第4話 燃えろサマーキャンプ 3
○古びた教会前
地元の兵隊が駆け付け救出作業にあたっている。
兵士「ケガしたものは教会の中へ! 誰か治療の出来るものは」
ドドドド
兵士「なんだ!?」
トーゴとハルが馬にのって到着した。
トーゴ「着いたぞ、大丈夫かハル?」
ハル「うぅ、お尻が痛いよ」
トーゴ「……誤解を招きそうな発言だから人前でいうなよ」
兵士「あなた達は?」
トーゴ「俺は七区警備兵分隊長のトーゴだ、それと息子が事故に巻き込まれたときいた。 ここの隊長は居るか?」
兵士「トーゴ…… あのトーゴ様ッ!? どうぞこちらへ」
○
トーゴ「久しぶりだな、隊長」
隊長「な!?……近衛兵長殿!!」
トーゴ「……随分と昔の事だ。 それより俺の息子もここの生徒でな、何か手伝えるか?」
隊長「なんとご子息が…… 捜索を急いでおりますが、実は 幽霊が出るとかで部下が怯えてしまいまして」
ハル「ゆ、幽霊!!??」
トーゴ「はぁ? なにを馬鹿な」
隊長「……ここは砦跡で昔からいわくつきなのです。捜索に行ったものが戻ってこないのも祟りだといって皆怯えてしまいました」
トーゴ「仕方ないな俺が行く、現場は?」
隊長「墓地です」
ハル「なんでまたそんなところで」
隊長「なんでも肝試しの途中だったそうで、残っていた地下壕が崩落して生徒の半数が行方不明になっております」
トーゴ「とりあえず準備をしよう、ハル?」
ハル「う、う……うん(墓地……地下……お化け……)」ブルブル
トーゴ「そういえばお前はそういうのがダメだったな。 ……わかった、お前は待ってろ」
ガチャガチャ
トーゴは用意を始めた
ハル「あ……」
ハルは墓地の方を眺める。
暗闇からは邪悪な気配が漂ってくる……
ハル(うぅ……気のせいじゃない。 なにかすごくよくないものが確かに居る、でも……ユウもあそこに……)
トーゴの準備が完了した。
トーゴ「よし案内してくれ」
ハル「待って、僕も行くよ!」
トーゴ「……そりゃ助かるが? ここの救護班の方がお前にあってるぞ? な?」
ハル「ぼ、ぼくだってパパなんだ! ユウをッ……探すんだ!」ブルブル
トーゴ「ふむ…… わかった」
隊長「あの、こんな子供を連れていくのですか? 危険です」
トーゴ「よく見ろ、こいつはハーフエルフなんだ。これでも俺より年上だぞ」
隊長「ええ? ですが……」
ハル「僕は魔法もできますし、耳もよく聞こえます。夜目もきくんです、だから……」
トーゴ「捜索にはうってつけだろう? 俺が保証する」
隊長「そこまでいうのならお願いします。 あちらから地下壕へ入れます」
○墓地・地下壕
ユウ「つまり、シスターは戦争中にこの砦で敵味方分け隔てなく看護していて、看護していた敵の騎士と知り合って恋人になったけど。戦闘の最中二人とも死んだと」
ダン(シスター)「やーん、簡潔にまとめられましたわ」クネクネ
ユウ「話が長いのよ、それに気持ち悪い。 ダンの体なんだから自重して」
ダン(シスター)「ぷー」
ユウ「可愛くないからキモいから」
ユウ「それで、今回のコレがその騎士のせいだっていうの?」
ダン(シスター)「そうです、あの方は私が死んだ事を知らずに戦い続けて亡くなりました。 そのせいか悪霊になってしまったのでは…… 私はあの方をお救いしたいのです」
ユウ「ふぅん、迷惑な話ね」
ダン(シスター)「とりあえず騎士様に会わせてください、案内できますから、多分」
ユウ「多分て…… わかったわよ。もう」
ダン(シスター)「ではこちらへ」
ユウ(とっとと済ませてパパの元へ帰らなくちゃ)
○墓地・地下壕の広間
男子生徒D「うおー、どこだここー」
幽霊兵士「ウケケケケケ」
男子生徒C「うわー幽霊だー! あっち行けー」
生徒達が幽霊兵士に追い回されている。
ショーコ?「部下たちよ魂だけになっても砦を守るとは大したものだ、思い知るがいい我々は死してもここを守るのだ」
女子生徒2「ショーコ、あんた何やってるの? その剣とか悪趣味なマントとか……あとそのカラス何? ペット?」
ショーコがあらわれた、しかし悪霊騎士に憑りつかれている。
ショーコ(騎士)「これは我が団の正装だ。 それを知らぬとは貴様敵国のモノか! モノども捕まえろ」
幽霊兵士が女子生徒2に襲い掛かる。
女子生徒2「ちょっとどうしたのショーコ? ショーコ!」
○墓地・教会から続く地下壕
幽霊兵士が現れた。
ハル「うわぁああ!?」
兵士「でたーーー!!」
トーゴ「おりゃ」
幽霊兵士「ハフン」
トーゴの攻撃!幽霊兵士は掻き消えた。
トーゴ「幽霊なのに斬れるんだな。 大丈夫か?」
ハル「だ、大丈夫だって。 それよりあっちから声がするよ」
隊長「え、なにも聞こえませんが」
トーゴ「なに、行けばわかる」
トーゴたちが地下壕を進むと人影があらわれた。
隊長「あ、本当に居た。 すごく耳がいいのですね」
トーゴ「長いのは伊達じゃないってことだ。 おーい、お前たち無事か」
ミイラ男があらわれた。
フランケン男があらわれた。
傘女があらわれた。
ハル「ッーー!!」
ハルはおののいている。
トーゴ「落ち着け、肝試しの仮装だよ」
隊長「大丈夫か君たち、ケガはないか?」
「「シャーーッ」」
生徒たちが襲ってきた
隊長「なに!? 落ち着けやめろっ」
トーゴ「お前たちどうした!?」
ハル「ひぃい! ”浄光”」パァア
幽霊「アーレー」「オレ、キエルノカ……」「シュワー」バタバタバタ
ハルは魔法を唱えた生徒達の憑依が解けた、三人は気を失っている。
隊長「た、助かった。 幽霊にとりついていたとは……」
トーゴ「それで捜索に行ったものが戻って来なかったんだな。 しかしその魔法、本当に効果あるんだな、おまじないとか言われてるのに」
ハル「本当だね、覚えておいて良かった~」
トーゴ「隊長、この子らを任せていいか?」
隊長「了解です、この子らを保護しましたら応援をよこします」
トーゴ「よし、先にいくぞ。 どっちに行けばいい?」
ハルは感覚を研ぎ澄ませる。
ハル「……あっち、すごく嫌な気配がする」
トーゴ「そっちでいいのか?」
ハル「……ユウは一人だけ逃げることなんてしないから、きっとそこだよ」
トーゴ「そうか、バカ息子も多分一緒だな」
ハル「うん、迎えに行かなくちゃ」
○墓地・地下壕の広間
ユウ「ショーコ? みんなこんなとこにいたの」
ユウはショーコ達を見つけた。
ショーコ(騎士)「新手の敵兵かー! モノども捕まえろ」
ダン(シスター)「気をつけてなんか変です」
「「うばシャー」」
生徒達が襲いかかってきた。
ユウ「なにすんのよ」
ユウが生徒達を蹴り飛ばす、幽霊兵士がユウに憑りつこうとした!
バシン!
しかし弾かれてしまった。
ショーコ(騎士)「おう、なんという奴だ」
ダンがショーコの前に進みでる
ダン(シスター)「騎士様! 騎士様ですねおやめください」
ショーコ(騎士)「……誰だ貴様」
ダン(シスター)「シスターです」
ショーコ(騎士)「…………お前のようなゴリラマッチョなシスターがいるかぁ!!」
ダン(シスター)「これはその~、ちょっと色々ありまして」
ユウ「あんただってショーコの体を利用してるじゃない、男として恥ずかしくないの!」ショーコ(騎士)「ぐぅ!? それはその、無理やりというか、成り行きというか、気が付いたら憑りつかされていたというか。 ……とにかく、邪魔をするな」
幽霊に憑りつかれた生徒と兵士たちがあらわれユウ達をとり囲んだ。
ダン(シスター)「あららら、どうしましょう」
ユウ「貴方、何か魔法つかえないの? 浄化とか退魔とか」
ダン(シスター)「実は……この体になってからさっぱり使えません、このひと魔力ゼロですね」
ユウ「予想以上に役にたたなーい」
「”浄光”」パァアアア
「オラハシンジマッタダー」「テンゴクヨイトコイチドハオイデー」「シュワー」どさどさどさ
生徒達の憑依がとけた。
ショーコ(騎士)「なんだ!?」
ハル「ユウー」
ハルとトーゴがあらわれた。
ユウ「パパ!?」
トーゴ「無事かお前達」
ユウ「えぇ、おかげで。 パパも大丈夫?」
ハル「よ、よかった無事で、本当に本当に」ウルウル
ユウ「大丈夫だから、ゴメンね心配かけて」
ハル「よかった、よかったよ~」ぐすぐす
ダン(シスター)「麗しい姉弟愛ですわね、感動ですわ」ウルウル
トーゴ「ちょっと違うから。 って……ダン?」
ユウ「今は違うの。 とにかく、アンタのせいでパパに心配かけちゃったじゃないの! どうしてくれるのかしら」ゴゴゴ
ユウがショーコを睨み付ける。
ショーコ(騎士)「な!? そ、それがどうした」
トーゴ(あーぁ、怒らしたな)
ショーコ(騎士)「もういい目障りだ”拡散閃熱”」ゴォオオオ
ショーコが魔法を放った。
ユウ「な、魔法!?」
ハル「”風防波”」ヒュルルル
風の防壁が熱線を防ぐ。
ハル「ショーコちゃんを返せ! ”浄光”」パァアア
ショーコ(騎士)「うお、まぶし。 しかしその程度では効かん!」
ハル「そんな」
ショーコ(騎士)「生き埋めにしてくれる”爆裂”」ドドォン
魔法が天井に炸裂し天井が崩れてきた。
ドスンドスン
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