第4話
…朧なる小路照らす灯暮天冴ゆ…
七条通りに出て京都新聞の販売所を右手に見ると、左側の歩道の先に木立の植え込みが見えてくる。
左に曲がると門が一つあり潜ると寺域になるのだろうか、左側に龍谷大学の正門と本館があって、正面に西本願寺の大玄関門が重厚に佇んでいた。
総門の右隣には贅を凝らした唐門がある。唐破風の四脚門は小路に点いたばかりの朧な街灯に僅かに照らされると、まるで巨大な神輿が鎮座しているようで、彫金の青の濃淡が螺鈿の光彩を放つような美しさを暮天の冴えた空気の中に鈍く湛えていた。
私は引き付けられるようにカメラを取り出して、唐門を画面一杯に撮った。
その直後だった。変な言い方だが撮り終えた後に何時現れたものか、門の前に立つ人の気配に気が付いた。薄暗い中の影は若い女性で、ベージュのオーバーコートの上に水色のリュックを背負って、やはり唐門を眺めているようだった。
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