僕の理想の妹はネトゲの中にいる

新名天生

プロローグ


 僕に妹が出来る……そう父親から言われた……

 中学3年、この思春期真っ只中、そして受験真っ只中、推薦入学が決まっているとはいえ、そんな事言われても……


 母は僕が物心付く前に死んでしまったらしい、その間父は一生懸命に僕を育ててくれた、感謝している。


 再婚しないの?と言ったのは僕から、父は少し悩みそして打ち明けた。


「お前が許してくれるなら……相手はいる」

 初耳だ!、でも嬉しかった、父も幸せになってほしい、僕の為に人生を我慢する事はない。


 僕はそう言うと父は笑顔になる。

 あまり笑ったことのない父の笑顔になんだか照れ臭くなった。


 と、ここまではよかった、ただ問題が一つ、相手に一つ年下の子供がいるらしい……


 つまり妹が出来ると言う事、そしてトントン拍子に話しが進んだらしく、ていうか僕が言う前から決まっていただろ!!


 そんなスピードで来週から一緒に住むと言われ今初顔合わせの食事会……


 父の恋人、僕の母親になる人は結構若くて綺麗な人、そして明るく聡明な感じがして凄くいい第一印象だった、やるな親父


 ただ、目の前の僕の妹になる女の子……黒髪の前髪をカチューシャで押さえているけど眼鏡の度が強いのかよく顔が見れない、そして終始うつ向いている……なんか暗い子……


 母親(仮)の問いかけにただ頷くだけ、たまにボソボソと喋るが聞こえない……


 えーーこんな暗い子と住むの?そんな印象しかなかった……


 暫くして父の携帯から着信が、どうも仕事で緊急の連絡らしく席を立つ、その隙にと母(仮)がお花を摘みにと席を立った。


 つまり二人きり……メチャクチャ気まずい……特に喋る事もなくどちらか早く帰ってこないかなと思っていたら突然彼女が喋り始めた……


「なよなよして……おんなみたい……」

 突然僕の容姿を揶揄してくる、僕は身長がそれほど高くなくしかも顔立ちが死んだ母親そっくりで、昔から今でも女の子に間違われる……そしてそれは僕の一番触れてほしくない事、それを一番最初に言われて腹がたった、そして


「眼鏡ブス」


 そう言い返してしまった、彼女は一瞬顔を上げ僕を睨み、再びうつ向く


 それから1年、いまだに僕と妹の険悪な関係が続いていた。





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