美智瑠のアドバイス


 「うーーん駄目だね」


「だから言ったんだよ」


「あははははは」


「あははじゃないよ、美智瑠ってそう言う所変わらないよね」


「いや、まあ彼女は本当に取り付く島もないな……うーーん」


「僕もこういう関係で居るのはお互い良くないと思ってるんだけど、ああいう感じなんで、なかなか改善出来ない……」


「お義母さんはなんて?」


「放っておけって……」


「なにか理由でもあるんじゃないのか?」


「前の学校でなんかあったらしいんだけど、教えてくれないんだよね」


「ふむ……それが彼女を自分の殻に閉じ籠めてしまった原因なんだろうね」

 美智瑠は子供の頃からこんな感じで僕に構ってくる、同じ年なのにお姉さん気取りでいる……ちょっとイラっとしたときは、美智瑠の弱点を突けばいいんだけどね、では……


「そういえば、こっちに引っ越して来たってことは、愛しの君には会えたのかい?」

 子供の時に友達になった子に昔から恋をしている美智瑠、そんな昔の奴に会える分けないと僕はいつも逆襲していた。


 前ならそこで落ち込んだり、泣いたり、怒ったりしていたんけど、でも今日は違った……


「え!!!!!」

 美智瑠の白い顔が瞬時に真っ赤になるって……えええええ!!!


「会えたの?」

 僕が聞くと美智瑠はうつ向き、コクコクと小さく頷く……


「本当に?」


「う、うん……会えた……同じ高校だった……」


「え、えええええええええええええ」


「うん……僕もビックリした……」


「そいつは覚えていたの?」


「うん……」

 さらに赤い顔になる、色が白いので本当に真っ赤でヤバい


「それって、凄くない?」


「うーーん、そうかな?あいつの地元だし……でも同じ高校だったのは本当にビックリした……」


「凄いよ……凄いよ美智瑠!運命だよ、もうそれ運命だよ!!、神様のイタズラとしか思えない、そんな偶然って……」


「え?そうかな……、そうだよな!!」


「そいつも凄く運命と感じてるんじゃない?美智瑠の恋が実るかも、て言うかもう付き合ってとか言ったのか?」

 僕は興奮気味で美智瑠に問いかけるとさっきまでの赤い顔がスッと元に戻る……え?


「あいつは僕の事を男友達としか見ていないんだ……」

 一気に落ち込む美智瑠……そうか、そうだった、男の子として会っていたんだっけ……


「そうか……でも今の美智瑠なら女の子として見て貰えるんじゃ?」


「うん、でも僕は今の関係が嫌いじゃない、むしろこの関係を壊したくない……」


 その言葉を聞いて、僕は自分とリン、美智瑠とその彼がだぶって見えた。


「そうか、うんわかるよ」

 僕もリンと今の関係が凄く好きで楽しい、壊したくない……


「でもな、最近思ったんだ、前に進むには目の前の大事な物も壊していかないと進めないんじゃないかって……」


「え?」


「うん、このままで良いけど、でも諦めるのは嫌なんだ、だから今日ここに来た」


「え?え?」


「僕はやるよ!僕が女の子だって分からせる、告白だってする、着物でも水着でも何でも着て女の子だってアピールする、そのチャンスを生かすなら何だってしてやる、それで前に進めるなら……」

 美智瑠は僕に向かって熱く語る、昔と違った、そいつの話しをするだけで落ち込む美智瑠はもう居なかった……でも僕は、僕とリンの関係を壊したくない、意地悪とは思ったが一番肝心な事を聞いてみたかった。


「でも……それで、そいつとの関係が崩れたら?、嫌われたら、拒絶されたら?」

 本当に僕ってどうしようもない……でも今の美智瑠の答えは僕の希望になるかもと思ってしまった。


「ふふふ」


 すると美智瑠は笑った、凄く可愛い笑顔で思い出すように笑う……


「え?」

 なんでそんな事を聞かれて笑ったのか、それを聞きたく僕は美智瑠の言葉を待った……


 美智瑠は一度目を瞑り、そしてゆっくり思い出すように話し始める

「あいつはね、物凄く優しくて、物凄くお人好しで、そして僕のヒーローなんだよ、だから僕がどう言おうと、関係が無くなる事はないよ、今の関係が変わる事はあるかも知れない……、でもあいつが僕を嫌ったり、拒絶する事はないよ!」


「本当に?」

 そう言われても、僕は疑った、そんな事言っても本当にそうなるとは限らないだろうと……

 でも美智瑠は一つの迷いも、戸惑いもなくキッパリと僕の目を見て言った。



「ああ、僕はあいつを……裕を信じている!信じられない奴の事を僕は好きになんかならないよ!!」


「!!!」


 その言葉に僕は衝撃を受けた……信じられない奴を好きとは言えない……確かにそうだ……信じる、好きな人の事は信じてあげる、いや信じなくてはいけない、信じられない人を好きにはならない……



 僕は…………、僕はリンを…………信じる!……だって、大好きなんだから!!!



「そうか、そうだよな……美智瑠、ありがとう!!」

 僕は美智瑠に感謝した……本当にありがとうと……


「ん?なんで礼を言われるのかわからないが、どういたしまして」


 

 そう言うと美智瑠は笑った、凄く可愛い笑顔で……


 リンが居なかったら惚れてしまいそうな位の笑顔だった……


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る