第23話

「湊、お前には私がいるではないか」


テラは優しく微笑む。


「私は人間ではないが、湊を大切に思う気持ちは同じだ。・・・それでは、駄目か?」


大きな体をシュンっと小さくし申し訳なさそうに見つめるテラを見て、思わず笑ってしまった。


「ふふっ、駄目じゃないよ。・・・ありがとう」


湊はテラに思いっきり抱き着く。


自分の胸に頭を摺り寄せる湊をテラはそっと撫でる。


「つらくなれば、私が話を聞こう。暇であったり、さびしくなったりしたら私が一緒にいて遊んでやろう。・・・だから、私をもっと頼りなさい」


テラは包み込むように抱きしめる。


「・・・そうだね。今日、テラのおかげでちょっとだけだけど、自分の事好きになれたよ」


「なら、よかった。私も、湊のおかげで新しい自分を知ることができたよ。ありがとう」


湊とテラはそのまま手をつないで、森の出入り口へと向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る