傷、ナイーブな


羽は

触れれば汚れそうです

羽は

天使の落し物だと

思いますか?


天使は

飛べるから

私は

天使に

憧れています

ただ

水辺に天使はちかよれないのです


祈る神様は教会にいますが

そんな叶わない祈りは

ただ

悲しいだけなのです


棘のない薔薇のように

真実がみつからない人生を

眺めながら

生きていくしかない日々を

望む水夫の舟にはオールがなく

小さな心を間違えたのち

歌うように


悲劇は

消滅すればいいのよ


と、祈るのですよね。



せめて少しは不憫と思われるのなら

ただの悲しいだけの

祈りでもいいのです


ほんとうに祈る

たぐり寄せられない

薔薇色の未来を


人みな家路につく

茜の空に映すその優しい思い出の場所を


悲劇は

消滅すればいいのよ


と、祈るのですよね。


天使の声で

再生する世界を救おうとしても

まずは

私は

人から好かれなければならないのです


鉄の血の味がする

殴られ、切られた、口の中の傷を

むしょうに意識しながら、でも、です。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オレンジへ 弓月 翼 @011684

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ