いとこの美智瑠


  3日間のログイン停止……

 運営からの警告メールが来てしまった……次回やったらBANしますと……


「今日から3日間ルナに会えない……うう、泣きたい」

 学校からの帰り道、いつもなら嬉々として家路に着くのに今日は足取りが重い……


「私の生き甲斐が……今日から3日間も……」

 でも昨日は遅くまでルナに慰めて貰った……ちょっと嬉しい……


 いつもは学校の授業が終われば何はなくとも家に帰宅、すぐにパソコンの前に座る、でも今日はそれが出来ない……仕方なく駅前に寄り本屋でパソコン雑誌とゲーム雑誌アートオブドラゴニアの特集号を買って帰る。


「え?誰かいる?外国人!!?」

 家の前まで来ると玄関の所で銀髪で女子の制服姿の女の子が立っていた……え?誰


 私はその場で立ち止まり、歩けなくなる……家の前に誰かが立っているっていうのが凄く怖い……


 私がその場で止まっていると、その子がこちらに気が付き笑顔になる……


 なんだろう?外国の人がうちになんの用だろう?

 するとその子が……


「やあ、君が新しい妹さんかな?お母さんから聞いてないかい?誰も居なくて困っていたんだ」


「日本人?」

 銀髪碧眼で白い肌、日本人離れした顔立ち、妖精の様な佇まい……本当に?


「ん?そうだぞ、僕は正真正銘日本人だぞ!」


「ぼ、僕!!」

 え、男の人?えええええ


 私は混乱した、え?怖い……でも女の子っぽいし、スカート姿で制服着てる……え?え?


「美智瑠?なんだ美智瑠じゃん、どうした」


 後ろから兄の声!!!


 私はびっくりして大声を出してしまった。

「わ、私の後ろに立たないで、変態いいい」


「へ、変態だとおおおお」


 私はその美智瑠さん?を突き飛ばし、家に駆け込んだ……



 ####



 ああ、またやってしまった……なんでこんなに臆病になってしまったんだろう……突然の出来事に弱い……凄く臆病……人を信用出来ない……


 私は部屋に駆け込み本と鞄を机の上に投げ捨て、制服のままベットに寝転がった……


「私このまま一人寂しく生きていくのかな……」

 涙が出てくる、こういう時はルナと話して気分転換を……ってログイン停止だった……


「ふえ~~~~んルナあああああ」

 いつも嫌なことはルナと話して忘れる、でも今日は出来ない……頭の中にぐるぐると嫌な思いが廻る。


「そういえばさっきの美智瑠って子は誰なんだろ?」

 兄の知り合い?私の事を妹って言ってたし結構親しい間柄?


「彼女?」

 凄く綺麗な子だった、銀色の髪、白い肌、細い身体

 兄と並んだら凄く目立つ美男美女カップル……私と兄が並ぶより全然合ってる!!!!


「って私なに考えてるのよ!あいつと並んで歩くなんてあり得ない!」

 それよりもあの子僕って言ってた……スカート履いてたし制服だし……


 ひょっとして男の娘?

 つまり、兄の……彼氏?

 みちるじゃなくてみつるって言ったのかも……


「ええええええ、でも……ありえる………………えへへへへへ」

 は!いけない!なにカップリングとか考えてるの私!どっちでも行けるんじゃ、って違うの、兄のヘタレ攻めとか考えてない!!


『コンコン』

 その時ノックの音が聞こえた!!!!!


「だ、誰!!」


「僕、美智瑠、天音ちゃんちょっと話しがしたいんだけど、良いかな?」


「だ、だめ!!」

 男の子かも知れない人を部屋に入れるとか無理!!


「うーーん、じゃこのまま聞いてくれ、僕は君のいとこになった渡ヶ瀬美智瑠だ、お兄さんと同じ高校1年花の女子高生だ!よろしく!!」


「女子高生?」

 女の子だったか……僕っ子って奴かな?そして……いとこ?


 私は立ち上がり扉の鍵を開けそっと扉を少しだけ開く


「やあ!天音君」

 彼女は満面の笑みで私を見ている……凄く綺麗、言われてみれば少し兄に似ている……


「下に降りてこないか?3人で話そう」

 何バカな事を言ってるの、話せるわけないじゃない


「無理……」

 美智瑠さんは凄く残念そうな顔をする、どんな顔をしたって無理な物は無理なの!


「そうか、じゃあ僕と少し話そうそれならいいかな?」


「少しなら……でもここで……お部屋に入れるのは嫌……」

 私は扉を大きく開ける、美智瑠さんの全身が見える、凄くスタイルも良い……ガリガリの私と比べても細く見える、でも運動をしていたのか整った身体……

 顔も良くてスタイルも良いとかズルい……


「今日は君のお母さんから着物を貰えると聞いてね、お邪魔してしまった、すまないね」


「ううん、お婆ちゃんが着物道楽してたから……古いの一杯あるし、お母さんも昔着てたから」

 引っ越して荷物になると悩んでいたから親戚に要るか聞いて回っていたのは知っている……


「そうか、朋が聞いていたらしく、用意してあったのでそれを貰って行くよ」


「朋……あいつとは仲が良いの?」


「うーーん、小さい頃会ったきりだよ、僕は去年こっちに引っ越して来たからな、朋と会うのは本当に久しぶりだ」


「そうなんだ……」


「君たちは仲が悪いらしいなさっき朋が下で悩んでいたぞ」


「別に……興味ないだけ」

 嫌いっていうのはなんか悔しい……興味ないって言いたい……


「まあ兄妹になったばかりじゃ無理もないか……僕の友達に凄く仲が良い兄妹が居てな、もうこっちが恥ずかしくなるくらいの二人で、君たちとは正反対な」


「あの!!」


「うん?」


「あの……そろそろ良いですか?私受験生なんで勉強したいんですけど!」

 仲が良い兄妹の話しなんて聞きたくない……


「あ、ごめんごめん、じゃあそろそろ帰るよ、お母さんにありがとうって言っといてくれ」


「はい……じゃあ」

 私は扉を締め鍵を掛ける。


 そのまま再びベットに倒れこむ、美智瑠さんか……イイ人っぽいけど少し天然?私と兄を一緒にするとか空気読めないのかな?


 受験って言って追い返しちゃったのは少し悪い気が……でも……


 嘘は言っていない、勉強はしないといけない………


 ただ家から遠くの学校に通うのは怖い、でも一番近い高校は兄が通っている、そしてそこなら今の学力でも余裕で受かる……


「女子高が近くにあればいいんだよな~」


 男子は今でも苦手で話すことも出来ない……


「いつかルナに会ったときに話せるようになってなくちゃいけないかも……」

 女子高じゃいつまで経っても男性恐怖症は治らないんじゃ?


 兄と同じ高校が一番なんだけど……凄く嫌……でも……あいつ私との仲を悩んでるとか言ってたって……


 ああ、また嫌な考えがぐるぐると……

 

 ルナと話したい、ルナに会いたい……ルナってどんな顔してるんだろう……


 ああ、早く3日経たないかな……ルナ……話したいよ~~~


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