第11話

湊は昨日と同じように帰り道を歩く


そして、昨日と同じように神社を見つけた


そのまま神社に入り、森の奥へと向かう


「テラ!聞いて!」


湊が呼びかけると、テラはゆったりと目を開けた


『どうしたんだい?とても元気そうに見えるが』


「あのね。昨日テラに言われたこと、思い出して、がんばってみたの」


『ほう・・・、それで?』


「そしたらね!初めて私とまともに話してくれる人、できたの!その人と一緒に授業も受けたんだよ!」


湊は興奮冷めやらぬといったように、勢いよく話す


『そうか、そうか・・・。それはよかった。そなたに初めて友と呼べる存在ができたか』


「友・・・?」


『人は、ともに時を過ごしたり、ともに何かをするものを友達と呼ぶのだろう?』


「友・・・達・・・」


湊は改めてその言葉を口に出す


すると、ふんわりと胸のあたりが温かくなるのを感じた


「・・・そっか、・・・そう、なんだ・・・。初めての、友達・・・」


湊は自然と微笑んでいた


それを見たテラはすっと目を細める


『そなたは、そうしているほうが似合っておる』


「え?」


『昨日のあの思いつめた顔より、今のように優し気に微笑んでいるほうが可愛らしい』


「かわ、いらし、い・・・」


突然の言葉に、湊はしばらく唖然としていたが、ぼっと顔を真っ赤にした


『どうした?顔が真っ赤になっているぞ?』


「な、なんでもない!」


湊はテラから顔をそむけた


「そ、そういえば、テラには友達いないの?」


話題をそらそうと湊は話をふった


『・・・友達といえる存在はいないな・・・』


「いないの・・・?」

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