第9話 王都下水道で伝説の怪獣と財宝を追え! 5
○地下倉庫、客室
ダン「う……」
ダンは目を覚ました」
フィメナ「気づいたか……具合はどうだ? 大丈夫か?」
ナナ「……」
ダン「えぇ……もう大丈夫です」
フィメナ「とりあえずハル君を呼んできまから、ナナーシャ様見ててください。余計な事しないでくださいよ」
バタン
フィメナはハルを呼びにいった。
ナナ「まったく、余計な事とはなんじゃ。 わらわを信用せぬか」
ダン「痛たた、俺はいったい……」
ナナ「覚えておらんのか……?」
ダン「……」
ダンは思い出そうとした。
ダン「…………ぅぁあ。 しにたい」ガク
ナナ「覚えておったか」
ダン「そ、そうだナナ王女!!」ガバッ
ダンはベットから飛び起き王女の前にひざまづいた。
ダン「この度はとんだ無礼をしてしまいました。 この責任は……」
ナナ「……よい、オモテをあげよ」
ダン「しかし! 俺は王女殿下に対し見習いとはいえ騎士としてあるまじき言動を……」
ナナ「よいのじゃ、許すからオモテをあげておくれ」
ダンは微動だにしない。
ダン「……」
ナナ「……あの時の言葉はおぬしの本音じゃな」
ダン「あ、あれは……どうかお忘れください」
ナナ「おぬしもやはり父上が居なくて寂しかったのじゃな」
ダン「それは……」
ナナ「よい、わかるのじゃ。 わらわの父上も多忙だったのでな」
ダン「……(そうか、前王は)」
ナナ「末の子ということもあり父上にはなかなか会えなんだ。 そのことでわらわは随分と寂しく思っておってな……」
ダン「……そうですか」
ナナ「そんなわらわの相手をしてくれたのがトーゴだったのじゃ、護衛といいながらもわらわの無茶にもつきおうてくれたし、他の者は教えてくれなんだ剣術なんぞも教えてくれた。 それ以外にもイロイロじゃ」
ダン「……父上が」
ナナ「トーゴは二人目の父上のようなものじゃった。 まだ小さかったわらわはずいぶんと助かったのじゃ」
ダン「……それはよかったです」
ナナ「しかしそのせいでおぬしに寂しい思いをさせておったのじゃのう」
ダン「……過ぎたことです、気にしないでください」
ナナ「ダメじゃ、わらわのわがままが原因じゃからの。 わらわはおぬしに借りがあるのじゃ」
ダン「そんな借りなんて、恐れ多いです」
ナナ「ダメじゃ、借りは返さねばわらわの気がすまんのじゃ!」
ダン「いやしかし、」 ナナ「するのじゃ!」 ダン「はい……」
ナナ「だからお返しにおぬしが寂しくないようにをわらわの『弟分』とするのじゃ」
ダン「は? いえその、王女は俺より年し」 ナナ「わらわがおぬしの『姉』になるのじゃ!」 ダン「はい……」
ナナ「わらわはユウと違うて思う存分おぬしを『頼る』からのおぬしも存分に『頼られ』るがよい。 うむ! おぬしに寂しいなどとは二度と思わせんからの! 覚悟するのじゃ、よいな」ビシッ
ダン「……はい」
ナナ「よしではさっそくじゃがダンよ」
ダン「え!?」
◯地下倉庫・封印の間
ガラガラガッシャン
フィメナ「何してるんですか帰りますよナナーシャ様。 ダン君まで連れ出して!」
ナナ「絶対に伝説の武具を見つけるのじゃ。 まだどこかにあるじゃろう、ほれダンあの兜はどうじゃかぶってみい」
ダン「これですか?」カポ
ダンは呪われた。 頭が締め付けられる
ダン「がああああ!!」
ホワイティ「まったく、”破呪”」
呪いの兜は壊れてしまった。
ユウ「呪文も使えたんだ、それに聞いたことない魔法ね」
ホワイティ「うむ、呪文もいくつか思い出したのでな」
ショーコ「魔剣の時もその魔法をすれば早かったんじゃ」
ホワイティ「そうかもしれんな。 いやー忘れておったわ」
ダン「うぬぅ。 頭がガンガンする」
ナナ「うぬぬ、だったらそこにある……」
フィメナ「いい加減にしてください! ここにあるのは呪物ばっかりでしょうが」
ナナ「それでもいいのじゃ、兄上を説得できるようなモノがあれば」
「ほれ、ダンそこの……」「ちょ、ちょっと」
トーゴ「まいったな、ああなったら止まらないぞ。 ナナ王女は」
ハル「でもどうするの? 伝説の武器なんてないでしょ」
ナナ「兄上を説得するための物がいるのじゃ、勇者の証が!」
フィメナ「たまには諦めて下さい、無い物は無いんです」
ナナ「いーやーじゃー!」
ショーコ「勇者の証ねぇ。 無いのなら作ればいいのよ」
ユウ「ショーコ、まさか……」
ショーコ「アタシにいい考えがあるわ」
◯しばらくのち・王城
第六王子ロック「兄上、なんで俺があんなやつを探しに行かなきゃならないんですか。 ほっときゃいいじゃないですか」
ワンス王「お前も一応兄ならそれくらいしろ。 ナナーシャも何処にいったんだ? まったく誰に似たんだか」
ロック王子「……父上に決まってるじゃないですか」
ワンス王「だよな、七番目だし」
ロック王子「またそれだ、なんですか七番目七番目って、七番目なら何してもいいんですか」
ワンス王「そうではない、父上も七番目だったのだ」
ロック王子「え!?」
ワンス王「七番目の子は特別…… その七番目の父の七番目の子なんだ。 まーとにかく普通じゃすまないよな」
ロック王子「だったらなおさらほっときましょうよ、七番目なんでしょう。 飽きたら飛んで帰ってきますよ」
ワンス王「そうだといいが」
兵士が駆け込んできた!
兵士「き、急報! 城の上空にど、ドラゴンが出ました!?」
◯中庭
上空をホワイトドラゴンが輪を描いて飛んでいる。
バッサバッサ
ワンス王「本物か!? あんなものがいるなんて」
ロック王子「隣国の新兵器でしょうか?」
ワンス王「とにかく魔術師たちを集めろ」
近衛兵長「攻撃するのですか?」
ワンス王「こちらからはしない……が、念のためだ」
ホワイトドラゴンが中庭に舞い降りてきた!
近衛兵長「王よおさがり下さい、 防御陣形をとれ! 魔術師はまだか」
兵士「宮廷魔術師殿は『ドラゴンの対応は契約外』とのことで拒否されてます」
近衛兵長「あんの、野郎! 他の魔術師は」
兵士「上に同じだそうです」
近衛兵長「おのれ~、頭でっかちどもが~~」
近衛兵「隊長ドラゴンから誰か降りて……」
シュタ
ナナ「兄上、ただいま戻ったのじゃ!」
ホワイトドラゴンからナナが飛び降りてきた。
ワンス王「ナナーシャ、お前いったいなにして!?」
フィメナ「も、もう二度とのりませんからね」ヨロヨロ
フィメナも顔色を真っ青にして降りてきた。
ナナ「なんじゃ、高いところはだめじゃったのか?」
フィメナ「高いどころじゃないですか飛ぶなんて」
ワンス王「フィメナまで、いったいなんだこれは!?」
ナナ「兄上、これが証拠じゃ」
ワンス王「しょ、証拠!?」
ホワイティ「貴殿が王か、私はホワイトドラゴン……エート。 ……再び魔の胎動を感じはじめたため、この勇者を導くために我は甦り馳せ参じた」
ロック王子「うそだろ……こんなの」
ホワイティ「……」ギク
ナナ「なにをいうか! こうして『伝説のドラゴン』がわらわを『勇者』として認めたのじゃ。 これ以上の証拠はあるまいて!」
ワンス王「……どこにいたんだこんなの」
ナナ「王都の地下深くの神殿じゃ」
ワンス王「本当かフィメナ」
ナナ「……」じーーーー
フィメナ「……ええ、ホントウデス」
ワンス王「そんな、本当にこんなことが。 『勇者伝説』はおとぎ話ではなかったのか」
ナナ「そうじゃ! 『勇者』はおとぎ話ではないのじゃ、そして『魔王』もまた実在しておるのじゃ」
ロック王子「ドラゴンよ! なんでコイツが勇者なんだ! 勇者がいるならこいつより俺が適任だろう!」
ホワイティ「ふむ……」ジー―
ナナ「ホワイティまさか…… (うぬ、バカロックめ余計なことを!)」
ホワイティ「……不合格」
ロック王子「はぁあ!?」
ナナ「ふ、ふははは。 あったり前じゃろう! おぬしのような威張りちらしておるだけのモンが勇者になれるワケなかろう! 身の程をわきまえよバカロック!」
ロック王子「なんだと! 妹のクセに生意気な!!」
ナナ「なにが妹じゃ! 一つしかかわらんじゃろうが、そんなので兄貴ぶるでない。 みっともない。 恥を知れ!」
ワンス王「やーーめーーろッ!! お前達立場と場をわきまえろ! ロックウェルは下がれ、部屋に戻っていろ!」
ロック王子「なっ……くそ」
ナナ「……フフフ、ざまぁみろじゃ」
ワンス王「……ナナーシャ、お前も黙れ。 フィメナ、ナナーシャを部屋へ」
フィメナ「はっ」
ナナ「……ホワイティ、後は任せたぞい」ボソボソ
ホワイティ「うむ、手筈どおりに……」ボソボソ
ワンス王「ふむ……(伝説はともかくこのドラゴンは軍事に使えるかもしれんな)……ドラゴンよおぬしも疲れておろう、欲しいモノはあるか出来る限り用意しよう」
ホワイティ「そうか、ならば新商品の『日焼け止め』を所望する」
ワンス王「……ひ、日焼け止め!? 何に使うんだ?」
ホワイティ「もちろんわらわが使う」
近衛兵長「……いるのか? ドラゴンなのに?」
ホワイティ「あったりまえじゃ、油断するとシミとかシワとか…… あー考えただけで恐ろしい、はようもってこい。あぁ紫外線が紫外線がぁ!」
ホワイティは暴れ出した!
ドンガラガッシャン
兵士A「うぎゃーーー」
兵士B「オタスケー―」
近衛兵長「王よ、なんとか止めないと被害が。 はやく日焼け止めを!」
ワンス王「そんなこと急に言われても……」
ガラガラガラ
商人の馬車が中庭に入ってきた。
商人トルマン「まいどー! 日焼け止め六樽分おもちしましたー」
ショーコ「ナナーシャ王女さまからのご依頼の品でーす」
どこからともなくナナがあらわれた。
ナナ「おーやっときたのじゃ。 お、兄上どうしたのじゃ? なんじゃこれが必要かの? だったら……」
ワンス王「ナナーシャ! 謀ったなぁ!!」
○後日・ハルの喫茶店
ショーコ「と、いうわけでなんやかんやあって『魔王調査隊』の結成が決まったそうよ」
ユウ「そう、これでナナも念願の調査に行けるわけね。 よかったじゃない」
ショーコ「でも、ひとつ問題がのこっていてねー」
ユウ「何?」
ショーコ「それは――」
どっおおおん! どすんどすん、どすどすどす……
ハル「な! なに地震!?」
窓からホワイトドラゴンが首を伸ばしてきた。
ホワイティ「きちゃった」にゅう
ハル「うわぁ! ホワイティさん」
カランカラン
ナナ「ドラゴンだとあっという間じゃな。 ユウ、ハルよ元気じゃったか?」
ショーコ「ナナ、やっぱり来たのね」
ユウ「なっ、なにしてんのよ。 道がボッコボコじゃない!?」
ナナ「なにっておぬしを誘いに来たに決まっておろう。 さぁわらわとともに魔王調査に出発するのじゃ」
ユウ「断る!」
ショーコ「はやッ」
ナナ「なんでじゃ~、おぬしも勇者の仲間の子孫じゃろ一緒に旅立つのじゃ~」
ユウ「そんなの知らないわよ。 他をあたってよ」
ナナ「いやじゃ、おぬしが居ないといやなのじゃ」
ショーコ「さー、どうする? 長期戦になるわよ」
ユウ「もーー」
ホワイティ「あ、ハルちゃん。 これ塗ってくれない、そろそろ効果が切れるから」
ハル「これって日焼け止め? それにしても性格……というか話し方どうしたの?」
ホワイティ「そうよ~、今風にしてみたの。 あのままじゃ年寄くさいでしょ、ね」
ハル「そういうの気にするんだ。そういえばホワイティさんって何歳なの?」
ホワイティ「あら、レディに歳をきくなんて野暮よ~」
ハル「……レディ? だってホワイティさんオスじゃ」
ホワイティ「や~~~~~。 い~わ~な~い~の~~っ」
ハル「あ、うん」
カランカラン
トーゴ「おいおい、ドラゴンの体が道をふさいでるぞ。 苦情が出る前にどけてくれ」
ホワイティ「あ、トーゴひさしぶりー、げんきだったー」ぎゅるんぎゅるん
トーゴ「うおおお巻き付くなー」ぎゅうぎゅう
カランカラン
フィメナ「はぁはぁ、やっと追いついた。 ナナーシャ様帰りますよ」
ナナ「ダメじゃ、ユウを調査隊に居れるまで帰らんのじゃ」
「いいかげんにしてください」「いやじゃー」
ユウ「ちょっと……」
「このままたべちゃいそう」「グワーオタスケー」「マテそれはマテ」
ハル「えっと、どうしよう」オロオロ
ユウ「もう、今日は店じまいよ! みんな帰ってーーーーーー!!」
第9話 王都下水道で伝説の怪獣と財宝を追え! 終わり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます