第4話 燃えろサマーキャンプ 1

○ハルの喫茶店

カランカラン

ハル「クスシ、いらっしゃい」

クスシ「暑くなってきたわねー、さっぱりしたもの食べたいわ。 あら、ユウは? もう夏休みでしょ」

ハル「ユウは林間学校に行ってるよ」


○山道

ショーコ「ああ~~~、もう歩けない」

ユウ「ちょっと、そのセリフ7回目」

男子生徒B「大丈夫?」

女子生徒1「がんばって」

女子生徒2「もう、アタシ達先行ってるわよ」

ユウ「私がついてるから先にいってて」

男子生徒C「僕たちも残ろうか?」

ユウ「それよりも、先にいって救護班がいたら呼んできてくれない? その方が確実だわ」

男子生徒D「よっしゃ、ほんならわしが先に走ってよんできたるわ」

タタタ

ショーコ「なんでこんな山道を登らないと行けないのよ」

ユウ「しかたないじゃない、そういう行事なんだから」

ショーコ「あーあ、どこからか白馬にのったイケメンが助けに来てくれないからしら」

ユウ「そんな都合よく……」

ダン「どうした、ユウ。 具合が悪いのか」

ダンが馬にのってあらわれた。

ショーコ「キターーーーーー――ッ!!」


ユウ「なんでアンタが居るのよ、それになんで馬に乗ってるの?」

ダン「騎士科は林間学校では騎乗して救護に当たることになっているんだ、これも訓練だ」

ショーコ「そうなんですね、助かりました。 アタクシはショーコといいます」ベッタリ

ショーコはダンの背中に張り付いている。

ダン「えっと、どうも……ダンといいます」

ユウ「まぁ、実際来てくれて助かったわ」

ダン「そうか、ユウは疲れていないのか? お前も馬に乗ればいいのに、俺が歩くから」

ショーコ(ユウ、断ってぷりーず)

ショーコはユウに念を送った。

ユウ「……(そんな顔しなくても) いえ、私はいいわ、それよりショーコが疲れてるから落とさないでね」

ダン「あぁ」

ユウ「後で何かおごりなさいよ」ボソボソ

ショーコ「承知しました、ユウ様」ボソ


○古びた教会前

女子生徒1「あ、きたわ」

女子生徒2「意外と早かったわね」

ユウ「えぇ、救護班がすぐ来たから」

ダン「ショーコさん、着きました。 もう大丈夫ですか?」

ショーコ「ハイ、ダイジョウブデス」

ユウ「ありがとね、アンタも自分の班に戻りなさい」

ダン「おう」

パカパカ

ダンは去って行った。


女子生徒2「ちょっと、今の騎士科のダン君よね。 どういうこと」

ユウ「あいつ、救護班だって」

女子生徒2「そういうことじゃなくて。 なに、ユウの知り合いだったの?」

ショーコ「幼馴染なんですって」

女子生徒2「えぇ、ダン君と! ズルいわよ、それ」

ユウ「ただの腐れ縁よ。 親同士が仲良かったから、それもあってね」

女子生徒2「それであのダン君を『アンタ』呼ばわり。 なんてこと」

ショーコ「大丈夫よ、最近の幼馴染は『負けフラグ』だから!」

ユウ「何の話?」


○夕方 古びた教会の大食堂


食後のユウ達の班に委員長がやってきた。

委員長「この班はリーダーは誰 このくじ引いて下さい」

女子生徒2「何のくじ」

委員長「なにって、この後の肝試しの順番よ」

ユウ「へぇ、そんなのあるんだ」

男子生徒B「ユウ、旅のしおり読んでないの? この後、裏の墓地でやるんだよ」

ショーコ「毎年毎年、幽霊をみたって目撃談が絶えないいわくつきの場所よ」

男子生徒C「そうだよ、ここは戦争の時は砦で多くの犠牲が出たから祟りにならないように教会を建てたんだって」

男子生徒B「ちょっと、怖いこと言わないでよ」

男子生徒D「なんやお前。 ユーレイなんぞ怖いのか?」

男子生徒B「いや、だって、幽霊でしょ! もしいたらどうするの?」

女子生徒2「バカじゃない、そんなモノいるわけないでしょ」

ショーコ「ところで、委員長。 ダン君の班は何番目なの? 知ってるんでしょ」

委員長「え」

女子生徒2「そうよ、教えなさいよ。 ショーコ達でしょう」

委員長「ちょっと、その」

ショーコ「……ただとはいわへんで、ナンボいるねん」

ユウ「ショーコ、女子にあるまじき顔よ……」

女子生徒2「せめて、アタシ達の前か後かだけでもいいから教えなさいよ」

委員長「離れて離れて…… もう、ダン君はどっちでもないって。 騎士科の人はみんなお化け役だから」


○夜・墓地のどこか


「ウガァアアアア」「ウワァ キャーー」


???(……うるさいな)

何処からかッ響く若者の騒ぎ声にそれは反応した。


「ウボァ」「ヒャー」「ウワハハハ」「コッチミンナー」

???(人間か? 大勢いるが、なんだ?)

「ゲロンチョリー」「イヤーー」

???(人間同士で脅かしあっているのか? 珍妙な だが、この『恐怖』で目覚めれたか)

「アイーン」「キャー」「ナンダチミハー」

???(ヌルイ! 真の、真の『恐怖』を魅せてくれるわ!!」


○墓地・肝試し出発地点

委員長「はい、最後の班そろそろ用意して」

男子生徒D「まさか最後とはな」

女子生徒2「なによ、アタシのせいっていうの」

男子生徒B「まぁまぁ、仕方ないじゃない」

委員長「墓場の奥に石碑にろうそくがあるからそれを持って帰ってきてね」

ユウ「迷ったらどうするの?」

委員長「その時はお化けの人に聞いて。 そこらに居るから」

ショーコ「お化けの人、そこにダン君もいるのね」

女子生徒2「そうだったわね。 委員長、どこに配置されてるかは?」

委員長「そこまでは知らないわ。 ほら前の班が出発したからあと2分」


女子生徒2「ダン君と会ったら……」ウットリ

ショーコ「ダン君を見つけたら……」ウットリ

ユウ(……キモ)


女子生徒2「しゃーんなろー!」

ショーコ「やったるでーー!!」

男子生徒D「二人ともスゴイやる気やな。 そんなに楽しみやったんか?」

ユウ「違うと思うわ」

男子生徒C「でも、ほんものの幽霊が見れるかもしれないんだよね、ワクワクしない?」

男子生徒B「言わないでよそれ」

女子生徒1「ほら、時間よ。 ライトは誰が持つの?」

ショーコ「もらったぁーー」

ショーコはライトを持って走りだした!

女子生徒2「アンタ、抜け駆けするつもりね。 そうはいかないわ」

女子生徒2も走りだした

男子生徒D「まてや、それ一個だけなんやぞ」 男子生徒C「まってよ」

DとCも走りだした。

ユウ「……」

男子生徒B「……」

女子生徒1「……”光明”」パアア

女子生徒1の魔法で辺りが照らされる。

ユウ「アレはほっといて歩いていきましょうか」

女子生徒1「そうね」

男子生徒B「いいのかな?」



ミイラ男「ウガァ」

男子生徒B「うわぁ」

フランケン男「フンガー」

男子生徒B「ひゃああ」

傘女「おどろけーーッ」

男子生徒B「あばば」

女子生徒1「もう、B君驚きすぎ」

男子生徒B「ははは、ごめんよ」

女子生徒1「それにしても、ユウさん遅いわね」

男子生徒B「そういえばさっきのお化けの人から告白されてたよね、OKしたのかな?」


ユウ「どいつもこいつもこんな時に告白とかなんなの、面倒くさいわ」タッタッタ

ミイラ男「あ、ユウさん! これ俺の気持ちです読んでください!」

ユウ「手紙とか…… 直にいいなさいよ。 ”火球”」ボッ

手紙が燃える

「ノォオオオオ」


フランケン男「フンガー、ユウさん聞いてくださーい」ドーン

フランケン男はユウを壁ドンした。

ユウ「知ってるこれ? 暴行罪になるかもしれないのよ。 ”放電”」バリバリ

フランケン男に電流が走る。

「ギャアアア」


ユウ「いい加減にしてよさっきから」

傘女「お姉さま~、わたしの気持ちを受け止めてくださーい!」

ユウ「……私はノーマルよ。 ”睡眠”」

「スヤァ……」

ユウ「はぁ~ホント面倒くさい」


○墓地・石碑前

ショーコ「おっしゃああ、折り返し点! ここまでダン君居ず」

女子生徒2「帰り道のどこかいうことね」

ショーコ「く……よくついてきたわね。 それにそのライトどっからもってきたのよ」

女子生徒2「途中で追い抜いた班に貸してもらったのよ。 これでもう遅れはないわよ」タタタ

ショーコ「むぅ、体力では2には勝てないわ。 かくなる上は……、その辺のお化けを締め上げて居所を聞き出すまでよ」ガサガサ

女子生徒2「その手があったか!」


○墓地・藪の中

男子生徒D「アカン、おいてかれた」

男子生徒C「そもそもこの道であってるの? 真っ暗だし迷ったんじゃ」

男子生徒D「あっち明るいで。 おーい、すんまへん」

男子生徒C「ちょっとまって、それって」

火の玉「」メラメラメラ

男子生徒D「なんやコレ。 火だけ浮いとるぞ、ようできとるな?」

男子生徒C「D、後ろ後ろ」ガタガタ

幽霊兵士があらわれた

男子生徒D「うおっ、ビビるやないか。 急に出てくるなや」

幽霊兵士「……」

男子生徒D「すごいな、コレ、頭ザクーーって。 特殊メイクか?」

男子生徒Dは幽霊兵士の頭を触ろうとした。

すかっ

しかしすり抜けてしまった!

男子生徒D「……」ぶんぶん

すかっ すかっ

幽霊兵士「……」

男子生徒C「本物だぁあア!」


○墓地・道中

「デタァアアアアア」「ギャアアアアアアア」「アカーーン」

ユウ(……盛り上がってるわね)

タッタッタ

ユウ(誰か来る……後ろから?」

首なし騎士があらわれた

首なし騎士「あ、ユウ。 こんなところでどうした?」

ユウ「……ダン。 なによその黒頭巾、首なしお化け?」

首なし騎士はダンだった。

ダン「まぁそういう感じだ。 あ、まて…… ウガアアアア!!」

ユウ「いまさら驚くか、バカ」

ダン「むぅ、流石にユウには通じないか」

ユウ「それ以前の問題だから。 でもアンタどうしたのこんなところで」

ダン「いや、おどかしていたら。 驚いて足を挫いてしまったのがいてな、先生の所へ運んでいたんだ」

ユウ「ふぅん、アレがそこまで迫力あるとは思えないけど」

ダン「仕方ないじゃないか『歩けない』っていうんだから。 それで配置に戻るところだったんだ」

ユウ「アタシ達で最後なんだから、そのまま居ればよかったのに」

ダン「そうはいかん、俺の持ち場だからな」

ユウ「真面目ねぇ、ホント」


○墓地・石碑前

ユウ「ここが、石碑ね。 もう、みんな先に行ったわね」

ダン「なぁ、ユウ。 聞いてもいいか?」

ユウ「なに?」

ゴゴゴ

ダン「む!?」

ユウ「じ、地震!?」

ガラガラ

足元が崩れ落ちユウとダンは転落した。

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