第8話 ハル「異種族交流会?」 1

◯夜・ハルの喫茶店

ユウ「パパ、久しぶりに一緒にお風呂入ろうか? 背中流すわよ」

ハル「だ、ダメだよ!? 子供じゃないんだから一人で入りなさい」

ユウ「もう、親孝行しようと思ったのに」



ユウ「ふー、先に入ったわよ」

ハル「じゃあ、僕も…って!? ユウちゃんと服を着なさい!!??」ドキッ

下着とタオルだけでユウは風呂から出てきた。

ユウ「えー、暑いしパパしかいないんだからいいじゃない」

ハル「ダメ、そんなだらしのないのオババだって叱るよ」ドキドキ

ユウ「もう、仕方ないなぁ」

ハル「もー、……(すごい成長してるなぁ)」ドキドキ


ハル「あぅ!(何を考えてるんだ) ……僕はパパ僕はパパ僕は……」ブツブツ


◯別の日 夜・町の酒場


ハル「だから僕はパパ失格だー」

トーゴ「いやー、お前も一応成長するんだな。ホッとしたぜ?」

ハル「ちーがーうー、成長してるのはユウなのー。うう~~、僕はパパなのに~」

トーゴ「お年頃だよなーユウも(ハルも)。 いいじゃないか健康に育ってる証拠だ」

ハル「ダメだよ、僕はパパなんだ。 なのにどうして……」

トーゴ「だったら誰か彼女でも探してみたらいいんじゃないのか? ユウが許すかどうかは知らんが」

ハル「……でも、知ってる女の人なんてほとんど身内ばっかりだよ、お客さんだっておばあさんばかりだし」

トーゴ「まーなー、ほらハルそろそろソーダやめておけ潰れるぞ」

ハル「ぷー、ウップ」

トーゴ「だいぶ飲んだな、しかしソーダで酔えるのはコスパがいいよな」


トルマン「ハル殿、話は聞かせてもらったぞい」

トルマンが現れた。

トーゴ「トルマン来てたのか」

トルマン「いかにも、兄弟よ彼女を探すのに難儀してるのじゃな。 ならばワシにいい考えがある」

トーゴ「なんだ?」

トルマン「ワシはお主を見て思ったのだ、種族なんぞ関係ないわれわれはもっとお互いを知らねばならないのだ」

ハル「うんうん」

トーゴ「なんだお前も酔ってるのか」

トルマン「だから、ワシはこの企画をした。 もともとハル殿は呼ぶつもりだったのだから丁度よかったわい」

トルマンはチラシを見せた。

トーゴ「なんだ交流会?」

トルマン「ただの交流会ではない! 異種族交流会じゃ!」

ハル「異種族交流会?」


◯別の日、ユウの部屋

ユウ「またパパの様子がおかしいわ」

ショーコ「また? だからそれはお年頃だし……」

ユウ「違うの、それとは少し違うの」

ショーコ「どう違うのよ」

ユウ「なんだか私に隠し事をしてるみたい」

ショーコ「そりゃあオトコノコだから隠し事の一つや二つは。 あ、ベットの下とか探っちゃダメよ、何か見つけても知らないふりするのがマナーよ」

ユウ「なによソレ。 でも、確かに部屋の掃除をしようとしたら自分でするからって止められたわね」

ショーコ「いい、ハルさんの部屋でナニを見つけても問い詰めたりしちゃダメよ。 親子でもプライバシーは尊重しなくちゃ。 あ、でも今はハルさん買出しで居ないわね?」

ユウ「……あなたね、何が言いたいの」

ユウ「掃除するなら今でしょ!」


◯ハルの部屋

ショーコ「ここがハルさんの部屋かー、なんだかゴチャゴチャしてるわね」

ユウ「そうなのよ、調合器具とか出しっぱなしにしてるから」

ショーコ「さーて、ハルさんのヒ・ミ・ツはここですか??」ゴソゴソ

ショーコはベットの下を探っている。

ユウ「アンタねぇ、パパに限って何かあるわけないでしょ」

ショーコ「あった!」

ショーコは謎の箱を見つけた。

ユウ「なぬぅ!? よこしなさい!」ビュン

ショーコ「おぅ、やっぱり気にしてるじゃない」

ユウ「うるさいわね、これは私とパパの問題よ」

ショーコ「そうですねぇ、ではこの箱はなんでしょうか」

ユウ「……ただの靴箱みたいだけど」

ショーコ「なら開けてみましょうよ、禁断の箱を、フヒヒ」

ユウ「……」ゴクリ


パカ


ショーコ「え?」

ユウ「ほらー、ただの靴じゃない。 ……あら?」

ショーコ「ほうほうこれはこれは」


◯異種族交流会当日、トルマンレストラン前

ハル「うわー、こんなお店初めてだ」

トーゴ「そうか、ところでユウにはバレてないだろうな?」

ハル「ユウ? 知ってるよ」

トーゴ「バカ、あれ程秘密にしろって言ったじゃないか。ヤバイ半殺しにされる、俺は悪くねぇぞ」

ハル「ちょっとユウはそんなことしないって、もう。 何かユウも知ってたみたいだよこの企画。 『こんなのあるから行ってみたら』って言ってくれたよ」

トーゴ「そうか、それはそれでなんか怖いな。 またついてきてないだろうな?」

ハル「まさか20歳以上二人組じゃないと参加できないじゃない、無理だよ」

トーゴ「だといいんだがな」

ハル「あ、ほら。 そろそろ受付だよ、行こう」

トーゴ「そうだな、……所でお前その靴でいいのか?」

ハル「なに? うわっ」コケ

トーゴ「いや、いい。 足元には気をつけろよ」

ハル「う、うん。 気をつけるよ」


◯物陰


ユウ「あんなシークレットシューズまで履いて、5センチしか変わらないのに」

ショーコ「あ、5センチをバカにしましたね。 5センチあればワンサイズ変わるわよ。 なめたらあかんぜよ」

ユウ「誰よアンタ。 それにしてもただのパーティなのになんで秘密にしてたのかしら?」

ショーコ「ほほほ、なんでかしらね。 まぁ親父の企画だからなんとなくわかるけどね。 一旦アタシの部屋で準備しましょ、近いし」

ユウ「そうね、急ぎましょ」


◯トルマンレストラン・受付


受付「ではこちらの番号札を胸につけてエントリーシートを記入して開始時間までお待ちください」

ハル「えーと、愛称に年齢、職業、趣味、好きな食べ物、最近見た映画……いっぱい書くことあるんだね」

トーゴ「ははは、なんだ交流会ていってもコレか。 知合いが居ないといいんだかな」さらさら

ハル「トーゴなんか慣れてない?」

トーゴ「そんなことないぞ、適当に書けばいいんだこんなのは」

ハル「ダメだよちゃんと書かないと、えっと好きなタイプとか考えたことないなぁ。 結構難しいねコレ」

トーゴ「無理に書かなくてもいいんだぞ」


◯ショーコの部屋

ユウ「コレ、パパにバレないかしら?」

ショーコ「ほら、このウィッグもつけて。これで大丈夫よどこから見ても金髪レディよ」

ユウとショーコは金髪のレディに変装している。

ユウ「見た目はコレでいいとしてもパパは匂いも敏感よ」

ショーコ「だったらこの香水で大丈夫」シュッ

ユウ「大丈夫かな? へんじゃない?」

ショーコ「変じゃないっていい匂いだわ、アタシがオトコだったら襲ってるところよ」ぐへへ

ユウ「顔がおっさんよ貴方」

ショーコ「おっとレディにあるまじき表情ね。じゃ、これ身分証よ、知合いから借りたから持ってて」

ユウ「顔が全然違うじゃないどうするの?」

ショーコ「すごい痩せたって言えばいいのよ」

ユウ「だとしてもコレは身分詐称じゃない?」

ショーコ「だったら、行くのやめる? ハルさんにはトーゴさんがついてるから大丈夫よね~?」

ユウ「行くわ、トーゴじゃ信用できない」

ショーコ「即答ね。 それと、呼び方も変えないとね。あたしが『ともこ』であんた『いさみ』でいい?」

いさみ(ユウ)「どこの外国人よ」

ともこ(ショーコ)「いいじゃない、異種族交流会なんだし」

いさみ「そうね。 それにしても、あなたその胸盛りすぎでしょ、バレるわよ」

ともこ「大丈夫よ、触らなきゃバレないから」

いさみ「触らなきゃね」つん

ペコ

いさみ「……せめて何か詰めたほうが良くない?」

ともこ「……そうする」


○トルマンレストラン

司会「それでは開始します、まず男性陣は五分ごとにこちらから順に席の方を移動して下さい。 五分で自己紹介などをお願いします、お手元にメモもございますのでメモをとっていただきても結構です。 では最初の五分です、お願いします」

ハル「えっとあの、僕はハルです、喫茶店をやってます」

トーゴ「俺はトーゴだ、警備兵だ」

ホビット女「アタシはホビット、見ての通りホビット族よ」

ドワーフ女「わたしはドワーフ」

ホビット女「ねぇねぇ、エルフ君はホビット族? それにしては耳が長いけど」

ハル「あの、僕はエルフ族と人間のハーフで、その」オタオタ

ホビット女「ほんとー!? ハーフエルフなんて初めてだわ。 いまいくつなの」

ハル「えっと、61歳です」

ホビット女「やだ、全然見えないー、おじいちゃんと変わらないじゃないー、すごいー」

トーゴ「……(テンション高いな)」

ドワーフ女「トーゴさんとハルさんはどういう関係なの?」

トーゴ「あぁ、俺たちは幼馴染で長い付き合いだ」

ホビット女「ええ!? トーゴさんも60くらいなの!?」

トーゴ「違う違う、こいつが30で俺が6つの頃からの付き合いだよ。 信じられるか今でも小さいがもっと小さかったんだぜ」

ハル「ちょっとそんなの言わないでよ恥ずかしい」



受付「女性お二人様遅れての参加です、お願いしまーす」

司会「はい、お待ちしておりました、こちらの席にどうぞ、次の移動までにこちらのエントリーシートを書けるだけ書いておいてくださいね」

いさみ「ちょっと、なにこれ、ねぇ」

ともこ「ほほほ、やっぱり婚活パーティよね、まったくあの親父は」

いさみ「婚活って、それお見合いってことじゃない!?」

ともこ「そこまでは行かないわよ、まぁ合コンくらいのものね」

いさみ「それでも大問題よッ!」


◯いさみ達の席

司会「そろそろ時間になりますのでこちらの席でお待ちください」

いさみ「どうも」


クスシ「ふふふ、遅れてくるなんて若いからって油断してるわ。 相手にならないわね」

シスター「ちょっとクスシちゃん、聞こえるって」

隣の席のひそひそ話が聞こえる。


いさみ「あ……(クスシと教会のシスターさん、きてたのね)」

ともこ「ね、ほらバレないでしょ」

いさみ「意外とわからないものなのね」

ともこ「それにしてもクスシさんはともかくシスターさんも来てるんなんて」

いさみ「多分、無理やり付き合わされたんでしょ」



司会「はい移動してくださーい」


ガタガタ


ハル「よいしょ、初めまして僕はハルです」

トーゴ「俺はトーゴだ君達は?」

女性客A「あたしはAよ、この子と仕事しながら旅してるの」

ケンタウロス女「わたしはケンタウロス、みんなはケンタと呼ぶ。 おかしいかな?」ぷるん

トーゴ「おぅ……(巨乳だ)」

ハル「そう? 変わってるけど素敵なあだ名じゃない? どうしてそう呼ばれるの」

女性客A「この子ね、こう見えても昔は随分やんちゃで男勝りだったのそれでねー」

ケンタウロス女「やめろ、恥ずかしい」ぷるんぷるん

ハル「えー聞きたい聞きたい」

トーゴ「……(ハルすごいな、アレを前にして平常とは)」


◯ いさみ達の席

ともこ「初めましてあたしはともこでこっちはいさみ」

牛頭「初めまして私はミノ。 見たままの牛の獣人だ。 で、こっちが……」

馬頭「俺はケンだケンタウロス族で一番のハンサムさ」

ともこ「ハンサムって、それでケンタウロス族とか。 思ってたのと違うー」

ケン(馬頭)「はっはっはっ、はっきり言ってくれるねネーチャン。でも安心してくれ下もちゃんと馬並みだぜ」

ともこ「やーだ下ネター」


「アハハ」「ガハハハ」


ミノ(牛頭)「……すまないいつもこんな調子なんだ」

いさみ「大丈夫、私もともこで慣れてるから」


◯クスシ達の席

ハル「あ、クスシ」

クスシ「ええ!? ハルとトーゴぉ!?」

トーゴ「お前来てたのか、シスターさんも」

シスター「あの、私はクスシちゃんにどうしてもって言われて」

トーゴ「だろうなあ、クスシ迷惑かけるなよ」

クスシ「なによ! トーゴだってハルをダシにして参加してるじゃない」

トーゴ「いや、俺はハルに頼まれてだなぁ……」

クスシ「うそつくな、だいたいアンタは……」


「ギャーギャー」「ワーワー」


ハル「またはじまっちゃった、どうして二人はいつもこうなるのかな」

シスター「あら、ケンカするほど仲が良いっていうじゃないですか。 まぁ原因はどっちもどっちなんですけどね」

ハル「そうなの?」

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