第8話 ハル「異種族交流会?」 4

○その後・カウンター席


いさみ「………………」ズーン

ケン「どーしたのいさみちゃん、カップリングなんてそうそう合わないって。 チャーミング総合一位だったんだからよかったじゃんか」ガッハッハ

クスシ「そーよ、なによ! 上位が双子とアンタじゃない、デカいとか若いとか反則よォ!!」バタバタ

ホビット女「まー落ち着いて、飲みすぎよ」


ともこ「はい、というわけでカオスな二次会になっております。 いさみ仕方ないじゃないやっぱりエルフ族はエルフ族同士がいいのよ。 ね?」

いさみ「……そうなのかな」ズズーン

クスシ「くっそー、あんのスケコマシどこ行った!! 一発殴る」ドタドタドタドタ


ともこ「……ねぇクスシさんが飛び出していったけど大丈夫かな?」

いさみ「いいんじゃない……ほっといても」ふー

ともこ「……(うわぁ、なげやり)」


○ユウの回想


司会「はいトーゴさんとキャスリンさんおめでとうございます。 さぁ最後はハルさんとキャスリンさんです、皆様素敵なカップルに拍手をお願いします」

キャサリン「あら、今日は楽しかったわ。 それでは私はトーゴさんとハルさんに送ってもらうから、じゃあね」ウフフ

ハル「あの、いさみさん。 今日は楽しかったよありがとう……あの君はとっても素敵だからきっと素敵な人が見つかるよ」


○カウンター席

いさみ「……(明日、パパといつも通りにできるかしら)」ズーン


隣でミノとシスターが話し込んでいる

ミノ「我々の種族はもともと東方よりの地域の一族でね、なぜか女性が一族に生まれないんだ。 それで昔は女性をさらって来たりなんてヒドイこともしていたため争いで数がずいぶん減ってね。 このまま滅亡かと思っていたが…こんな交流会が行われるようになっていい時代になったんものだ」

シスター「そうなんですね、苦労されてたんですか?」

ミノ「いや、私の世代はしていないが祖父やそれ以前は酷かったらしい。 それにしても我々の種族は謎が多くてね、女性が生まれないのもあまりにも不自然だしそもそも歴史が浅いんだ」

シスター「どういうことですか?」

ミノ「我々の一族はほんの300年前ほどしかさかのぼれないんだ、それ以前が無いんだ」

シスター「いきなり発生した種族だというのですか?」

ミノ「わからない。 私はそれを調べるため旅をしている、しかしどこにもそれ以上古い記録も史跡も見つからないんだ。 わかったことは他にも同じように発生した種族がいるということだけだった」

シスター「あのケンさんとかですか?」

ミノ「そうだな、アイツも旅で見つけてそのまま一緒に旅することになった。 そういえば旅すがら妙な話も耳にするのだが。 最近は奇妙な猿がでたり怪しい商品が出回ったり、他にも人間が獣や魔族のようになったものが居るとか」

いさみ「……(魔族?)」

シスター「魔族ですか? それっておとぎ話の」

ミノ「一般的にはそう思われているが実際に存在したと思われる古文書は各地にあるんだ、それに最近は魔族への先祖返りが報告されていて」

シスター「先祖返りって?」

ミノ「獣人では割とポピュラーなんだけど、出生時、または成長期に祖先の特徴が強くでてしまうことがあるんだ、ケンタウロス族ならほとんど馬になってしまうとか」

シスター「もしかしてケンさんもそうなんですか? 普通のケンタウロス族とは違うような……」

ミノ「あれはまぁ、頭だけだがそうかもしれない。まだまだ研究段階でしてね。中には普通の人間から角や尻尾などそれも獣人の特徴に当てはまらない例もあるんだ、それが古文書にある魔族の特徴に似てて……」


いさみ「……魔族返り」

ミノ「そう、まだ研究段階だが、私はそれをそう定義して研究しておりこれこそが我が一族発生の謎を解く……」

いさみ「近年このあたり、いいえ隣国でその報告はあったの?」

ミノ「む? 報告だけなら…… 東の町のあたりで女の子が一人か二人しっぽが生えたという……」

いさみ「ねぇそれ、詳しく教えて!」


○街角、宿屋への途中

キャスリン「あー、私はもうお腹が空いたわ、姉さんのせいよ」

トーゴ「そういえば、会場ではあまり食べてなかったね。 今からでも何か食べに行こうか? 案内するよ」

ハル「えっと、お姉さんも食べる?」

キャサリン「私は大丈夫だから。 トーゴさんキャスをお願いできる?」

トーゴ「えぇ、もちろん」

キャサリン「じゃあ先に宿にもどりましょうか」

ハル「えっと、うん」



トーゴ「……(よっしゃ、いい雰囲気だ)さて何食べる」

トーゴはキャスリンの腰に手をまわした。 その手に何かが触れる。


ぺチ


トーゴ「ん? なんだこれは……しっぽ? アクセサリーかいカワイイね」


ぺチペチ


キャスリン「あーあ、お腹ぺこぺこだしね、我慢できなくなっちゃったわ」

トーゴ「……これ動いて、本物!?」

キャスリン「ウフフごめんなさいね、だって私達はサキュバスだから」


双子エルフは双子サキュバスだった!

キャスリンのエナジードレイン

トーゴ「……ッ!?(力が)」


キャスリン「ウフフフ、ごちそうさま。 さてあのおチビちゃんを姉さんと好きなだけ可愛がろうかしら」

トーゴ「ハ……ル……」ガク

トーゴは気絶してしまった。


○宿屋、双子サキュバスの部屋

ハル「……トーゴたち遅いねぇ」

キャサリン「そうね、先にいただいちゃうわ」


キャサリンのエナジードレイン


ハル「なに? ……ぅぐ」

キャサリン「やっと効いたわね。 眼差しも効かないし、これも効かなかったら無理やりになってたわよ……それでもいいけど、ウフフ。 でもエルフ族は本当に特殊ね、こんなに美味なんて」

ハル「ひぅ……ぅ……(動けない、なんで)」

キャサリン「あー、素敵ねその表情。 ゾクゾクするわ」ぺチペチ

ハル「ッ!?(尻尾!? そんな、エルフ族じゃない!?)」

キャサリン「怖がらないでいいのよ、可愛がってあげるから」


○街角


タッタッタ


ともこ「もう、ユウったら急に飛び出してどこいったのよ……あれは? クスシさんとトーゴさん!?」


クスシがトーゴを抱き抱えて泣いている

クスシ「あ、アナタ。 早くシスターを呼んできて! トーゴがトーゴが!!」

ともこ「わかったわ、まってて」

ダダダダ


トーゴ「うるさいな、これくらいで死にはしねーよ」

クスシ「バカ、真っ青じゃない。 そのまま死ねばいいのよ、本当に」

トーゴ「……まー、このまま死ぬのも男の死に方としては良い方だよな」

クスシ「何言ってるのよ……バカ、昔からホントに……」ぐすぐす

トーゴ「泣くなって……」

クスシ「ううぅ……ぅ。 う! 気持ち悪い……」

トーゴ「お前? ちょっ!? まて、耐えろ!! 離れろ!!!」

クスシ「……ごめん、ムr」


「オロロロロロロロロ」「ぬわーーーー」


○宿屋、双子サキュバスの部屋


キャサリンのエナジードレイン

ハル「ぅあぁん、 やめぇてぇ」

キャサリン「んー、美味しい。 エルフイヤーは幻の素材っていうけどホントね、スゴイ濃い魔力が吸えるわね」ペロペロ

ハル「ひぃーひぃー」ボロボロ

キャサリン「それに、耳が弱いのね~エルフ族はみんなそうなのかしら? ウフフ」

ハル「はぅ……(意識が……)」

キャサリン「フフフ、少し休ませてあげる。 妹が来たら両耳同時に? きっとスゴイわよ」

ハル「……(誰か、助けて……トーゴ、……オババ……)」

キャサリン「こんなに震えちゃって、カワイイ」

ハル「ぅああ……(……ユウ……ゴメン、死んじゃう)」



ギィイ

キャサリン「遅かったわね、早くしないとあなたの分無くなるわよ」

キャスリン「姉さん逃げ……ギャッ!!」バチバチバチン

キャサリン「キャス!? あ、アナタ」

ハル「ぁあ?……(あれは、いさみさん……? ユウ……? あれ?)」ガク

ハルは気を失った。


ユウ「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


キャサリン「なに!? なんて魔力! でも、こっちだって魔力は満タンよ、えいっ”魅惑”!」

キャサリンの魔法!

ぺちん


ユウ「……今、なにかしたの」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

しかし効果はない


キャサリン「ちょ!? ウソぉ!! ま、まって誤解しないで私達はもともと人間で……」

ユウ「……シャベルナ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


キャサリン「あのッ! 暴力はんた」

ユウ「”放電”」

バチバチバチ

キャサリン「ァァァァ!!」


○後日、ハルの喫茶店

ショーコ「で、本物のサキュバスだったの?」

ユウ「落ち着いてから聞いたら、成長期に耳が伸びて尻尾が生えたんだって。 一種の先祖返りだとか」

ショーコ「へえー? ご先祖にサキュバスが!?」

ユウ「そういうことらしいの」

ショーコ「それで見逃してあげたの?」

ユウ「まぁ、パパは返してもらったし。 二度とパパに手を出さないって誓わせたから」

ショーコ「へ、へぇ(何をしたのかしら)」ゴクリ

ユウ「聞いてると普通の食事が出来なくなった代わりにエナジードレインしないといけなくて。 でも地元じゃ大っぴらには出来ないからってこっちまで来たんだって」

ショーコ「よく今まで捕まらなかったわね」

ユウ「あの双子いわく『乳牛を殺しちゃったらミルクが飲めないでしょう』だって、被害者もスケベ親父が多かったみたいだし……パパに手を出さないならあとはどうでもいいわ」

ショーコ「そーか、それでハルさんはまだ具合悪いの?」

ユウ「そうみたい。トーゴは回復してるのにね、どうしてかしらね」


○ハルの部屋

トーゴ「いやー、ひどい目にあったな。 お前はまだダメなのか?」

ハル「……いや、実はもう体は大丈夫なんだけど」


ギィイ


ユウ「パパー、入るわよ」

ショーコ「お邪魔してまーす大丈夫ですか?」

ハル「あっ!? いさ……、ユウ」

ユウ「大丈夫ハル? 熱はないみたいだけど」

ハル「んと、いいから! もう少ししたら落ち着くから気にしないでっ、お願いだから!」アタフタ

トーゴ「お前……」

ユウ「ホント? でも何か飲んだ方がいいわ、まってて」

ショーコ「失礼しましたー」ふひひ


パタン


ハル「うぅ……やっぱり僕はパパ失格だ。 ユウを見るといさみさんみたいって……前よりドキドキしてる」

トーゴ「そういえば雰囲気が似てる……か? もっと大人になったらああなるかもな」

ハル「うぅ、僕はパパなのにっ! パパなのにーー!!」

トーゴ「……あきらめろお前もお年頃なんだよ」


第8話 ハル「異種族交流会?」 おわり

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