第11話
…似てるって?僕は男さ冬椿…
六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)が近くだって。それが事実だとしても響子は不思議な子だ。この期に及んで彼女を妖とは思わない。しかし、私がこの出会いに抱く不思議と疑問を敏感に感じ取ったものか、軽く技ありを一つ取られてしまえば、逆に可愛と思わせる魔術に嵌った不思議もある。それに、すっかり忘れた筈の恋の匂いを幽かながらに感じてもいた……。
「津山さんとお話しできて良かった。私、早くに父を亡くしたものだから……。記憶の面影は微かにしかないけど、津山さんを見た瞬間お父さんを見た様な気がしたの。迷惑かな」
そう言い終わると響子は俯いて私の返事を待っているようだった。
「光栄だね。私にも響子ちゃんのような美人で聡明な娘がいれば鼻が高いよ」
私は少し恥ずかしい気がした。男性として気に入られたのかと、ちょっとは思っていたからだ。お父さんと言われて不承不承。いやいや、それはそれで嬉しいのも事実だった。
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