第15話

「なにかおすすめの本、ありますか?」


「そうですね・・・。今月は新しい本もたくさん入りましたしね・・・」


百目鬼はカウンターの奥から前へ出て、新しい本の所へと向かう


「白間さん好みのは・・・、あ、これはいかがです?」


百目鬼は一冊の本を手に取って戻ってきた


本の題名には”本当にあった不思議事件”とある


「・・・よくこんなマニアックなもの、仕入れましたね・・・」


湊は半分呆れながらその本を手に取る


「基本的にここに来る人はマニアック好きしかいませんからね。・・・あなたみたいに」


不敵に微笑み、百目鬼はカウンターのなかへと戻った


「それはそうと、最近体調はいかがですか?」


「とても良いです。欠席することもほとんどなくなりましたし」


「ならよかったです。それでは、これを」


百目鬼が手を伸ばしてきたので、湊はそれにならい、手を差し出した


ポンと湊の手のひらに、袋に包まれた小さな飴が置かれた


「ご褒美。それと、これからもがんばってね」


「あ、ありがとうございます!」


湊は百目鬼に薦められた本を借り、教室へと戻っていった


「・・・なにもないといいですね。白間さん」


百目鬼は誰もいない図書室のカウンターでポツリとつぶやき、再び読書に耽っていく・・・

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