○山間の道を行く馬車の中

ガラガラガラ

フィメナ「うーん 一面ではなかったですね」

バサッ

フィメナさんが読んでる新聞をナナ王女がひったくる

ナナ「なんじゃと!? うぬぬ この新聞は事の重要性を分かっておらんのか」


彼女はナナ王女、通称ナナ、15歳。300年前の勇者を始祖とする王国の正真正銘のお姫様で歴史に詳しく勇者にあこがれる『勇者かぶれ』 今回も2代目勇者を襲名してのご出立とあいなった。年が近いのと身分とか気にしない性格なのでアタシ達と友達になれたの。

フィメナ「仕方ないですよ、勇者や魔王なんてほとんどの人間は信じていませんから。所詮おとぎ話ですよ」

ナナ「おぬしまでそんなことをいう~」

フィメナ「まぁ、魔王かどうかは置いておいて。何かいるのは間違いないのでは?」


フィメナさん、女騎士36歳 王女付きの近衛兵でたびたび城から脱走するナナ王女を連れ戻すのが主な仕事の苦労人、独身。今回の調査でも護衛として参加、剣の腕は確かで頼もしい。元同僚のトーゴさんと色々あるみたいだけどどうなのかしらね

ナナ「ぬうう こうなったらダン! 新聞社に抗議するのじゃ」

ダン「え!? いや……あの……」

ダン君、同い年の16歳。元王国騎士のトーゴさんの一人息子で騎士科の優等生。先日のナナスタシア杯で準優勝したから『準騎士』になってる。この調査にはナナ王女からの要望(わがまま)で参加。いや~イケメンだし背高いし筋肉もりもりだし、たまらんわ~。っていつものわがままでお困り中。

ショーコ「ナナがそういうことならアタシが何とかするわ」

ナナ「まことか ショーコにはトルマン殿からも馬車や旅の支度まで世話になっておるのに、すまないのう」

ショーコ「アタシも半分は商売修行に来てるようなものだし気にしないで」

ナナ「うむ わかった ショーコはホントに気持ち良いものじゃのう」

ダン「……ん すまない 助かった」

ショーコ「いいのよん」


っしゃ! ポイントゲットぉ!! ダン君はユウが好きだったみたいだけどハッキリフラれてたからアタシにもワンチャンスあるわよね、しゃーんなろー!


ユウ「ショーコ……さっきから変な顔してちょこちょこ何書いてるの」

ショーコ「え? これは~まぁ旅の記録みたいなものよ、気にしないで」

ユウ「ふーん」

ユウ、同い年16歳。アタシと同じ普通科なんだけどアタシと違って剣も魔法もトップレベルでナナスタシア杯でも優勝したし、とある村の生き残りでナナ王女は『賢者』の末裔なんじゃないかと考えてるみたい。美人で人気もあるんだけど実はファザコン。

ハル「うぅ……まだ着かないの?」

ユウ「パパ大丈夫? まだ気持ちわるい? またお薬のむ?」

ハル「何回ものんでも効かないよ」


ファザコンっていうのかなコレ?

ハルさん、61歳。ハーフエルフで見た目は10歳くらい。魔法や薬に詳しくて喫茶店のマスターで人間のユウの育ての親で一応パパさんなんだけど……、カワイイ。父親とか思えないわよね~。人間より耳がよかったり魔力的に鋭敏で調査にはうってつけなんだけど、今回の調査にはどうもユウの参加条件として一緒にいくことになったみたい。長い事『パパ一人にしておけない』って調査隊の参加をずいぶん渋っていたし

ユウ「ナナ、まだ着かないの? パパがかわいそうよ」

ナナ「安心せい、もう見えてきたのじゃ」


ガラガラガラ


看板『ようこそ 魔王温泉へ』



○谷の国 魔王山温泉郷

「ラッシャセーラッシャセー」「土産物はこちらでどうぞー」「当店自慢の大浴場を是非どうぞ」「劇場の新作チケットはこちらで販売してますー」

ガヤガヤガヤガヤ


ダン「えっと これは?」

フィメナ「谷の国、山間の小国で魔王山温泉郷が有名で国を挙げての観光事業を行っている」


フィメナはガイドブックを読み上げた。


ショーコ「モグモグ……なるほど、それでこの活気なのね……モグモグ」

ユウ「ちょっといきなり何食べてるの貴方」

ショーコ「魔王まんじゅう、けっこういけるわよ」

ユウ「もう。遊びに来たわけじゃないでしょ、ねぇナナ…… ナナ?」

ナナ「おおおおおお! こんな所で『勇者千本桜』を演っておる!? 観逃しておったのじゃ。いくぞダン」

ダン「えぇ?」

フィメナ「ナナ様。それは調査と関係ないでしょう」

ナナ「むぅ、わかったのじゃ、後にするわ」

ユウ「それにしても『魔王』だらけね……温泉、饅頭、煎餅。どこから調べたらいいの?」

ハル「あ あそこに『魔王城』があるよ」

ナナ「なんじゃと!?」」

看板『ファッションホテル魔王城(※ラブホ)』

ユウ「パパ、あれは違うから」

ハル「え? だって魔王のお城って……」

ショーコ「あれは城は城でも愛の城よ、ハルさん」

ハル「あいの城?」

ユウ「変なことをパパに教えないでくれる、ショーコ~~」

ショーコ「え~、変なことてナンですか~、何がヘンか教えていただけますか~」


ギリギリギリギリギリギリ

ユウのアイアンクロー! ショーコの頭を締め上げる。

ショーコ「ギャアア?!ギブギブ、ゴメンゴメン」


ハル「ちょっと、ユウ!?」

フィメナ「とにかくアレは違いますから。ただの客寄せで魔王城っていってるだけですから」

ハル「そうなんだ」

ナナ「まったくあんなピンク色の魔王城があってたまるか、ケシカラン」

ダン「しかし本当になんでこんなに魔王だらけなんだ?」

ナナ「さての、とにかくまずここの国王と姉上に会いにいくのじゃ」

ユウ「お姉さんがいるの?」

フィメナ「えぇ、この国には我が国から第二王女が嫁いでいます」

ショーコ「それってつまり。この国の王妃様なの?」

ナナ「そうじゃ 姉上がこの国の王妃なのじゃ」


○谷の国 国営旅館

女将ツーリス「あらあら王妃だなんて…… ただの女将でいいのよ」

「姉上ー」「ナナちゃん久しぶりね」


大旦那オキーナ「まったくじゃ、ここは山ばかりの小国での胡座をかいてする仕事は少なくてな……・それで旅館をやっておる。ワシのことも大旦那と呼んでおくれ」

フィメナ「有り難く存じます 大旦那様」

オキーナ「そんなかしこまらなくてよい 女将の妹となればなおのこと」

ナナ「いやはや 大旦那殿は心が広いのう うちの兄上とは大違いじゃ」

オキーナ「いやいや王ならばあれくらいしっかりしとる方がよかろう ワシなんか女将にしょっちゅう小言をを言われておってな」

ツーリス「あら、旦那様。私がいつそのようなことを?」

オキーナ「ふぉ!? とにかく長旅で疲れておろう部屋に案内しよう」

ナナ「いえそれにはまだ及ばぬ、今回ここに来たのは調査のためなのじゃ」

オキーナ「なんの調査だね」

ナナ「魔王についてじゃ」

オキーナ「ほう、魔王とな。たしかにここは魔王温泉だからの」

ナナ「何故にそのような名前なんじゃ? 何か由来は?」

オキーナ「魔王山から温泉が湧いておるからの、自然とそう呼ぶようになったの」

ナナ「魔王山?」

オキーナ「ここからでも見えるあの火山でな。勇者と魔王があの山で戦ったそうじゃ。その時に勇者が魔王をあの火山に封印したということじゃ」

ナナ「それは奇妙じゃの、わらわの調べでは勇者と魔王の決戦は魔法国だったはずじゃが」

ツーリス「伝承ですもの、色々あるわよ。たしか山の麓の観光センターに歴史の展示があったわよね? 行ってみる?」

ナナ「ほう、そんな所が。行きたいのじゃ」

オキーナ「ならば、若を案内につけよう。おーい若はおるか」


二十歳ぐらいの青年があらわれた

若旦那ワカーナ「へい、ご用ですか」

オキーナ「ふむ。女将の妹御が観光センターに行きたいそうだ、案内してやれ」

ワカーナ「かしこまりました、ではこちらに」

ツーリス「夕方までには帰るのよ。じゃあ若ちゃん頼みましたよ」

ワカーナ「……へい」


○魔王山行き観光列車

ガタゴトゴトン ガタゴトゴトン


ナナ「こんな山奥に列車が走ってるとはのう、スゴイのう」

フィメナ「危ないですよ、座ってください」

ワカーナ「この列車は王国からの技術協力によって出来ました。今年で開通して今年で五周年ですね」

ダン「わりと最近だな」

ショーコ「ねぇねぇ、若旦那さんと大旦那さんは親子ですよね」

ワカーナ「そうですよ」

ショーコ「だったらこの国の王子なんですよね」

ワカーナ「一応そうですね。ただ親父の方針で王族でも『働かざるもの食うべからず』ですから。板前と観光大臣をやってます」

ショーコ「スゴイですねその若さで……(玉の輿も悪くないわよねぇ)」ニヤリ

ユウ「ショーコ……悪い顔になってるわよ」

ショーコ「あら 出てた?」 ユウ「出てる出てる」


ナナ「うむ、どこぞの口先ばかりのバカ王子よりよっぽど立派じゃ。姉上も幸せそうじゃし良い国じゃの」

ワカーナ「ありがとうございます……。女将もこの国に馴染んで毎日楽しそうです」

ハル「そういえばナナのお姉さんってどうしてこの国で女将さんやってるの?」

ナナ「ん、ハル。言わなかったかの? 大旦那殿に嫁いできたのじゃ」

ハル「あれ、とつぐって」

フィメナ「大旦那殿と結婚されたんだ」

ハル「えー!? だってずいぶん歳が…… 離れてない?」

ショーコ「ハッキリ言うわね」

ワカーナ「ははは、ハル君。小国でも国なのでね、色々あるんだよ。大人になったらわかるさ」

ハル「大人って 僕はこれでも61です」

ワカーナ「ははは そうかそうか」

ハル「むー、信じてない」

ユウ「もうパパ、むくれないの」

ワカーナ「ははは……。大人になったら、かぁ」


○魔王山の麓

ハル「うわーすごーい」

ナナ「見事な眺めじゃのう」

火山から噴煙が立ち上っている

フィメナ「ほら、二人ともこっちですよ」


○魔王山観光センター

スタスタ

ワカーナ「ここが歴史・民話の展示ですね」

ナナ「ふむ『魔王退治』の伝説か」


展示パネルに伝承が描かれている

パネル「およそ300年前魔王が火山に城を築いて谷の国を支配し北方と南側の王国へと侵略を開始しました」

ハル「へー」

パネル「王国の軍が討伐に来ましたが空飛ぶ魔物に襲われ、魔王城にはたどりつけませんでした」

フィメナ「まぁ谷間で空からでは勝てないな」スタスタ

パネル「そこに王国から来た勇者があらわれ精霊の力をかりて魔王城へもぐりこみ、魔王に戦いを挑みました」

ダン「なんかここ雑だな」

パネル「激戦の末に勇者は魔王を火口においつめて倒し魔王を火山に封印しました」

ナナ「ふむ あっぱれじゃな」

パネル「この説話をもとにつくられたのが銘菓『魔王山まんじゅう』八個入り1080G 売店で発売中」

ショーコ「って宣伝かい! うまいことやるわね」

ワカーナ「ははは、まぁここは饅頭屋のコーナーですしね」

ユウ「でもこれだけじゃ、大した事ないわね。どうするナナ?」

ナナ「うーむ」



ドタドタドタ

山男達がワカーナに詰め寄る

山男「ワカ!また出ました、俺たちゃもうガイドなんてやってらんねぇっす」

ワカーナ「またお前達そんなことを……」

山男「今朝山に行った奴らが戻って来ないんで探しにいったら、またバケモノが」

ワカーナ「そんなモノはいない。不明者がでたなら捜索隊を組ませるから……、とにかく騒ぐな」

ナナ「もし……、なにやらトラブルかの?」

ワカーナ「いえ……しかし急用が入ってしまったので、ご案内はここまでてよろしいでしょうか?」

フィメナ「はい、ありがとうございました」

ワカーナ「夕方には旅館に戻ってくださいね。ではここで失礼します」

ワカーナは山男たちと行ってしまった。



ユウ「山で何かあったみたいね」

ハル「なんかバケモノが出たとか言ってたね」

ナナ「ふっふっふ、見つけたのじゃ。敵は魔王山にアリじゃ、山にいくのじゃ」

フィメナ「ナナ様、そんな火山ですよ簡単に行けるわけが……」

ショーコ「あっちの窓口で登山ガイドの紹介してるみたいね」


○登山窓口

受付「いまは山には入れませんよ」

ナナ「なぜじゃ?」

受付「えっとね化け……じゃなくて、ちょっとね事故があったから入山禁止ですよ」

ナナ「むぅ」

フィメナ「ほら今は無理ですって、お茶でも飲んで旅館に戻りましょう」


○喫茶コーナー

ナナ「山で何か起こっておる、間違いないのじゃ」

フィメナ「でも山に入れないんじゃ仕方ないじゃないですか」

ショーコ「ほーんと、単純に火口みてみたかったなー」

ハル「あ、僕も。火山って初めてだし」

ユウ「そうだったの……なんとかならないかしら」


???「おやおや山に行きたいのですか?」

怪しい男があらわれた。


フィメナ「あなたは? 地元の方にはみえませんが」

神官レイス「ワタシは神官のレイスと申します。この山には修行でよく登っていたのでご案内はできますよ」

ナナ「まことか それは助かる」

レイス「そのかわり……、少々『お布施』をいただけますか?」


○登山道 裏道

レイス「いやー助かりました、なにせ路銀が付きかけて困っておりましたので」

ナナ「困っておったのはこちらもじゃ、旅は道連れ世は情じゃ」

フィメナ「……それにしてもレイス殿、貴殿はどちらの宗派ですか?」

レイス「それは…………ナイショです」

ショーコ「ちょっ、おい」

レイス「いえね、大きな声では言えませんがワタシ。実は破門の身でして、それを解いてもらうための旅の途中なんです」

フィメナ「それでこのような所に」

レイス「はい、それに伴って宗派を教えたりすることを禁止されてますので、それについてはご容赦ください」

ナナ「あい、わかった。不躾な事を訊いたの」

レイス「いえいえ、とんでもありません」



ショーコ「はぁ、山登りかぁ先が思いやられるわ」

ユウ「そういえば以前もバテてたわよね」

ショーコ「まぁ、いざとなったらダン君に……グフフ」

ユウ「ショーコ、顔ヤバいわよ……。まったく、ところでどう思う? あのオカッパ」

ショーコ「レイスさん? ん~ 顔はまぁまぁね 破門されてなければアリだったかな」

ユウ「そうじゃなくて、なんか怪しい感じがするのよ」

ショーコ「んー、たしかにそうかもでも僧侶とかレイスってどことなく胡散臭くない?」

ユウ「そうかもしれないけど」

レイス「しかしフィメナさん、こんなキレイな方とご一緒できるのは光栄です。どうです下山したら一杯いかがですか? おごりますよ」

フィメナ「おごるって……それはさっきのお布施ではないですか」

レイス「あ、そうだった。スイマセンついつい」

ショーコ「うーん、普通に破門されるタイプね」

ユウ「そうね、気にしすぎかな」


○小一時間後 登山道・山頂付近

レイス「あ~、もう歩けない」ドタッ

ショーコ「あんたがバテるんかい」

レイス「いや~ 最近運動不足だったかな」

ユウ「ダン、背負ってやって」

ダン「いやそう言ったって」

ナナ「背中は満席じゃ」

ダンはナナをおぶさっている

ハル「じゃあ、僕はもう大丈夫だから」

抱きかかえられていたハルがダンから降りる

レイス「いえいえ、お心はありがたいですか男性に抱かれる趣味はありませんので」

フィメナ「ならば、少し休憩をとるか?」

レイス「それにはおよびません、もうすぐそこが火口ですので、先に行ってください。後から追いつきますから」

ナナ「本当か、よし行くのじゃ。ダン走れ」

ダン「こんな所で走れませんよ」


ダンとナナは先に歩いて行った。


ショーコ「あ、ナナ。ダン君」


ショーコも小走りで追いかけた。


フィメナ「仕方ないな、先に行くが本当に大丈夫か?」

ハル「疲労には効かないけど治癒魔法しようか?」

レイス「ありがとうございます、しかしコレを飲んだら大丈夫ですから」


レイスは懐から瓶を取り出す、中には赤色の液体で満たされている


ハル「なにそれ? ポーション?」

レイス「はいワインという天が与えたポーションです」

ハル「……えっと?」

フィメナ「……ハァ」

ユウ「パパ行きましょ、大丈夫みたいだから」

ハル「え、ちょっと」


ユウ達も先に行きレイスだけ取り残された。


レイス「ふふふ、どの時代でもアルコールはまず飲めますからね……」


グビグビ


レイス「ふぅ……、さてどうなりますかね」


○魔王山 火口展望台

ナナ「よーし、一番のりじゃ」スタッ

ナナはダンから飛び降りた


ダン「やれやれ、やっと着いた」

辺りは水蒸気がもうもうと立ち込めている


ショーコ「うわ~、スゴイ匂いと煙ね。コレどこが火口なの?」

フィメナ「下手に動かないでください、転げ落ちますよ」

ユウ「でもこれじゃ、どこに何があるのか分からないわね。誰も居ないみたいだし」

ハル「え? あっちに誰か居るみたいだよ」

フィメナ「どっちです?」

ハル「こっちこっち」

ハルが歩く先に人影が揺らめいている


???「……」ゆらっ

ハル「えっと……(煙でよく見えないけど地元の人かな?) こんにちわ」


ハルは人影に挨拶をした


???「ボッ?」クルッ


人影が振り返り姿があらわになる


ハル「え?」

炎人「ボ!?」


人型の炎が驚きとまどっている


ナナ「なんじゃあれは!?」

フィメナ「炎のモンスターか!?」

ユウ「パパっ! 下がって」

炎人「ボボッ! ニンゲンダーーッ!!」

炎人が襲いかかってきた!!

ハル「うわわ ”風弾”」ビュオオ

炎人「ボワーーー!?」


炎人は吹き飛ばされた


ハル「あぁ、びっくりした」

ユウ「よかった、なんともなくて」

ナナ「いやはや、あんな魔物がおるんじゃのう」

フィメナ「おや煙が……」

魔法の影響で水蒸気が晴れていく


ダン「な!?」

ユウ「こんなに」


ユウ達は炎人たちに囲まれてしまった。



炎人A「ニンゲンダ」

炎人B「オンナダ」

炎人C「オトコダ」

フィメナ「これが山に出たバケモノってことか」

ユウ「そうみたいね、ダンはナナとショーコを守って」

ダン「わかった、気を付けろよ」 

炎人D「オノレリア充」

炎人E「リア充爆発シロ! リア充爆発シロ!」

ハル「な、何言ってるの?」

ユウ「……ワカラナイわ」


「大火球」「大火球」「大火球」

炎人たちは魔法を唱えた

ボボボォン

ダン「うおっ!? この! あっつ!」

火球がダンを襲う。


ショーコ「大丈夫? ダン君」

ナナ「なんでダンばかりを狙うんじゃ! このバケモノめが!」


ナナとショーコが後ろからダンを気遣う


炎人A「ウォオオオオ! 両手ハナァアアア」

炎人B「嫉妬の炎がメラメラトォオオオ!」

炎人C「嫉妬ファイアアアアアアアアア!!」


炎人たちの火力が上がった


フィメナ「なんだコレ」

ショーコ「メンドクサイタイプね~」

ユウ「もういいわ 一気にいくわ”雷撃”」


ドンガラガッシャーン


炎人たち「ボワアアアアーー!!」

ユウ「よかった雷は効くのね」

炎人F「ヒィイイ」スタコラ


炎人Fは逃げだした


ハル「あ そっちは」

レイス「ふう よっこらせっと」


レイスが登ってきた


レイス「あ」

炎人F「ボ!」

レイス「おっと ”氷牙咬”」ヒュキン


魔法の氷が炎人をかみ砕く


炎人F「ボワッワアアア」


炎人たちを倒した



ナナ「ほう、見事じゃ」

レイス「やれやれ、危ないところでした」

ハル「よかった。誰もケガない?」

ショーコ「ダン君が火傷をあちこち」

ダン「大丈夫だ大したことない、痛ぅ」

ユウ「つばでもつけてなさい」

ハル「ダメだよ、ちゃんと処置しないと ”治癒”」パアア

ショーコ「それにしてもなんであんな魔物が」

ナナ「そうじゃの、何か手がかりなないかの?」うろうろ

フィメナ「あまり時間はありませんよ、日も傾いてきましたし」

レイス「そうですね……正規ルートを下りれば早く下りれますよ、 ……怒られるかもしれませんが」

ユウ「大丈夫なんじゃない? 魔物も退治したし」

ナナ「うーむ。そうじゃな下りてワカーナどのにあの魔物について聞いてみるかの」

ショーコ「じゃ、帰りましょ」

レイス「では、下り口はこちらです」


ゾロゾロ


○夕方 観光センター付近

フィメナ「ワカーナ殿は歓楽街の監査にいっているそうだ、受付が言うには遅くなるから旅館で待つのが良いとか」

ナナ「ほう歓楽街とな、見てみたいのう」

レイス「おや、だったらご案内しましょうか。そこも詳しいので」

フィメナ「ダメです。ツーリス様が夕方には戻るように言っていたじゃないですか」

ナナ「むむぅ」

レイス「おやおや」


ショーコ「まぁまぁ、どうせ駅前なんだし。帰り際に少し寄り道してもいいじゃない」

ナナ「さすがショーコは話が分かるのう、少し見たいだけじゃ」

フィメナ「うぅん見るだけねぇ……、見るだけですよ」

ナナ「やった! じゃあさっさと行くのじゃ時間はないぞ」


一行は歓楽街へ向かって歩きはじめる



テクテク

ハル「ねぇ、レイスさん。カンラクガイってどんな所?」

レイス「おや? それはですね……」


ユウはレイスを睨み付ける

ユウ「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ


レイス「ええっと、飲み屋がたくさん集まってるところですよ」

ハル「そうなんだ」

ユウ「そうよ、パパはお酒飲めないでしょ。だから用はないわよね」

ハル「そうだね」

ユウ「そうでしょ……」ホッ


ガヤガヤ

ダン「人が増えてきたな」

レイス「そうですねここから向こうの通りが歓楽街ですから」

歓楽街の入り口にさしかかった。

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