第1話 これはエルフですか? はい私のパパです。
◯夕刻 嵐の山中
ピカッガラガラガラ!
土砂降りの中フードを被った少年が家路を急ぐ。
ハル(止みそうにないなぁ、早く帰らないと)
……ウェエエン……うぇえええん……
ハル(子供? こんな嵐に?)
声のする方に行くと怪我をした母親と幼子が泣いているのを見つけた
赤子「うぇええん」
母親「……う……うぅ……」
ハル「大丈夫ですか、いま治癒を!」
ハルは治癒魔法を唱えた。
ハル「……くぅ(効き目が悪い、傷が深すぎる)」
母親「わたしは……いいから、この子を……ユウを……たのみま……」
母親は力尽きた。
ハル「お母さん、お母さん!? そんな……」
赤子「うええええええん」
ハル「!!ッ そうだ、この子がまだ居るんだ」
ハルはユウを抱き上げて走りだした。
○16年後 下校時間、とある街角
少女が二人、話しながら歩いている。
ユウ「やっと連休ね」
ショーコ「ユウー、ちょっと相談あるんだけど。 今日泊めてくれない?」
ユウ「ウチに? うーん、いいけどウチは飲食店だから騒がしいわよ、それでいいなら」
ショーコ「やった、お礼にこのジュースをあげよう」
ユウ「飲みかけじゃない、いらない。 でもなんで急に?」
ショーコ「ちょっと親父とケンカしてさ、今日は家に帰りたくないの」
ユウ「ケンカ? 原因は?」
ショーコ「今朝、久々に一緒に飯食べてたらさぁ、目玉焼きにマヨかけるのよ。 おかしいでしょッありえないっしょッ!! 」
ユウ(うわー、くだらない)
ショーコ「目玉焼きにはソースでしょ。 ったく目玉焼きをボートクしてるわ!」
ユウ「それだけ?」
ショーコ「いや、まぁ。 それ以外にもイロイロあんのよ、まったくとっとと子離れして欲しいわ。 ユウだって親父さんとケンカぐらいするでしょ?」
ユウ「んー、ケンカは随分してないかな。 ちょっと悩みはあるけど」
ショーコ「ほうほう、天下のユウ様にもお悩みがりますか、どんなどんな?」
ユウ「最近、パパが一緒に寝てくれないのよね」
ショーコ「」ブッホォ
ユウ「汚いわね」
ショーコ「ケホケホ、ゴメンよく聞こえなかったんだけど」
ユウ「だから狭いからって、別の部屋で寝るようになったのよねー、反抗期かな?」
ショーコ「まてまてイロイロおかしい。 確認するけど親父さんと一緒に寝てんの」
ユウ「そうよ」
ショーコ「そうよって、あんたねぇいくつだっけ」
ユウ「同い年じゃない。 16よ、どうしたの」
ショーコ「よくきいて、ユウ。 フツーはもっと、早くに、別々になるから」
ユウ「なんで?」
ショーコ「なんでって、親父でしょ、キモチ悪いじゃない、臭いし」
ユウ「パパはキモチ悪くないし、いい匂いよ!」
ショーコ「ちょっ。 声ッデカッ!?」
ユウ「だって、パパをキモチ悪いって」
ショーコ「ウチのはそうなのよ。 ユウはちょっとファザ…ゲフンゲフン、特別なのね。以外だわー」
ユウ「何よ、私のパパは違うの、見ればわかるわ」
ショーコ「そうなの、ウーン(ユウがファザコンだったとは。 クラスの男子が知ったら死人が出るわね)」
ユウ「(なんか小難しい顔してるわね)……ここよついたわ」
ショーコ「このお店? 宿屋みたいだけど」
ユウ「元は宿屋だからね、改装して喫茶店にしてるの。 さ、入って」
カランカラン
○ハルの喫茶店
ハル「あ、すいません今日はもう店仕舞いなんです」
ユウ「え、もう閉めるの?」
ハル「あ、お帰り。そっちの子は友だ」
ショーコ「うわぁあ、かぁわいい! ホビット!? 初めて見たー、耳ながーい、さわっていい? さわっていいよね!」サワサワサワサワ
ハル「え、ちょっと、くすぐったいです」
ユウ「ちょっと勝手に触らないでっ! それにホビットじゃなくてエルフよ」
ショーコ「そうなんだ、ウチの弟と交換したい~。 知り合い?」
ユウ「知り合いって、……私のパパよ」
ショーコ「え?」
ユウ「このエルフは私のパパよ」
ショーコ「ええええええええええええええええええええええええええええ!!??」
○喫茶店・テーブル席
ユウ「そんなに驚かなくても」
ショーコ「聞いてもいい? ユウって実はエルフなの、ハーフ?」
ユウ「ハーフはパパ、私は人間よ。 昔、森で私を拾ったんだって」
ショーコ「そうだったの、なんかゴメン」
ユウ「いいのよ、全然覚えてないし。 パパがいるし」
ショーコ「じゃあ、ハルさんって本当は何歳なの、子供にしか見えないけど」
ハル「僕はこれでも60だよ」
ショーコ「ろ……ろくじゅう……、ゴウホウショ」
ユウ「ゴ…… なに?」
ショーコ「なんでもないなんでもない」
ハル「はいお茶、これ砂糖ね。 夕飯、パスタでいい?」
ユウ「えぇ、ショーコもそれで大丈夫よね?」
ショーコ「もちろん」
ユウ「そういえばクスシは、今日は来てないの?」
ハル「今日は何かの集まりなんだって、すごいオシャレして出て行ったよ」
ユウ「またか、よく行くわね」
ハル「じゃあ待っててすぐ作るから」カチャカチャ
ショーコ「クスシ?」
ユウ「あぁ、隣の薬屋よ。 しょっちゅう食べに来るし、祖母の弟子だから半分身内みたいなものよ」
ショーコ「イケメン?」
ユウ「残念、女よ。 今日もたぶん合コンでしょ、30越えてから必死だから」
ショーコ「そういえば、ハルさん結婚は?」
ユウ「してるように見える?」
ショーコ「全然見えません。 つか、カワイイ」
ユウ「でしょう」
ショーコ「ホント持って帰って弟にしたい、料理もできるし……うん、そうしよう。 ユウ、あたしのこと『お姉さん』ってよんでいいのよん」
ユウ「……」スッ
ユウのアイアンクロー、ショーコの顔が締め上げられる!
ショーコ「ゴメンゴメン、マジゴメン」
○
テーブルに食事が並べられた
ショーコ「おいしぃ」
ハル「ありがとう」
ショーコ「ホントおいしい。 こんな町外れじゃなくて、もっといい場所で出したら流行るわよ。 そうだ、良かったらいい場所、貸すわよ、安くするよう親父にいってもいいし」
ハル「え? え、えっと」
ユウ「ショーコは、商家の子なのよ」
ハル「そうなんだ」
ショーコ「そういや、もうお店閉めてたけど夜はやってないの」
ハル「うーん、昨日まではやってたんだけどね、ここのところ配達が来てなくてとうとう食材が足りなくなっちゃって」
ショーコ「あ、もしかして山賊? 最近、変なのが出るって噂あるよね」
ハル「かもしれない、いつも届けてもらってるんだけど三日も遅れてるし。心配」
ユウ「でも、どうするの? このままじゃお茶しか出せないじゃない。 また薬草売るの?」
ハル「許可がないからダメだよ」 ユウ「でも……」
\アーダコーダ/
ショーコ「お困りのようですね、だったらあたしにいい考えがある」
○―翌日― 昼過ぎ、山道を行く荷馬車
ガラガラガラガラ
ショーコ「いやー、大収穫大収穫」
農夫「お嬢ちゃんたちが来てくれて助かったよ、人手が足りてなかったから、そこのカタチ悪いのは好きにしていいから」
ハル「ありがとう、これで食材が確保できたよ。ありがとう、ショーコちゃん」
ショーコ「いえいえ、あたしも人集め頼まれてたし。 連休の軍資金もできたわ」
ユウ「早くおわってよかったわ、夕方には帰れそう」
ハル「でもユウ達まで来なくてもよかったんじゃ」
ユウ「何言ってるの、山賊が出るって噂でしょ。 この仕事は護衛も兼ねてるのよ」
ユウは腰の剣を確認する。
ハル「でも」
ショーコ「あーら、エルフさんはユウの実力知らないの? 魔法も剣術も学校で1,2を争う実力者ですよ、それでモテモテだし」
ハル「へぇ、モテモテなの?」
ショーコ「ホントホント男女問わずモテモテですよ、告白されまくりでフリまくり。 ついたあだ名が『百人切り』」
ユウ「ちょっと、ショーコ!」
ハル「百人切り!? そうなの?」
ユウ「知らないわよ、そんなの。 ロクなのいないし」」
ハル「うーん、年頃なんだし反対しないよ僕は。 ダン君とかは? よくウチに来るでしょ、あの子はいい子と思うけど」
ユウ「あいつはただの腐れ縁よ! もぅ」
ハル「そうなの?」
ショーコ「ダン君ってあのダン・トーゴ? 有望株じゃない、騎士志望のイケメンじゃない! 知り合いなの?」
ユウ「あれが好み? 幼馴染だけどメンドクサイ奴よ」
ショーコ「なーにその言い方、タダナラヌ関係なの。 何したの? されたの!? 教えて、教えろ!教えろ下さいっ!!」グイグイ
ユウ「ちょっと、とーーもーー! 離れて!!」
ハル「ん」ピク!
ハルが遠くの物音を聞きつけ、長い耳を動かす。
ユウ「パパ?」
ハル「うん」ピクピク
ショーコ(あ、うさぎみたいでカワイイ)
ハル「後ろから何か来てるよ、たくさん」
ユウ「山賊?」
ショーコ「え、ウソ、ホント!?」
ハル「……わからない、動物じゃないけど人でもない。 なんだろう、イヤな感じ」
ショーコ「オジサンッ! 後ろから山賊っぽいの来てるって」
農夫「本当かいそりゃ!? じゃあ急ぐべ、この峠を越えたら町だから」
ガラガラガラ
ハル「だめだ、振り切れないよ。見えるよ!」
後ろから人型のなにかがあらわれた
ショーコ「あ、山賊……じゃない!? なにあれ、猿? キモ!!」
猿?「セコヨシメーダシメー」「レカカモドウロヤー」「ギャーギャー」
ユウ「ウソ、あれって本当にいたの。 パパ見たことある?」
ハル「無いけど、そうとしか考えられない、ゴブリンだ!」
ゴブリンの集団が現れた。
ゴブリン達「ロセワクシメー! ギャーギャー!!」
ショーコ「ゴブリンなんて、おとぎ話でしょ!?」
ユウ「さてね、実際に見えるし追いつかれるわ」
ハル「食い止めるから馬車はそのまま行ってください。ユウ」
ユウ「はーい」
ハルとユウは馬車から飛び降りた。
ユウ「ショーコはそのまま乗ってて、あなた戦技Cだったでしょ」
ショーコ「おっしゃるとーりです、おじさん早く逃げましょ」
農夫「やってるよ前もつっかえてるんだ、ホレ、頑張れ」
馬「ひひーん」
ショーコ(エルフさんって戦えるのかな)
○山道・坂の途中
ユウ「"閃熱"」ヒュゴオオオ!!
熱線がゴブリン達に襲い掛かる
ゴブA「ギャー、イツアー! イツアー!」
ゴブB「ウャチケヤダハオー!」
ゴブC「ウャチッナニミシー、ヤイーー!」
ハル「あっちいって! "風弾"」ゴウッ
強風がゴブリン達を吹き飛ばす
ゴブD「ルチオー、ヤヒー!」
ゴブE・F・G「ケスタオーーー!!」
ゴブリンHは吹き飛ばされなかった。
ゴブH「ワイナモデヘドイテノコ、エラク!!」
ユウ「パパ、危ない」シャキン
ゴブH「ンネム」バタン
ハル「ありがと、ユウ」
ユウ「火でも逃げないけど、そこまで強くわなね」
ハル「でも、数が多いよ」
ゾロゾロゾロゾロ
ゴブリンは山から次々と現れる。
ユウ「荷馬車が峠を越すまでの辛抱ね。」
○山道、坂の上
ショーコ「頑張れ頑張れ!」
農夫「いい子だもう一息だ」
ボギンッ
農夫・ショーコ「「え」」
ガタン! ゴロゴロゴロゴロゴロ
荷馬車の曳き竿が折れ、荷台が転げ落ちる
農夫「ぬわーーー」 馬「ひひーん」
農夫は投げ出された、馬は逃げ出した。
ショーコ「うそぉおおおおおおおおおっ、いやぁああああああああああああああああああああああああ!!」
ショーコは荷台に取り残された。
○坂の途中
ゴロゴロゴロ
ハル「うわっ!」
ユウ「キャ!?」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
ショーコ「たぁああすぅうううけぇぇえええてぇぇぇぇええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ」
ハル「ショーコちゃん!」
荷馬車はゴブリンの群れに突っ込んだ
ゴブD「ルネド」ドン
ゴブE「ブバケ」バキ
ショーコ「ウマシ」ゴン
荷馬車はゴブリンにぶつかって停止した、ショーコは気を失った。
ゴブF「ハッャヒー、ダシメーー」
ゴブG「ダリツマーダクカウュシイダー」
ゴブリン達は荷馬車を引っ張って逃げ出した。
ハル「あぁ、ゴブリンが荷馬車を」
農夫「お嬢さん、ううぅ」ヨロッ
ハル「オジサン大丈夫? じっとして、"治癒"」パアァ
農夫「助かっただ、でもお嬢さんが」
ユウ「輪達が残ってるわ。まだ追いかけれる」
ハル「ウン。 オジサンこのまま町までいって自警団を呼んできてください」
農夫「わ、わかった。でもお嬢さんは」
ハル「僕達が助けます」
○古びた砦跡・厨房
ショーコは縛られ、あたりでは複数のゴブリンが大鍋に水を注ぎ入れている。
ショーコ「汚いし臭いしボロッボロ、あいつらよくこんなところに住んでるわね」
ゴブ「ラシカオ、タシヤリイハズミニベナ」
ゴブリンキング「ルスニシダ、メコリウホヲンゲンニ」
ショーコ「ちょっ、何よアンタラ。さわんな、きゃあ」ザブン
ショーコは大鍋に投げ込まれた
ショーコ「ちょっ。つめたー、何すんのよこの、アホ!ボケ!カスッ、トーヘンボク!!」
ゴブキング「ケタヲヒシヨ、ヨケオテットラタキテデガクア」
ゴブ「サイアー」
ゴブキング「ルクテイバサヲタブ、ダルジントハウョキ」
ゴブ「チウョシンテッガ」
○砦跡・外
ハル「聴こえたよ、あの砦の奥に居る。 まだ無事だよ」
ユウ「わかったわ、早く行きましょ」
ハル「まって、先にコレを使おう」
○砦跡・厨房
ショーコ「ふー、ちょっといい湯加減だけど。 コレって鍋だよね、あたし具? 具材にされるの!? どーしょー」
ゴブ達「ギャハハッハハッハハ、ゴブッ」
ショーコ「なんだろ、ずいぶんうっさいわね。それに変な臭いも……フフッ、アハ、アッハァ!? アハハッハハハハハッ!?」
ショーコは笑気ガスを吸い込んだ。
〇
ゴブ「ギャハハ、ゲブッ」バタン
ユウ「これは楽ね。 パパ、ショーコをお願いね、あっちを片付けてくるわ」ズバ
ユウは笑い転げるゴブリンを次々と倒していく。
ハル「任せて。 ……こっちからショーコちゃんの声がするから」
エルフは梯子を登って大鍋を覗き込んだ。
ハル「ショーコちゃーん、大丈夫ー?」
ショーコ「エ、アハハハッハ、エルフさん。アッハハハッハハハ」
ハル「待ってて、今なにか降ろすから」キョロキョロ
○
ゴブキング「オオオオオオオオオオオオオオオオオオ、ヨウホウドタシウド、ガザワシノエマオ!」
ユウ「デカいのが出てきたわね、親玉ってとこかしらね」
ゴブリンキングはハンマーを振り上げた
ドゴン! ボゴン!! ガシャアアアアン
ユウ「なんて馬鹿力。でも、この程度なら当たらないわ」ズバッ
ユウの攻撃。 しかし、ゴブリンキングに傷を与えられない。
ユウ「硬ったいわね、流石に親玉といったことか。 これはどう、"火球"!」ボオォ
ゴブキング「ウヌ、ガメッガメ゙ーーーーーー」
ゴブリンキングの目を焼いた。 ゴブリンキングは滅茶苦茶に暴れだした。
ドカン! ガシャアアアン! ドンドンドン!!
ユウ「うわっ近寄れないわね」
○
ハル「古いけどこのロープでいいかな。ショーコちゃん、降ろすよー」
ショーコ「た、助かったぁ。もう、のぼせるところよ」ガシッ
ハル「ワライ薬も抜けたみたいだね、よかった」
ブチブチブチ、ブチン
ハル「え」 ショーコ「ちょ」
ロープは切れてしまった。
ハル「危ない」ガシッ
ショーコ「お……」
ボチャン
ショーコ「ですよねー、あつつ。 エルフさん大丈夫」
ハル「お湯!? アツッ! アツイアツイ!!」
○
\アツイアツイ/ \ムスメタスケテー/
ユウ「なっ、ショーコッ! 何でパパと一緒にはいってんのよ! パパは熱いの駄目なのよ!!」
ゴブキング「カコソッ!!」ブォン
ゴブリンキングの攻撃、しかし当たらなかった。
\ブクブク/ \ナントカシテー/
ユウ「すぐ片付けるわ、こっちよデカブツ」
ユウは大鍋で三角跳びをして跳び上がった。
ゴブキング「ナルケザフ!!」ブン
ゴブリンキングの攻撃は外れて大鍋に当たった。
ゴォオオン、バシャアアアア。
ショーコとハルは大鍋から放り出された
ショーコ「うわっぷ、出られた―」
ハル「」フニャー
ゴブキング「ダコド!」
ユウ「ここならっ!」ドスッ
ユウは剣をゴブリンキングの眉間に突きたてた
ゴブリンキング「ウオオオオオオオ」バタン
ユウ「パパ、大丈夫」
ショーコ「あたしの心配はないんかい」
ユウ「パパを熱い湯に引きずり込んでおいて何いうの」
ハル「……うぅ」
ユウ「よかった、気が付いた」
ハル「う、後ろ」
ゴブキング「ヨンラワオダマダダマ」
ショーコ「頭に刺さってるのにィーー!?」
ユウ「パパ、ショーコをお願い」 ハル「うん、わかった」
ユウが青白い光を帯びる。
バチン、バチバチ。
ショーコ「なにこれ、雷?」
ハル「下がって、"風盾"」
エルフとショーコは風の障壁に覆われた。
ユウ「これ、疲れるから嫌いなのよ」
ユウから発生した電撃が辺りを埋め尽くす。
バチバチバチバチバチッ
ショーコ「キャア」
ハル「大丈夫」バシンバシン
障壁は雷をはじいた。
ゴブキング「ハレコダンナ、グオッ」バチッ
ユウ「しかたないわよね、"電撃"!!」
雷撃は眉間に刺さった剣に引き寄せられる。
ゴブキング「ンータセガセ、キゲクョチンテウノ、オオオオオ」バリバリバリバリ
ゴブリンキングを倒した。
ユウ「あぁー、疲れ…た…」
ハル「ユウッ」
ショーコ「大丈夫っ?」
ユウは気を失った。
○後日 ハルの喫茶店
トルマン「今までスマンかった、困ったことがあったら何でもいってくれ」
カランカラン
商人トルマンはハルに礼を言って帰っていった。
ユウ「ショーコのパパさん。やーーっと、帰ったわね」
ハル「そういう事は言っちゃダメだよ」
ユウ「でもこれで、食材は問題なくなったわね」
ハル「もらいすぎじゃないかな、今後もこの価格でいいって言われたけど、いいのかな」
ショーコ「いいのよ、これくらい。 親父はちゃんと計算してやってるから」
ユウ「ショーコ、一緒に帰ったんじゃなかったの?」
ショーコ「うん、でも『命の恩人』さんに改めてお礼したくてねー。 ハルさん」
ハル「え、うん。 でもゴブリンを倒したのはユウだし、僕だけじゃないよ」
ショーコ「えぇ、でもあたしを鍋から助けようとしてくれたのはハルさんだしねー」
ハル「えっと、ちょっと」
ショーコ「もっと個人的なお礼を~」
バシコンッ
ショーコ「痛ぁ!」
ユウ「わたしには『個人的なお礼』は無いの?」
ショーコ「あるわよ、……その、恥ずかしいけど、『お母さん』って呼んでもいいのよん」
ユウ「……」ガッ
ユウのアイアンクロー。ショーコの頭が締め付けられる!
ショーコ「ギブッギブッギブッ!!」ギリギリギリギリ
ユウ「ショーコ、冗談は選ぶべきよ」パッ
ショーコ「つぅー、可憐な乙女にかける技じゃないわよ」
ユウ「誰が可憐よ、それにね……」
ユウはハルを抱きしめる。
ハル「ちょっと!?」
ユウ「ハルは私のパパだからね!」
ショーコ(これはからかいがいがあるわー)
ハル「ユウ…… あのちょっと熱いから放し……」
ユウ「何ニヤケてんのわかった?」
ショーコ「はいはい」
〇
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