僕の理想の相手


 理想の人……誰にでもあるでしょう?

顔が理想、スタイルが理想、性格が理想、色々な理想を持っていると思う。


 僕の理想は、それほど高くはない。


僕の理想の人は僕と同じ価値観を持った性格のいい人


でもそれって判断するのが難しいよね、だって隠すじゃない?特に好きな相手には自分を隠すよね。


 好きでもない物を私も好きと言い、感動もしていないのに感動したと言う。


でも分かるよね、感動したって言っといて、話しを終わらせようとする、僕が2時間その話しをしていたら、時計をチラチラ見だす。


全然感動してないじゃん!!


そんな人は居ない、見つからない……なんて思い始めてた。


でも、居たんだ、見つかったんだ!!僕の理想人が!!



####



 告白の定番、屋上に呼び出される。

夏休みまであと少し、梅雨明け宣言が出され、日差しの強さが本格的になってきた。

恐らく告白されるんだろう……、違うクラスの女子が放課後屋上に来てくれと言ってきた、いつもの事……多分今から来る娘の友達なのだろう


そして言われた通りに、僕はここに来ている。


 まだ誰もいない屋上の日陰で待つこと数分、扉から一人の女子が入ってきた、見たことはあるが名前は知らない……


緊張の面持ちのまま僕の目の前に立ち、その女子は一度目を瞑り胸に手を当てて深呼吸をする、そして予想通りの言葉を僕に言った。

 

「いきなりでごめんさない、渡ヶ瀬君、私と……付き合って下さい」

 

 高校に入り半年たった、これで4人目……女の子みたいな容姿の僕は昔から男女両方に告白される……


 ちなみに最近自信がなくなってきたが……僕は一応ノーマルだ!


「えっと……君ってゲームやる?」


「え?えっと、携帯で少しなら」


「MMORPGとかは?」


「えむえむ?」


 まあ、そんな奇跡はないか……


 そしてそれを知らない以上僕の答えは決まっている、付き合う事は出来ない……


「ごめんなさい、お付き合い出来ません」


「……わたしじゃダメですか?」


「だめも何も君の事を知らないんだ」


「じゃあ知ってください!」


「ごめん、僕もう好きな人がいる」

そう僕には好きな人がいる……


「……誰ですか?」


「分からないんだ……」


「?」


「誰かは分からない、でも僕はその人の事が大好きなんだ……僕の理想の人なんだ」


「ごめんなさい、意味がよくわからないんだけど」


「うん、言ってる僕も分かってない……」


「……断るなら、……断り方を考えてよ、何よそれ!!ばかああああ」

 そう言って、彼女は屋上から出て行った……


 高校に入って4回目、1回目は叩かれた、2回目は泣かれた、3回目は罵られた、そして4回目……


「ごめん、でも僕は何も嘘はついていなんだ……」


 僕には好きな人がいる、僕の理想の人だ……でも……誰だかは分からない……男か女かも……




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