第3話団長さんごめんなさい あと、ルーも
「まてまてまてまてまて」
「はぁぁぁぁぁぁぁ?」
「お前らまでなんなんだよ!?」
国(王都)を守る騎士達になんでも命令してくれなんて言われているこの現状に誰か
特大の大声でツッコミ入れてくれね?
そんな頼みを訊いてくれるのはこの場でルーぐらいしかいないのだが、
ルーも今は開いた口が塞がらない様子をして驚いている。
そりゃそうだよな~。
ピンチに颯爽と夫があらわれてドラゴン手なずけておまけに国の誇りの
騎士団をひざまつかせてるんだからそりゃ~驚くわな~うんうん。
てか本人も驚いてんだよ!!!!
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
どうすりゃいいんだ?
もう正直この言葉に限る······
少しの間沈黙が流れるも、この俺の心情を理解してかドラゴンが俺の耳元で小さく呟く。
「とりあえずはこいつら連れて王都に行きますか?」
王都バロック
そこは、良くも悪くも歴史のある古い場所。
まぁ、古いと言っても、長く長く連なる店の数々には色とりどりの食べ物、日用品、時には商人が持ち寄った奇妙なものが並んでおり、巨大な噴水や石畳、レンガの家、王が住む激しい色彩で彩られた宮殿、そして自国を他国や魔物から守る為に建造された高く高くそびえ立つ壁が国を一周している。
そのなかでも、噴水やレンガの家にいい感じにこけが生えていたり、壁の所々に穴が開いていたりしている感じだそうだ。
そこに騎士団の本拠地もあると聞いている。
(全部、本や旅人の話の請け負い。)
まぁ、俺も一度は行ってみたい思っていたし良い機会もかもしれん。
「よし!、皆とりあえずバロックに向かおう!」
「もちろん、歩いて行ったら日がくれるから、
ドラゴンの背中に乗って行こうと思う。」
「意義はあるかな?」
「あのー、意義はないのですが·····、いくらドラゴンといえどこの人数は····」
と、俺の問いかけに騎士団員の一人がおどおどと声をあげるが、そこでドラゴンが自慢げに言う。
「そこは問題ないよ。」
「俺はまだまだ大きくなるぜ!」
[マジで!?]
ここで全員が口をあわせて叫ぶ。
「あぁ、ホントだよ。
「その証拠にほら·····」
その言葉と同時にドラゴンの体が元の二倍、三倍とどんどん大きくなっていく。
あまりにも大きいその翼は俺達の上空を覆う。
皆唖然とするなか、ルーだけがなんのためらいもなくドラゴンに乗っていた。
やっぱりこういう所は普通に尊敬するよなぁ~。
それに騎士団員も続く。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
準備が終わり、全員が乗る。
「いざっ、出発!!!!!」
[オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ]
皆の掛け声とともにドラゴンが飛び立った。
だが、皆の期待は一瞬で崩壊した。
「めちゃくちゃ寒いじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ってあれ?
気温が普通に戻った?
てかむしろ暖かい?
あっけにとられているなか俺もその理由にすぐさま気付く。
先頭で凄まじい光が輝いている。
たぶんルーが魔法を使っているのだろう。
さすが炎魔法特化型だ。
ホント天使だわ~
(・・・・・・・・・・・・・・・)
やばい、俺の頭の中今煩悩だらけだ。
心を無にしなければ~。
そんな時ふと周りを見渡すと·····
あれ?ここもう王都じゃね?
先程説明した王都バロックの光景が白い霧の中から目の前に現れてくる。
そしてドラゴンが
「見えてきたぞ王都が」
「もう!?、竜の封印場からバロックまでにはかなりの距離があるはずなのだが·····」
改めて竜の凄さを痛感した。
これが俺の下僕とかやばくね?
そしてドラゴンが王都の入場門前に降り立った。
皆、スゲーだの、はやーいとか子供でも簡単に出てきそうな言葉を語りつつ
ドラゴンから降りていく。
そして騎士団員が俺に向かい一礼すると、(団長?)を残し門の向こう側へと
消えていく。
そして(団長?)が俺に小走りで近づいてきて俺にしゃべりかけてくる。
「今回は本当にありがとうございました。」
「あなた様がドラゴンに命令をしてくれていないと今頃私達は·····」
「あっ、俺の方こそ殴ったりしてすいませんでした」
「いえいえ、お気になさらずに」
「ところで、今日は騎士団本拠地<ヘレティックベース>
にお泊まりになりますか?」
「では、お言葉に甘えて」
「では、手続きして参りますね♪」
そして団長(確定)が走り去っていく。
最後の言葉の語尾から分かるようにあの人は女だった·······
俺の目は節穴かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
しかも、ルーに負けず劣らずの美少女だったぞあいつ······
なに、美少女殴ってんだよォォォォォォォォ。
俺はアホかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
「なぁドラゴン。俺のことおもいっきり殴ってくれね?」
涙を流してショボくれた感じで後ろを向くとそこにいたのはさっきまでの
体格とは対照的なまでに小さくなったドラゴンだった。
「王都では目立たないように体を小さくしてみたんですが·····」
「なんか普通に可愛いな。」
「そりゃまた照れますな~♪」
「その高い声が余計に可愛いわ!」
そしてふと遠くを眺めていると········
楽しそうに談笑する俺達をジトーとした目で見てくる妻がいた。
ヤバい、心を無にするあまり完全に存在忘れてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「ごっ、ごめん」
そういった謝罪の言葉を述べようと思ったのだが····
それより先にルーが俺に抱きついてきた。
「わあああああん」
「クロ~会いたかったよー。死ぬかと思ったよー。あと助けてくれてありがとぉー」
「こちらこそもっと早く行動しとけばよかったよ」
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
二人見つめ会うなか少しの間があり、こののろけ話にちびドラゴンがわって入る。
「まさか、このお方がご主人様の奥様とは·····」
「にしても強かったですね~」
「何時かの英雄を思い出す勢いだった」
「あそこまで速く動ける人間はそういないからな~」
「だってあんなのほぼ瞬間移動じゃん」
「はい。私のスキルは瞬間移動ですよ?」
「ええええええええええええええええええええ」
「瞬間移動て、SS級のスキルじゃないですか」
「まぁ、そうみたいですねぇ~」
「そのスキルに加えて、最強レベルの炎魔法と変幻自在の剣創製魔法ですか····」
「まさに、伝説の英雄そのものデスネ」
ちえっ、やっぱりその英雄様とか言うワードを聞くのは夫になった今でもやっぱり少し嫉妬してしまうよな~
まぁ、可愛いくて天使だから許すけど。
<はぁ?、何様のつもりだお前!>
アレ?どこからか俺を激しくツッコム声が聞こえた気がするけど気のせいだよな。
うん。こんなのにいちいち耳を傾けていたら直ぐに心がポッキリいってしまいそうになるので聞かなかったふりしてちびドラとルーの会話に加わる。
だがもう二人は話を一段落させていて、ルーに至っては
「王都。私もまだ数回しか来たことないから久しぶりの王都だし色々
見て周りたいんだけど·····。いいかな?」
とか言っている。
おいおい、ここで上目遣いは卑怯だろ。
まぁ、ホントならゆっくり一息付きたい所だが、初王都でワクワクしているのは
俺も一緒だ。
ここは夫ととしても妻の望みの一つや二つは叶えてやっても良いだろう···
「よし!行くか!」
考えが多少纏まった所で俺はそんな言葉とともにちびドラを胸ポケットに入れて
ルーの手を引いて門をくぐった。
だが、街をぶらつくという結論がクロを余計に疲労させることになるのだが···
そんなことも知らないクロは、王都バロックの活気ある姿を見て思わず笑顔に
なってしまっているのであった。
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