義妹のお願い


 やったやったやった!!!


 リンに会える、リンに逢える!!


 昨晩からウキウキ気分、夜寝れなくそのまま朝を迎え、そのまま学校に、そしてあっという間に帰宅途中、まだまだウキウキ気分


「さあ今晩もリンとラブラブネトゲデートだ!!」

 僕はスキップでも踏むように家に帰る。


 玄関で鍵を開け扉を開けた瞬間、僕のウキウキ気分は、一気に覚める……

 目の前に、ほぼ1年、挨拶所か目も録に合わせなかった義理の妹が正座をしていた。


 全く状況が分からない、そして僕の顔を見た途端深々とお辞儀、頭を床に擦り付ける。


 え?何?何なの?僕が戸惑っていると彼女は言った……


「お、おに、お兄ちゃん!!お願いがありまひゅ……」


「ありまひゅ?」


「あります」


「お兄ちゃん?」


「…………お兄、さ、ん、に、お、ね、が、い、が、あ、り、ま、す」


「言い直した!……えっと、とりあえず頭を上げて貰えませんか」


「いえ、このままで」


「いや、声が小さくて聞こえない……」


「ごめんなさい目が見れません……」

 少し大きめな声で妹は言う……


「へえ……」



 とりあえず話しは聞くからリビングに行こうと促す。


 妹は僕と目を合わさずに立ち上がるが、ずっと正座をしてたのかフラついてしまう。


 危ないと思い、手を差し伸べると……


「いやああああああああ!!!」


 僕の手を叩きそのまま、よろめき壁にぶつかる。


「いったああああ」

 僕が叩かれた手を擦り言うと


「ああああああ、ごめ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 再び土下座をする妹、なんだこいつ?


「いいから……とりあえずリビングに……」


「はい……」


 二人でリビングに入り僕は先に椅子に座る、妹は目を合わさずに、うつ向いたまま向かいに座る。


「…………」


「…………」


 黙ったまま、うつ向いている妹……なんで僕から喋るんだ?


「えっと、一体どういう風の吹き回し?」


「ひいっ!、あ!す、すみません、すみません」


「えっと、謝られても……話しが進まないのでとりあえずお願いってのは?」


「はい……えっとえっと、その前に、今までごめんなさい、私男の人が苦手で……」


「まあ、見れば分かるよ、ああ、それで最初から……」

 まあ仕方ない、そう言う事で心にもない事を言ってしまうんだろうな……


「はい……つい本音が出ちゃうんです……」


「……じゃあ僕は部屋に戻るね」


「ああああああ、違うんです、えっと、えっと、良い意味です、良い意味で本音が」


「僕に対してなよなよして女みたいってセリフの何処に良い意味があるのかな?」


「えっと、全部覚えてるんですね、本当に執念深い……ってあああああああ」


「何?何なの?、喧嘩売ってるの?」


「いえ、めっそうもありません、私の方が強そうなんて思ってません」


「じゃあ僕は本当にこれで……」


「ごめんなさいいいいいい、どうしても拒絶の言葉を言ってしまうんですうううう」


「めんどくさいな~~~」


「ううううすみません……でもお兄さんも私にメガネブスって………………最低……」


「売り言葉に買い言葉でしたすみません」


「謝れば良いってもんじゃ……」


「うん、そうだね、そうなんだけど、おまいう?って感じだよね、それに君は僕に頼みがあるんじゃなかったっけ?」


「そうでしたあああああ、申し訳ありませんでしたああああああ」


「……で、一体なんなの急に」


「わ、私どうしてもこ、この症状を治したいんですううう」


「まあ、治した方が良いよね確かに、でもなんで僕?」


「えっと、消去法?」


「他をあたって下さい」

 僕は立ち上がる


「ち、違うんですうううう、ごめんなさいいいいい」


「あのさ、謝れば何とかなるとか思ってない?」


「思ってません!、チョロいなんて思ってません、あ……」


「……本当に喧嘩売ってるわけじゃないんだよね?」


「はい、ごめんなさい」


「うーーん、まあいいよ、で?僕は何をすればいいんだ?」


「私、どうしても夏休みまでに、この男性恐怖症を治したいんです……だから、……わ、私の仮想恋人になってください!!」


「はい?」


「私好きな人が居るんです、でもこんな状態じゃあ……だからお願いします、頼れるのはお兄さんしか居ません!!」


「え~~~僕だって好きな人が居るからそれはその人に対して不誠実な気が……」


「え?どんな男の人何ですか?お兄さんの好きな人って、詳しく!」


「女の子だ!」


「え!」


「え!じゃない、僕はノーマルだ!」


「えええ!、そうしたら仮想恋人とかってフラグになっちゃうじゃないですか!」


「なんだよフラグって」


「私、お兄さんとなんて、絶対にないんで本気にとかならないで下さい」


「あのね、僕はまだやるなんて言ってないんだけど」


「えええええええええ、お願いしますうううううう」

 米つきバッタの様に再び頭を下げる妹……初めてまともに喋ったけど……

 なんか……偉いめんどくさい奴が妹になったと実感した……


 でも、なんかデジャブを感じるんだけど、気のせいかな?


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