第10話 学園祭・オブ・ザ・デッド 1
○ハルの喫茶店
ハル「ゾンビカフェ!?」
ショーコ「学園祭の出し物なの、ハロウィンも近いからそれもかねて」
ハル「へ へぇー」
ユウ「私は別の企画をおしたんだけどね ……パパ来れる?」
ハル「あ! 当たり前だよ、娘の文化祭なのに行かないわけないよ」
ユウ「でもお化けとか苦手でしょ? この間だって……」
ショーコ「それに仮装は学校全体でやってるわよ、今年のテーマだから」
ハル「大丈夫だよ。ただの学生の仮装でしょ、へいきへいき」
ユウ「本当! ならよかったわ」
◯その日の夜・酒場
ハル「……とは言ったけどどうしよう」
トーゴ「学園祭の催し物だろ、そんなビビるなよ……。でもそういう事してるとホンモノも出てくるっていうよな」ニヤニヤ
ハル「やめてよ、そういうこと言うの」
トーゴ「スマンスマン、まぁそんなに嫌なら行くのをやめればいいじゃないか」
ハル「それはダメ。僕はパパなんだよ、娘の学園祭に行かないなんて」
トーゴ「そうかそうか、じゃあ当日はガンバレ」
ハル「まって一緒に来てよ、休みでしょ? ダン君もいるんだし?」
トーゴ「悪いがその日は用事だ」
ハル「そんな!? なんとかならないの」
トーゴ「しかたないな……。ちょうど空いてるのがいるから、一緒に行くか?」
ハル「ホント!? 誰?」
トーゴ「……よく食うから覚悟しろよ」
◯学園祭当日・校門
ハルが校門に立っている。
実行委員「君もしかして迷子? ご家族の方は」
学園祭の実行委員に声をかけられた。
ハル「え? ……あの違います、ここで待ち合わせなんです」
実行委員「そうなの? でもあっち(本部)だったら放送もできるよ? ね、いこうよ?」
ハル「えっと その」
女兵士ルソル「あー、ハルさんここに居た」モグモグ
ルソルがドーナツを食べながら歩いてきた
ハル「ちょっとルソル~ 遅いよ」
実行委員「あらお姉さんが来たの? よかった、もうはぐれたらダメよ」
ハル「えっと、その。ありがとうございます」
実行委員は本部に戻った。
ルソル「えーと、お邪魔だった?」
ハル「ちーがーうー! 早くこないから迷子と思われたじゃない!」
ルソル「あ、そっか。ごめんごめん、季節限定が売ってたからつい……」
ハル「もーー!!」
ルソル「ほら早く行こ、学園祭なんて久しぶり~。何食べよっかな?」
ハル「……まだ食べるの」
◯学校の校庭
仮装した学生たちがあちこちで屋台を開いている。
ルソル「懐かしいなーこの感覚、ハルさんも懐かしい?」
ハル「え? ……僕の頃は学校はいけなかったから」
ルソル「あ、そうなんだ。そういえばハルさん年上だったんだよね。つい……」
看板をもったゾンビが現れた。
看板ゾンビ「すいませーん」
ハル「ひゃっ」サッ
ハルはルソルの影に隠れた。
看板ゾンビ「映画部の自主制作です。1時から上映しますー」
ルソル「ありがと。映画だって~、ハルさん?」
ハル「もういった?」ひょこ
ルソル「いったけどどうしたの?」
売歩きゾンビ「ぞんびの目玉焼きでーすいかがですかー?」
ハル「ひゃっ」サッ
ルソル「あ、たこ焼きだー、ハルさん食べる?」
ハル「いらないいらない」ブンブン
ルソル「じゃあ二箱下さいな」
ハル「二箱たべるの!?」
売歩きゾンビ「まいどー」
ルソル「すごいね。みんなゾンビの仮装してて、結構こってるし」むしゃむしゃ
ハル「そ、そうだね」
ルソル「ハルさん……。もしかしてゾンビ怖い?」
ハル「な、なにいってるの! 怖くないってただの仮装なのに、ただ…… ちょっとびっくりするだけで」
ルソル「そっかびっくりするよねー」ナデナデ
ハル「ちょっと! 撫でないで! 子供扱いしないでよ、もー!!」
ルソル「だったらちょっと離れてくれない? 歩きにくいから」
ハル「あ ごめん」
ルソル「くすくす……(弟みたい) それでユウちゃんはどこ?」
ハル「えっと教室のはずだけど、どこかな?」
ルソル「うーんとりあえず順番にみていく?」
ハル「うーん ん? なにか飛んでくる」
バサバサ
「何アレ」「とり!?」「UFOか?」
バッサバッサバッサバッサ
ルソル「あれってもしかして……」
○ユウの教室
ショーコ「ほら、もう時間がないから早く着替てよ」
ユウ「ホントにコレ着るの?」
ショーコ「そーよ。ちゃんとアンケートの結果から決まったんだから ユウがコレ着たら大繁盛間違いなしだわ」
ユウ「……でもあのメイクでこれ着るのおかしくない?」
ショーコ「そんなことないわよ保障するわ ほらメイクにも時間がかかるんだから早く来て」
「わーわー」
ショーコ「なに? 外が騒がしいわね」
バッサバッサ
ユウ「この気配 まさか学校に!?」
ドドォーン
「グワー」「ッザッケンナコラー」
校庭から声が響く。
「ユウー?」
ユウ「まったく信じられない!!」ダダダ
シャーッ ガラガラ
ユウ「なに考えてるの! ここ学校よ!!」
白竜ホワイティ「あ ここだったのユウー」にゅーん
窓を開けるとホワイトドラゴンが覗き込んできた
「竜だー」「マジでー」「アイエエドラゴンナンデアイエエエ」
ショーコ「おひさー、今日はひとり?」
ホワイティ「そうよ。ほらこれ、ナナちゃんからお手紙」
ショーコ「これって例の調査隊の……」
ホワイティ「ね、そろそろ一緒に魔王を探しに行かない? アナタが居ないと始まらないから」
ユウ「いかないって言ってるでしょ! それに校庭がボコボコじゃない!!」
ホワイティ「わかったわ、とりあえず今日は帰るから怒らないでよ」
ユウ「まったくもう」
ホワイティ「あと一つ……。この日焼け止め塗ってくれない? ほらここ自分じゃうまく塗れないのよ」
ユウ「さっさとかえれーーーーッ!」
ホワイティ「ひどいっ、この純白の肌にシミができたらどうするのよ!?」
ユウ「シミどころか黒焦げになるまで焼くわよ」バチバチバチ
ユウの魔力があふれる
ホワイティ「あつっ 本気!? もうっユウのいじわるっ」バッサバッサ
ユウ「まったく ナナもホワイティもしつこいんだから……」
ホワイティ「またくるからねー」バサバサ
ユウ「来なくていい!!」
ショーコ「あーあ帰っちゃった」
○校庭
ルソル「うわーあれが噂のナナ王女のドラゴン? おっきかったねー」
ハル「……ユウと話してたみたいだね(また来たんだ)」
ルソル「ねー、校庭に降り立ったドラゴンと対峙するユウちゃんカッコよかったわね、映画のワンシーンみたい」
ハル「そう? とにかくあそこがユウの教室だね。行こう」
○上空
ホワイティ「はー、またダメだったか。王女にはなんて言おう……ん?」
ホワイトドラゴンは学園から離れた墓地を見下ろし首を傾げた。
ホワイティ「……気のせい、にしておこうかしら」
バッサバッサ
○???
「やれやれ行きましたか、ホワイトドラゴンまで出てくるなんてね」
死霊使い「一刻もはやく主の体を戻さねばの」
「では手筈どおりにお願いしますね、今回は貴方が適役ですから」
死霊使い「心得た、我が術の真髄にて主に極上の恐怖をささげようぞ。フハハハ」
「うーん、もっと今風にしゃべれません? 『イタイ』ですよ」
死霊使い「痛いのならば好都合ではないのか?」
「そうではなくてですね……はぁ、とにかく始めてください。今日は学校に町中の人が集まってますからチャンスです」
死霊使い「フフフ 任せるがよい」
○廊下・ゾンビカフェ待ちの列
ルソル「並んでるねー」
ハル「開店したばかりみたいだしね」
「キャーー」
ハル「……なんだか 悲鳴が聞こえるね 」ビクビク
ルソル「でもなんだか楽しそうだよ」
廊下を長髪で顔の隠れた女性が四つん這いで歩いていく
ペタペタペタ
ハル「……」ビクッ
ルソル「うわー すごいね」
ハル「そうだね」
ルソル「あ、また凄いのが来たね。なんの仮装かな」
大ナタを引きずった赤四角錐頭が現れた
赤四角錐頭「……」ガリガリガリ
ハル「ひいぃ……」ガクガク
ルソル「うわー 凄い筋肉 むきむきだぁ」
赤四角錐頭「……!」くるり
ルソル「あ こっちきた」
ハル「ッ~~!?(声にならない叫び)」
ガリガリガリ
赤四角錐頭「……ハルさん ルソルさん来てたんですか」
ルソル「え 誰?」
ハル「この声! よかったダン君かぁ」
赤四角錐頭「ええ、俺です。すいません驚かせてしまいましたか」
赤四角錐頭はダンだった
ハル「大丈夫大丈夫、ちょっとびっくりしただけだから」
ルソル「凄いね格好だね。なにしてるの?」
ダン「なんだか鬼ごっこらしいです 俺が参加者を捕まえる役です
ルソル「その大ナタは?」
ダン「演出です」
ハル「そうなんだ……(こわい)」
ルソル「ねぇねぇ。たいちょーは今日は来ないの?」
ダン「父上はまだ来てません。遅れると思います」
ハル「なにしてるんだろ?」
ダン「おそらく母上の命日なので教会のほうかと」
ルソル「!」
ハル「あ、そうなんだ。ゴメン」
ダン「いえ、気にしないでください」
ルソル「ねぇ、ダン君……。おか」
「なにしてるのー」「ダン君こっちよー」
ダン「すいません途中ですので、もういきます」
ルソル「あ……」
ガリガリガリガリガリガリ
「きたー にげろー」
ハル「ふー ダン君でなかったらどうしようかと」
ルソル「……ダン君のお母さんってどんな人だったのかな?」
ハル「……気になるの?」
ルソル「ちょっと、ちょっとだけですよ」
ハル「モナは……、幼馴染で体は弱かったけどとても明るい人だったよ」
◯教会、墓地
――モナ『トーゴはねー 独り身だとまわりの子がメーワクするから私と一緒に居なさい』
トーゴがモナの墓の前に佇んでいる
トーゴ「……」
――ダン『ルソルさんやクスシさんとかフィメナさんとか……ハッキリしろっ! エロ親父!』
トーゴ「はぁー、ダンに言われちまったよ」
モナの墓「……」
トーゴ「……お前の言ってた通りなのかな。やっぱり」
モナの墓「……」
トーゴ「……あんな風に思われていたとは」
モナの墓「……」
トーゴ「どうしたものか……」
モナの墓「……」
トーゴ「お前は……。いいのか?」
モナの墓「……ゥ」
トーゴ「え……?」
モナの墓「ガァ!」ボコッ
墓の下から骨の手が飛び出してきた!
トーゴ「い!? いやいやいや 待て待てマジか!? スマン俺がわるかったぁ!!」
ボコボコドカッ
辺りの墓の下からも骨の手が飛び出してきた!
トーゴ「なぁ!? なんだこれは!?」
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