第13話

『何を言う。そなたもそうであろう?』


テラは湊に顔を向ける


「ううん、私はたくさんいる人間の中のひとりなだけで、いわゆるその他大勢って感じだし・・・」


『・・・たしかに、そなたと親しくない人から考えればそうなるだろうな』


テラは頭を戻し、目線だけを湊に向ける


『しかし、そなたと関わりを持つものならどうだ?』


「え?」


湊は下げかけた頭を上げた


『湊という名の、長い髪を持ち、華奢な体つきで、このあたりに住んでいるのはそなただけであろう?もし仮に、同じ名前を持っていたとしても、性格や趣味など何から何まで全く同じという者は存在せんだろう。もし、存在したら、それこそ怪異だ』


「え、っと、つまり・・・?」


『おぬしも、この世界で唯一無二の存在だという事だ』


「て、テラとおんなじ?」


『あぁ。ここにいる妖精たちもな』


テラと、おんなじ・・・


湊はまわりにいる妖精たちを見た


一見、みんな似たような見た目をしているが、よく見るとそれぞれに違った特徴があり、一人として同じ妖精はいない


湊はテラに抱き着いた


「・・・ありがとう、テラ」


『なに、感謝されるようなことはしておらんよ』


テラは優し気に目を細め、鼻らしきもので軽く湊をゆする


「また、来てもいい?」


『あぁ、いつでも待っておる。私も、この妖精たちもな』


「うん!」

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