第10話 学園祭・オブ・ザ・デッド 4
骨オババ「落ち着いたかい」
ハル「うん」ぐすぐす
トーゴ「おーい 無事かー?」
トーゴたちがやってきた
骨オババ「ほらしっかりしな 怪我人がいるから仕事しな」
ハル「うん いってくる」
タタタ
「大丈夫ー」「ルソルが負傷した」
ユウ「……」
骨オババ「なんだいその顔は」
「タイチョ― 最後に川沿いの店限定パンプキンベイクドチーズケーキを……」
ユウ「……別に オババはズルいなって」ムス
骨オババ「またかい…… アタシは30年近くハルの面倒を見たんだ、仕方ないだろう」
ユウ「わかってるけど……」ムス
「やけに具体的だなオイ」 「”治癒”」
骨オババ「わかってないね、アンタの方がスゴイんだよ」
ユウ「え?」
「大丈夫か」「はいハルさんありがとう」「よかった」
骨オババ「あの子を引取って……アタシは何もできなかった。ただ薬と魔法を教えただけ」
ユウ「……」
骨オババ「でもね。アタシに出来なかったことをユウがやってくれたんだよ、昔も今もね」
「じゃタイチョ―食べにいきましょ」「バカ 事後処理が終わってからだ」
ユウ「そう…… なのかな」
骨オババ「そうだよ、あぁそうとも。あの時の判断は間違いじゃなかった」
「約束ですよー絶対ですよー」「わかったから早く行け」
ハルが戻ってきた。
ハル「そんなに酷くなくてよかった」
骨オババ「そうかい」
トーゴ「うおぉ!? まだ残ってたか骨野郎!」
ユウ「ちょっとトーゴ」
骨オババ「アタシだバカ」
ゴン
○
骨オババ「アタシに剣を向けるとかエラクなったもんだねぇ、トーゴ?」
トーゴ「ハイ、ゴメンナサイ」
トーゴは平伏して謝罪している。
骨オババ「ところで今の子はなんだい? ずいぶん親しげだったじゃないか」
トーゴ「いや、あれは新人の部下で……」ビクビク
骨オババ「新人の部下ならしょっちゅう一緒に食事にいくのかい? へぇえ」
トーゴ「なんで知って…… いやいやいやオババ様ゴカイしてなさいますよ」
骨オババ「……まぁいい アタシが言うことじゃないしね」
トーゴ「ほっ」
骨オババ「嫁から言ってもらうわ ”霊魂召喚”」
トーゴ「え゛」
モナの霊が召喚された
モナ「……」ニコニコ
トーゴ「モナ……」ダラダラ
骨オババ「あんたも言っておきたい事があったんだろう」
○
「……」「ハイゴメンナサイ」
トーゴとモナの例が遠くで放している。
ハル「モナだ変わってない」
骨オババ「そりゃ幽霊だからね」
ハル「幽霊……」
ユウ「なんて言ってるの?」
骨オババ「さあね、トーゴにしか聞こえないよ」
ハル「そっか、そうだよね」
ユウ「知り合いだったの?」
ハル「うんトーゴと同じ幼馴染だったよ」
ユウ「そっか……」
骨オババ「じゃ、アタシもそろそろ行くから」
ハル「え!? どこに」
骨オババ「そりゃあ…… 墓だね」
ユウ「やっぱそうなんだ」
ハル「ねぇオババ。 アンデットでもいいから一緒にいてよ」
骨オババ「無理だよ」
ハル「僕の魔力ならいくらでも使っていいから、ねぇねぇ」
ユウ「パパ……」
骨オババ「バカだね。アタシはとっくに死んでるんだよ、わかるだろう」
ハル「でも」
骨オババ「あの骨バカの魔力ももう尽きるんだ。あきらめな」
ハル「いやだいかないでよ」
骨オババ「ユウ」
ユウ「えぇ」ギュウ
ユウがハルを抱きしめる。
ハル「ユウ 離して」ジタバタ
骨オババは歩き出す。
骨オババ「ありがとうユウ、これで最後さ」
ハル「オババ」
骨オババ「ハル。アンタはもっとガッツを持ちな」
ハル「うぅ、わかったよ」
骨オババ「ユウ。 これからアンタにしか出来ない事が出てくるけど、自分の頭で考えるんだよ。いいね」
ユウ「……覚えておくわ」
骨オババが歩いて遠ざかっていく。が、急に立ち止まる。
骨オババ「あーそうだ。それと、二人とも形あるモノはいつかは壊れるんだ。気にするんじゃないよ」
ハル「え?」 ユウ「えぇ、わかったわ?」
骨オババが歩いて遠ざかっていく。が、急に立ち止まる。
骨オババ「まーだあった、ホントに最後 ……そこでダンが死にかけてるからちゃんとしな」
ユウ「あ」
ハル「うわー ダン君 ゴメン気づいてなかった」
「”治癒” ”大治癒”」
骨オババ「……ホントに世話がやけるね。 墓まで持たないじゃないか、フフ」
バサァ カラカラン
骨オババは土に還った
○何処かの暗闇
ネズミ(死霊使い)「貴様 よくもわしの体を」
「どうせ作り物でしょう? 『腕』も手に入れたしさっさと帰りますよ」
ネズミ(死霊使い)「くそ 忌々しい」
「しばらくは養生してください 他の面子が動いてますから」
ネズミ(死霊使い)「……これで主は目覚めるか?」
「んー あと少しかな」
○夕刻・喫茶店への帰り道
ハル「今日は大変だったね」
ユウ「そうねー」
ハル「ユウ?」
ユウ「ゴメン、オババが最後に言ったことをちょっと考えてて」
ハル「うん? なんだろうね」
○薬屋の跡
女薬師クスシ「……」
クスシは呆然としている。
ハル「クスシ大丈夫だった? よかった無事だったんだね」
クスシ「えぇ…… そうなんだけど」
ハル「どうしたの?」
ユウ「……そう。こういうことオババ」
ハル「え? うわ酷い!? ゾンビがやったのコレ!?」
薬屋は半壊している。
クスシ「まぁ裏が墓地だし仕方ないんだけど…… でも」
ハル「大丈夫? 今日はウチに泊まりなよ、ね」
クスシ「いや、でも……」
ユウ「パパ……」
ハル「ほらお隣なんだし。遠慮しないでよ ……えっと」
半壊した薬屋の他にはガレキが散乱している。
ハル「えっと隣…… えっと、あれ?」
ユウ「パパ」
クスシ「ハル」
ハル「あれウチが…… オババの店…… 喫茶店……」
ハルの喫茶店は全壊している。
――『形あるモノはいつかは壊れるんだ 気にするんじゃないよ』
ハル「オババ……」
ユウ「パパ 落ち着いてパパ」
ユウはハルを抱きしめる
ハル「うん ユウ……」ぐすぐす
ユウ「大丈夫 私が居るわパパ」ぎゅう
女薬師「はぁ…… とりあえず今夜どうしよう?」
ユウ「そうね、とりあえずトルマンさんとこの宿屋に行こうか。 ね? パパ」
ハル「うううぅ…… ううう」
○夜・王都 尖塔の上
トゥルルルルル…… ピッ
ホワイティ「ノンちゃん、準備してもらってた『アレ』キャンセルで…… うんゴメンね急に」
「……」
ホワイティ「えー!? アタシはしないわよ、たまたまゾンビが都合よくね」
「……」
ホワイティ「ちがうってー、ホント知らなかったわよ」
「……」
ホワイティ「あ、バレタ? まぁいいじゃない、これであの子も王国も動くだろうし」
「……」
ホワイティ「まだ信じてなかったの? 本当だって」
「……」
ホワイティ「魔王は復活してるわ、たぶんきっとね」
〇
第10話 学園祭・オブ・ザ・デッド 終わり
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