第17話

しばらくして、ようやく気が済んだのか、中心人物の女子生徒が止める


「もういいわ」


そして、湊に近づき、顔を近づける


「これにこりたら、もう、真琴に近づかないでよね・・・」


にやりと不気味に笑い、その場から去った


湊はしばらくその場に倒れたままだった


・・・痛い、体中痛い・・・


寒い、冷たい、痛い、臭い、苦い・・・


湊はのっそりと起き上がる


そっと叩かれた頬を触ると、びりっとしびれるような痛みが走った


「いっ・・」


・・・どうして?


私何もしてないじゃん・・・なのに、どうして・・・


湊はつぅっと涙を流しながら、立ち上がり、歩き出す


・・・・・テラ・・・・・


湊の心に浮かんだのはただ一人


・・・会いたいよ、テラ・・・


湊は痛みをこらえ、テラのもとへと急いだ


幸いにも、学校内にはあまり生徒が残っておらず、人目を気にする必要はなかった


ぴちょん、ぴちょん・・・と、しずくを落としながら、湊はテラのいる森を目指す


ガザガザと木々や草花をかき分け、湊はやっとの思いでテラのもとにたどり着く


テラはゆっくりと頭を持ち上げ、湊の姿を認めると目を見開いた


『湊、どうした、その姿は』


「・・・」


『湊?』


湊はテラの呼び掛けには応えず、テラに抱き着いた


「・・・もう、やだ」


『・・・湊、どうした?話を聞くぞ?』


「・・・どうして、私はこんな仕打ちうけないといけないの?なにもしていないのに、なんで?・・・こんなことなら、さっさと死んでおけばよかった・・・!」


『湊!』


ふわっと湊の体が宙に浮いたかと思うと、優しく抱き留められる


「・・・え?」


「死ぬなど、軽々しく言うんじゃない・・・!」


湊は見知らぬ男性に抱きしめられていることに気づいた


「え、あ、え・・・、どなた、ですか・・・?」


「ん?何を言っている?私だが?」


「て、ら・・・?」


「あぁ、そうだとも」

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