仲間の力借りて世界最強になりました!!!
nisekoi
第1話俺、今日から美少女幼馴染みのヒモになるわ
いきなりなに言いだすんだよ!
そんなツッコミを軽快にも入れられてしまうかもしれないが、自分が今どれだけヤバい状況なのかを知ってもらうためこの世界の摂理«せつり»について少し語らせてもらおう。
大きく分けて二つの力が、この世界にはある。
一つ目は、魔法。
この力を使える者は少なくない。
体内に魔力さえあれば、4歳越えれたら大体の奴は覚醒して使えるようになるのだが...
一部。この力を使えない者もいる。
スキル、または固有能力といわれるモノ。
これが二つ目の力であり、このスキル保有者の大半が魔法を使えない。
そしてこの二つ目の力は、大体12~14歳の間に目覚めるといわれている。
ところで皆さん、何か違和感はないだろうか?
<スキル保有者の大半が魔法を使えない>
そう。大半だ。
つまり簡単に説明すると、これら二つの力を両方持ち合わせる者も存在しているということで。
そしてその強過ぎる力故に。
そういった類いの奴らは英雄と呼ばれ伝説となる。
まぁ別に。
伝説になってこの世に名を残したい!
な~んて、叶いもしない夢を持っている訳ではない。
二つの内どちらかの力を神様から授かりつつ、身の丈にあった仕事をして、家族とただのんびりとして、死ぬ時は子供に看取られながら余生を終える。
こんな質素で。
でも沢山の幸せにかこまれて。
そんな平凡な人生を望んでいたアドランス=クロ。
だけど俺、そんな平凡な生活すら夢のまた夢なんですけど····
アドランス=クロ。
小さな村に住んでいてその村からは、一歩たりともでたことがない田舎者。
色白い肌で身長は168cm。
体格は平均より少しひょろっちい感じのモヤシタイプ。
顔は、幾つもの魔物と戦ってきたぞ!
と言わんばかりに顔にキズが複数ある渋くいかつい顔ではなく。
よく旅人に女性と間違えられられる感じの····
良く言えば、美少年だが、結局のところはものすごい童顔なだけである。
そして後一週間も経てば、俺は14歳になろうとしている。
体内に魔力が無いと診断され、魔法が使える希望もない。
12~14歳という期間が終わるまであと一週間にもかかわらず固有能力に目覚める気配も全然無い。
あれ? あれあれ?
おっかしいな~。
このままだと俺、人類史上初であろう無能力者になっちゃうよ?
こんな無能力者誰も雇ってくれないよ?
仕事出来ないよ?
家族養えないよ?
そもそも家族もできないよ?
こんな。
誰でも良いからこれ聞いてたら慰めてくれよォォォォォォォォォ
みたいな気分で放っていた独り言が一段落ついたところで、あまりにひきつった顔をなんとか笑顔に変え、天を仰ぎつつ俺は叫ぶのだった。
「俺の人生詰んでんだろこれ!」
「神! てめぇもてめぇだ! なんで俺だけこんな人生難いんだよ!」
「設定厳しくし過ぎてこんなん生きていけねぇよ!!!」
こんな嘆く俺の背中を、バン!と割合強めに殴ってきたのは、俺の幼馴染みの
キラ=ルーンだった。(俺はルーと呼んでいる)(更に付け足すと女である)
「何、情けねー声上げてんだよ!」
「やっぱりこいつにだけは、慰められたくなんかなかったわ」
「はぁ?」
「落ち込んでる親友慰めるのはこれまた親友の務めだろ?」
「なんかお前、今日カッコいいな」
「だろ?まっ、いつものことだけどな!」
「前言撤回。お前やっぱただの痛いヤツだわ。」
「おい!」
「でも、こんなこと言ったら悪いかもしれないが、俺はお前に慰められたところでホントに皮肉にしか聞こえねーよ」
「···············」
場の空気が一瞬にして重くなり、ルーが黙りこむ。
「だよなぁ、英雄。選ばれし者」
俯くルーに対して、俺はまだ続けた。
「お前は二つの力が使える選ばれし英雄。代々英雄と呼ばれてきた者たちは、何の試験もせずに無条件で国の最上位職である騎士団に入っていき、そして晴れてお前も明日、騎士団に入団するはずだ。そこでお前は、他国の侵略を防いだり、沢山の魔物どもを簡単に蹴散らしたりして莫大な富と名声を得るのであろう?
俺はそうじゃなくても良いのに!平凡でも全然良いのに!
お前の力、片方だけでも分けてくれよ!」
明らかにお門違いな相手なはずなのに俺は何を言ってるだよ。
ホントに惨めだ·······
力が無いのに加え、人間としても俺って終わってんだな。
ヤバい、泣きそうだ。
俺はルーに背を向けその場から即座に逃げだそうとしたのだが····
ルーは、服の袖を後ろから引っ張り、後ろに倒れそうになる俺を後ろから抱き締めた。
そしてルーが口を開く。
「どんなに挙げたくても挙げれないんだよ!」
「でも····」
「二人でこれから一緒に生きていけば良いじゃん!」
この優し過ぎる言葉と共に俺の涙腺は崩壊した。
だが、そんな俺を気にせずルーが続ける。
「だからさ、こんな生意気な私と結婚してください!」
「だめ?」
そんなの····
決まってるじゃないか。
俺は涙を拭い、村中に響きわたるような声で叫んだ。
「こんなダメダメで役立たずの俺と結婚してください!!!!!!」
「喜んで!」
ルーは耳元でそんな言葉を呟きつつ俺を強く抱き締めた。
俺をそっと放し、目の前に回り込んだルーは、満面の笑みで
「善は急げだよね♪」
そう言いながら俺の手を握ったと思うともうそこは式場だった。
もうなにもかも用意されてて村のみんなも、もう集まっていた。
そこで、誓いの言葉を言いあい、このあとお互いに頬を染めあいながらキスをした。
式が終わり、お互いの家に挨拶をしたりと、新婚ならではのやらなくてはならいことが一段落つくのは、もう夜の9時頃だった。
村の空いていた空き家に住むことになった俺らはとりあえず生活必需品を
空き家に運び入れ、二人ベッドに倒れこむ。
「疲れたね~」
「疲れたな~」
ルーが言ったので俺も続けた。
「明日から騎士団の入団式だろ?」
「うん。竜の封印場でね。だから2日間は会えなくなっちゃうな~」
«寂しいな~»
二人同時にそんなことを呟いたので思わず笑ってしまう。
「明日は早いからもう寝るね~」
その言葉とともに電気が消え、朝起きたときにはもう隣にその姿はなかった。
キラ=ルーン→アドランス=ルーン
俺の幼馴染みで今日からは俺の妻。
なんというか、自分の妻を天使に例えるのは流石に駄目だろとツッコまれてしまかもしれないが·····うん。普通に天使でも大丈夫だろう。
美しさで言えばそもそもが、言葉では形容仕切れないレベルなのだから。
きめの細かい色白の肌と光輝く金色の髪の毛。大きな目の中心には、磨き抜かれたサファイアのような青い瞳が輝き、形が整いしっとりとした桃色の唇。
旅人が通ればほれぼれと見つめ、村中の女はその美貌に常に嫉妬している。
性格はとてもさばざばしていて接しやすく、家事全般なんでもOKな
ハイスペック過ぎる女性だ。
魔法は、自分用の武器創製魔法や、炎タイプを得意としているが、これまた
他の魔法も人並み以上に使いこなせる。
スキルは、瞬間移動。
一番見た場所を強くイメージすると、気付けばそこに居て、
自分に触れているモノも一緒に転移する。
いやいや反則過ぎるだろ。
まぁそれが、彼女の良いとこなんだけどね
よし!妻の自慢話はこれぐらいにして本題に入ろう。
あれ?4日経っても帰ってこないんだけど?
流石に不安になった俺は山を四つほど越えた場所にある、竜の封印場へと2日かけて足を運んだのだが·····
そこに広がる光景は、地に這いつくばった騎士団員と、俺のよく知る天使が
ボロボロになりながら、荒々しく叫ぶ巨大な竜と一人戦っていた。
俺は思わず叫んでいた。
「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇえ」
「お前に俺の幸せを奪っていい道理なんてねぇんだぁぁぁぁぁ」
そう言った刹那、俺の体が急に青白く光だした。そして、光が小さくなるとともに、見えてきたのは、俺に向かって頭«こうべ»を垂れる竜一頭と、
それを何か呆けた様に見つめる天使だった。
そして竜が俺に言う。
「あなた様の仰せのままに」
「は?」
これが、俺の授かった能力だということを、俺はまだ知らない。
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