第9話 王都下水道で伝説の怪獣と財宝を追え! 1
◯王都、地下水道
サブサブサブ……
兵士A「ほんとにこんな所に来てるんですか?」
女騎士フィメナ「間違いない、ナナーシャ様はここに来ているはずだ」
兵士B「なんで下水道なんかに?」
フィメナ「……それは」
兵士A「うおわああああああああああ」
フィメナ「なんだ!? うるさいぞ」
兵士B「すいません。 なにかが奥で……」
フィメナ「なんだまた大カエルでもいるのか?」
「グ……グルル……」
巨大な影があらわれた。
兵士A・B「「で、でたーーーー!!??」」
兵士A・Bは逃げ出した。
「バケモノ―」「オタスケー」
フィメナ「こら、お前達逃げるな…… これだから内勤の兵士は……」
???「グオォン」
フィメナ「このバケモノめ、ナナーシャ様が戻らないのはお前のせいか? 返してもらうぞ、ウチの王女を!!」
フィメナは果敢にも巨大な影に立ち向かった。
◯翌日・南の町、街角
ショーコ「ごめん、まった?」
ユウ「まったわよ、なにしてたの?」
ショーコ「ごめんごめん、ちょっと日焼け止めをね」
ユウ「日焼け止め? そんなの気にしてるの?」
ショーコ「ちょっと若いからって油断すると後で後悔するわよ、どう一本?」
ユウ「……いや、私は別に」
ショーコ「あらー、ハルさんが色白好みだったらどうするの?」
ユウ「そ、そんなの知らないわよ」
ショーコ「だったら余計、対策しておいた方がいいわよ。 焼くのはかんたんだけど白くするのは大変だからねー」
ユウ「……お金は後でいい?」
ショーコ「毎度ありー」
第七王女ナナ「ほうほう、わらわも一本貰えるかの?」
ユウ「ナナ!?」
第七王女ナナがあらわれた。
ショーコ「元気してた? 何してるのこんなところでって、クサ――!?」
ユウ「どうしたのそのカッコ!? 」
ナナ「実はのう困ったことになっての……とりあえずシャワーを浴びたいのじゃが」
○ハルの喫茶店
ショーコ「じゃあトーゴさん呼んでくるわねー」
ハル「うん、おねがいー」
カランカラン
ハル「さて、ナナの着替え用意しないと、ユウので間に合うかな?」
○脱衣所
「キャーキャー」「じっとしてて」
ユウ達の声が浴室から響いている。
ガチャ
ハル「えっと、ユウー、ナナーここに着替え置いておくねー」
「ありがとパパー」「カタジケナイノウ」
ハル「……」 ドキドキ
「どうしたのパパ?」「ハルも一緒に入らんかー」
ハル「いや!? えっと服洗うから、ゆっくりしてて」
ドタバタガチャ
ハル「うぅ……(僕はパパ僕はパパ……)」
○ハルの喫茶店、食堂
ナナ「トーゴー、久しぶりではないかー息災じゃったか」
トーゴ「おぉナナ王女、大きくなったな」
ハル「知り合いだったの?」
ナナ「トーゴは以前わらわの警護をしておったからの」
ユウ「そうだったの、意外」
トーゴ「意外ってヒドイな。 それにしてもどうして一人でこんな所まで? 警護は? フィメナはどうした?」
ナナ「そのことでお主らに相談があってのう」
○
ハル「下水道に怪物!?」
ナナ「うむ、フィメナは奴に捕まったのじゃ」
トーゴ「なんでそんな事に……」
ナナ「ふむ、どこから話せば良いかの」
ユウ「なんでフィメナは下水道なんかに?」
ナナ「それはいつものように
ショーコ「え? ナナはなんでそんなところに?」
ナナ「うーむ、お主らも知っておろうが山奥の調査を頼んだ事があったの」
トーゴ「あぁ、あの時か。 あれは大変だったぞ」
ナナ「その時の報告を受けたわらわは魔王の復活かと兄上に相談したんじゃが……」
◯ナナの話・王城
ナナ「なぜじゃ! 魔王が復活したのかも知れないのじゃぞ世界の危機じゃ!」
ワンス王「いい加減にしろ、そんなモノがいるわけないだろうが」
ナナ「山村での事態は報告したじゃろ、巨大ワームがおったのじゃ、フィメナが偽りを言うと思うのか?」
ワンス王「そうでは無い、ここ最近の異変は全て異常気象だ。 デカイ虫もな」
ナナ「何が異常気……」 ワンス王「仮に! お前が言うように大昔にに魔王がいたとしても現代にいるはずなかろう。 まぁ、実際には大昔でもそんなモノはいなかっただろうがな!」
ナナ「だから、わらわが調査団を結成して各地の魔王塚を調べに行くと言うとるじゃろ。 さすれば確固たる証拠を持ってきてやるというのに……」
ワンス王「なにが証拠だそんなもの…… 証拠、そうだ。 よし俺を納得させたいならば我が王家が勇者の末裔である確固たる証拠を持ってこい」
ナナ「……なんと!? 兄上は王家が勇者の末裔では無いと言うのか!?」
ワンス王「当たり前だろう、数百年も前の事をそのまま鵜呑みに出来るか。 俺としては勇者も魔王も過去のイメージ戦略だ」
ナナ「何がイメージ戦……」 ワンス王「しかしだ! かわいい末の妹の頼みだからな、俺としても叶えてやりたいが根拠のないモノには税金はつかえん。 わかるだろう? だから魔王が居るなどと言うのならば、まずは勇者の証しとか伝説の武器とかそんな勇者が居たという証拠を持ってこい。 ま、あればの話だがな」
ナナ「ぐぐ……わかったのじゃ、伝説の武器でもなんでも持ってきてやるのじゃ!!」
◯
ナナ「それから半月程、古書や伝聞を調べて王都の地下に伝説の武器らしきものがあるとようやく知ったのじゃ」
ユウ「なにそれ、ホントなの?」
ナナ「勇者は魔王を倒したのちに武具などを地下深くに封印したらしい」
トーゴ「地下? だったらお城にあるんじゃないのか?」
ナナ「わらわもそう思って城の地下を調べたがなかったのじゃ、そもそも今の城は築城して30年ほどしか経っておらん。 そこで築城当時の記録を調べたら以前の地下室を地下水道に改築した部分があるということがわかったのじゃ」
ハル「それで下水道に?」
ナナ「そうじゃ、地下水道の奥には使われなくなった地下倉庫があるはずじゃ」
ショーコ「しかし、よく下水道とか行く気になったわね」
ナナ「まぁ下水道はサン兄ぃと城を抜けるのによく利用してたし、今もたまに通るのじゃ。 ま、わらわの庭みたいなものじゃ」
トーゴ「庭みたいなものか……(一応お姫様のはずなんだがな……)」
ナナ「で、今まで行ったことのない奥までいった所でフィメナが追いかけてきての、わらわは隠れておったのじゃが、フィメナはそのまま進んで怪物と鉢合わせしてしまったのじゃ」
ハル「ホントに怪物なんて居たの? 異常成長した魔物とかじゃ」
ナナ「ふむ、もし魔物としても怪物じゃろう。十数メートルはあるかという巨体じゃったからな、フィメナを助けたいが流石にわらわだけでは太刀打ち出来ん。 そこでお主らに助力を願いたいのじゃ」
トーゴ「ふむ……しかしそれはいつの話なんだ?」
ナナ「そうじゃな、昨日の深夜ごろじゃな。 下水道から出たのが明け方でそのまま馬車に乗ったからの」
ショーコ「タフね~、でもなんでお城の兵士とかに頼まないの?」
ナナ「それはその……、わらわだけが城に戻ってはフィメナのメンツが丸つぶれじゃろう」
トーゴ「そうか、やっぱりフィメナにお前を任せたのは間違いじゃなかったな」
ナデナデ
ナナ「これ、なんじゃ。 わらわとてフィメナには申し訳ないとは思うからの…… その、少しはの」
トーゴ「そうかそうか」ナデナデ
ハル「でも、フィメナさんはまだ無事なの?」
ナナ「それはきっと大丈夫じゃ、ドラゴンは倒したフィメナを奥の部屋に運んでいたからの」
ショーコ「フィメナさん『くっ殺状態』なのね、わかりますん」ニヨニヨ
トーゴ「それはそれで見て見たいかもって、ぎょわああああああああ」
バチバチバチッ!
ユウの電撃魔法がショーコとトーゴを襲う!
ユウ「貴方たちマジメにしなさい」
ショーコ「ゴメンゴメン、マジゴメン」
ユウ「まったく」
ナナ「それじゃ! その魔法。 間違いない」
ユウ「な、なに?」
ナナ「お主こと伝説の勇者の仲間の『賢者』の末裔に違いない。 わらわと一緒にきておくれ」
ハル「ユウが『賢者』!?」
ナナ「賢者は剣と魔法を使える魔法剣士だったそうじゃ、今でこそ魔法は一般的になりはしたが、それでもお主のように強力な魔法と剣術を併せ持つ者はそうそうおらん。 お主の故郷はおそろく賢者の隠里だったのじゃ」
ショーコ「だってさー、カッコいいわねー『賢者様』」
ユウ「からかわないで、まぁフィメナさんにはお世話になったしナナ王女の頼みだしね。 わかった一緒にいくわ」
ナナ「おお、礼を言うぞユウよ」
ハル「だったら僕も行くよ」
ショーコ「あ、あたしも行く―」
ユウ「いや、貴方は無理でしょ危ないわ」
ショーコ「えー、王女様で友達が困ってるのに留守番なんてできないわ」
ナナ「おう、なんとうれしいことを。 よし一緒に行こうぞ」
ショーコ「もちろんよ」
ユウ「あーもー、(言い出したら聞かないのよね)」
トーゴ「はぁー仕方ない、護衛出来る奴をもう一人連れていくか」
○王都、地下水道入口
バシャバシャ
ナナ「うむ、いざ出陣じゃ」
トーゴ「馬車で寝ただけなのに元気だな」
ショーコ「パパ大丈夫? 足元気をつけて」
ハル「うん、大丈……うわぁ!」
ダン「……ハルさん危ない」ガシッ
ハル「あ、ありがとう」
ショーコ「やぁ~ん、アタシもこけそう~」ベタベタ
ダン「う、うむ……」
トーゴ「ダンよ、ハルとショーコちゃんの護衛をまかしたぞ」
ダン「……了解です」
ハル「ちょっと僕は大丈夫だって子供扱いしないでっ うわぁ」
ユウ「危ないって」ガシッ
ハル「うぅ、ごめん」
ユウ「パパには深すぎるわ、ダンおんぶしてあげて」
ダン「わかった」ひょい
ハル「……うぅ(やっぱり子供扱い)」
ナナ「もう少し行けば浅くなる、しばしの辛抱じゃ」
ダン「……」ムス
ユウ「ダン……? (怒ってる? 何に?)」
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