第21話

「湊・・・、その、髪は・・・」


テラはなんとか言葉を紡いだ


「髪?なにか変・・・」


湊は背中のほうに引っ付いている髪の毛を目の前に持ってくる


そこには、いつもの黒い髪・・・ではなく、真っ白な髪の毛があった


「あ・・・!」


湊は慌てて池から上がろうとしたが、テラに腕をつかまれる


「どこにいく」


「は、離して!」


「離さん」


テラは湊を引き寄せ、顔を両手で包み込み、自分を見るように上を向かせる


「その髪はどういう事なのだ?なぜ、隠そうとする?」


まっすぐに見つめてくるテラに湊は目を合わせることができずにいた


「答えよ、湊」


「・・・だ、だって・・・」


「だって?」


湊はそっとテラの手をつかんで離し、うつむく


「・・・化け物、だから・・・」


「化け物?」


「私は、本当は、この真っ白な髪の毛に薄紫の目をしてるの。昔は、家族みんな優しかった。・・・でも、保育園や小学生になったとき、周りから奇異の目で見られ始めて、それで家族も壊れて・・・。この見た目のせいで、私がこんなのだから・・・!だから、隠し続けてきたのに・・・!」


湊は目から大粒の涙を流し、言葉を詰まらせる


「・・・化け物、か」


テラがぼそっとつぶやいた言葉に湊は体を震わせた


「・・・湊、今、そなたの目の前にいるのは、なんだ?」


「・・・え?」


突然の言葉に、湊はゆっくりと顔をあげる


そこにいたのは、確かにテラだが、先ほどの人型に角や翼、尻尾が生えていた


「私の姿を見て、化け物と言わないやつがいると思うか?」


「・・・っ」


湊は言葉を詰まらせる


鋭い目つきに長く伸びた爪や牙、翼は余裕でテラの倍はありそうなくらい大きい


例えるなら・・・


「あ、くま・・・」


「そう、そなたたち人間から見たら私は化け物、悪魔だ」


そういうとテラは翼や牙などを仕舞い、また人型に戻った

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