第12話

『あぁ、私たちの存在は少し特殊でな。私たちは土や水、火など様々な力を持っている。一個体につきひとつな。それゆえに、同じ個体が存在しない。例えば、私は土の龍だが、私以外に土の龍は存在しない。正確な数はわからないが、この広い世界で、たった十匹程度しかいないのだ。そんな希少なものたちがたがいに出会うだけで奇跡だろう。』


テラはどこか虚空を眺めながら、つぶやく


「・・・そっか、テラは独りぼっちなんだ・・・」


『そうでもないぞ?』


「え?」


『見てみろ』


テラはちらっと湊をみると、あっちをみろと言わんばかりに目を動かす


湊はそれにならい、目線を前に向けた


すると、そこには小さな妖精たちが羽ばたいていた


「え・・・」


『見えておるのだろう?私の力を少し、分けたんだよ。飛んでいるのは森の妖精と水の妖精、それに土の妖精だ。あの者たちはたくさんいる。騒がしいものから、私のように物静かなものまで。私たちのような存在の中で、もっとも人に近い存在だろう。あの者たちのおかげで、退屈しないでいるよ』


そう話している間にも、テラの周りには妖精たちが集まってくる


そして、湊に自分たちが見えているとわかると、今度は湊の周りに集まりだした


『少し、いたずら好きのやつもおるが、基本的にはいいやつらだよ』


湊は足元に来た妖精をそっと撫でた


すると、妖精は嬉しそうに笑う


テラは独りぼっちじゃなかったんだ・・・


湊はほっと安心したが、同時にうらやましくなった


「・・・テラは唯一無二の存在ってことなんだ・・・」


何物にも代えられない、ただ一つの存在なんだ・・・

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