第2話仲間のためなら···
あなた様の仰せのままに
この言葉が意味するモノは多分、私に何なりと命令して下さい。
ってところだろう。
まぁ、言葉の知識については人なりに理解を示しているつもりなのだが·····
世界最強の魔物としての名前を世界中に轟かしていてるドラゴンが·····
なんで俺に向かって頭を下げてそんな言葉を言うんだ!?
この状況に疑問しかない俺は「は?」というまぬけな声をあげてしまっていた。
そんな混乱状態の今、疑問を驚きが通り越して行った。
「えええええええええええええええええええええええ!?」
この俺の挙動不審さを見てか、ドラゴンが首を傾げる。
少しの沈黙後俺は疑問を質問に変えていた。
「あ、あの~ドラゴンさん。少し状況説明をしてもらえると嬉しいです。」
「ド、ドラゴンさんだってぇぇぇぇ」
ドラゴンが明らかに眉間にシワを寄せている。
ヤバい、できるだけ丁寧な言葉を使ったというのに怒らしてしまったか?
顔から、血の気が引いていく俺。だったのだが·····
「ド、ドラゴンさんとは、滅相もない。どうか私に、下僕に正しいお名前を頂けないでしょうか?」
「げ、下僕!?」
もう、ホントに意味が分からなかった。
「いつからお前は俺の下僕になったんだよ!」
全然話が見えてこないことにたいしての苛立ちを含んだ俺の叫びにドラゴンが答える。
「ついさっきの2分14いや、15秒前になります。」
「いや、正確過ぎるわ!」
というツッコミを入れたが今のこの状況の深刻さに気付き、思わず口を押さえた。
とりあえず、この現状をどうにかしないとホントまずいな。
考えが纏まった今、俺はドラゴンに命令を下す。
「お前···回復魔法とか使えね?」
「もちろんできますが?」
「じゃあ、ここに倒れてる奴ら全員治してくれね?」
「承知した」
「ヒーリングマキシマム!!!」
この言葉とともに辺り一帯が緑色の霧に包まれた。
そして倒れていた騎士団員達がむくりむくりと体を起こす中···
俺は驚きと感心の念をドラゴンに送っていた。
百人以上いる騎士団員達を一瞬で完治させるとは····
「やっぱり、なんでお前みたいなすげー奴がなんで俺の下僕なんだよ!」
「ですから···」
やれやれと、呆れたような視線をドラゴンに向けらたが、それもつかの間。
騎士団員達は、ドラゴンに魔法の杖やら、剣、槍等を向けていた。
ルーは一人、ぼけーとした顔で俺とドラゴンを眺めている。
ドラゴンはとりあえず悪い奴ではなかったし、どうにか助けてやりたいものだが··
そこでふと、親父の会話がよみがえる。
「(仲間を護れる奴になれ、そうすればお前が世界最強だ!!!」
「(世界最強なんか目指してねぇよ。)」
「(だが、仲間も護れない奴には小さな幸せも来ない。)」
「(残るのは虚しさだけだ。)」
「(それにいつか仲間だって、お前が困ってたら助けてくれるようになるんだ。)」
「(その時にやっと、小さな幸せにたどり着く。)」
「(ホントか?)」
「(あぁ、ホントだ。)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なぁ、ドラゴン。この貸しはでけぇぜ。」
そうドラゴンにだけ聞こえる声で呟くと俺は、騎士団の団長ぽい人をおもいっきりグーで殴ってやった。
それと同時に叫ぶ。
「騎士団員共よく聞け!!!!!!!!」
「このドラゴンがお前らの傷を治してくれたんだ!!!」
「武器向けるの止めて、全員少しでも感謝したらどうなんだ!!!!」
言ってやった。
そして終わった。
騎士団に歯向かった罪で死刑だ。
だが!、仲間を勇気づけることはできた。
ドラゴン。後は好きにしろ。
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[ハッ、あなた様の仰せのままに。]
騎士団員全員が、ひざをついてこんなことを言う。
「は?」
またも俺は、こんなまぬけな声をあげるのだった。
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