ルナに会いたいよ


 「最低最低最低~~~」


 部屋に戻り持っていた着替えを床に落とす、白い下着が散乱するのを見つめる……


「キモいキモいキモい、私の着た下着見つめるとかキモいいいいいい」


「あんな顔して、やっぱりあいつも男なんだ、少し気が緩んでた……怖い、洗濯物とか盗まれてないよね」

 ストーカーの事を思い出す、私の洗濯物を外から眺めていたあいつの事を……


「男なんてそんな奴ばっかり、どうせ告白とかも身体目当てなんでしょ……」


 中学1年の時、ストーカーにあった、まだ目がそれほど悪くなかった私、学校でもそこそこモテていた……


 ただ言い寄って来る人って、私の胸と顔ばかり見ている、中学1年にしてはそこそこあった胸、体型も今よりぽっちゃりしていて、ちょうどいい感じ……


 私に告白してくる人はみんな録に喋った事もない、それで私の事を何で好きになるの?


 無下に断っていた、その一人がストーカーになった……

 怖くなった私は不登校になり、拒食症を併発、そのまま転校した……


 それからは最悪、ガリガリに痩せて胸は小さくなり、家から出れなくなってネトゲにはまり目はものすごく悪くなった、転校先ではなるべく目立たない様に心がけた、そして未だに男性恐怖症は治っていない……


 そんな最悪な状態だった私が生きてこられたのはルナのお陰……ルナが居なかったら私ひょっとしたら…………


 ルナと喋る様に少しずつ女の子と喋られる様になった、未だに男の子とは喋られない、拒絶の言葉を言ってしまう、兄に対してもそうだった。


 お母さんは兄の事を信頼している、私に、あの子なら大丈夫よって言ってくれた……でも怖い、容姿は女の子みたいだけど兄は男、ストーカーと一緒……


「ルナ……ルナ~~」

 涙が出て来る、ルナだけは私の心を見てくれている、容姿ではなくて私自身を……ルナなら男の子でも平気、ルナなら多分大丈夫、多分


 でもネトゲで会おうって言ってはいけない、好きという言葉も一緒……

 そしてもし……ルナに拒絶されたら……


 ルナとの会話が唯一の楽しみ、毎日ルナと喋られる幸せ


 それを無くすなんて出来ない、私から告白なんて無理……


「ルナ、ルナ、ルナ」

 パソコンを見つめる……今ログインしたらルナが居るかも……でもさっき慌ててまた明日って言っちゃった……、これでログインしたら私がルナのストーカーみたいに思われるかも……


「ルナって学生って言ってたよね、そして去年今頃あまり夜ログインしなかった、早めに落ちてた」


「ルナってひょっとして……」

 頼りがいがあり、包み込んでくれる優しさを持っている。


「ルナってひょっとして大学生?」

 私が中3って知ったら引くんじゃ、子供って思われる、今時中学生となんて危険って思われるかも……嫌だ、嫌!


「それどころか、ひょっとしてルナ、もうチャラいサークルとかに入って、新歓コンパで同じ新入生や色っぽい先輩と気があって、そのまま…………いやああああああルナああああああ行っちゃだめええええええ」


「それどころか、もう彼女が隣にいて、「こいつ俺に付きまとってさ、自分がストーカーって分かってないんじゃね?超受けるんですけど」とか言って…………彼女が「処女からかってないで私と……ね」、とか言って……どうせ処女ですよ!」


「でもルナに限ってそんな事ない!優しくて、格好良くて、頼りがいがあって、ルナってお坊っちゃまなのかも、言葉にスマートさがあるのよね、今日も指輪を用意するとか格好いい……」


「箕面か田園調布か、田園調布が良いな~近いし、でもルナが来てって言ったら何処にでも言っちゃうかも……世界の果てでも宇宙にでも……」


「ルナ、ルナ、ルナに会いたい、ルナに…………会いたいよ……」



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